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人事領域で最近注目されているのが「ピープルアナリティクス」(People Analytics)です。社員の性別や年齢などの基本情報から、勤怠情報、行動データなど幅広いデータを、機械学習やAI(人工知能)で解析することで、採用・配置・登用といった、一連の人事業務に役立てようというものです。そのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
これまでの採用方法は、試験での結果や経歴などを参考に、面接によって決められていました。つまり、最終的な判断は、面接担当者の“勘”に頼るというものでした。
ところが、いくつもの関門を潜り抜けてきた逸材と思われる人材を採用したはずなのに、すぐに退職してしまうケースや、期待通りの人材になかなか育たないという、採用のミスマッチが生じることも多々あります。
また、誰をどの部署に配置するか、昇進や昇格の評価も、最終的な判断は、上司や人事担当者の“勘”に頼らざるを得ないというのが、人事業務の泣き所でもありました。
ピープルアナリティクスは、社員の性別や年齢などの基本情報から、勤怠情報、行動データなど幅広いデータを、機械学習やAI(人工知能)で解析します。
解析されたデータは、採用や配置、人材育成、従業員業績・満足度の向上などに対しての、客観的な判断材料として活用することが可能になります。
データ解析によって客観的な判断材料が得られると注目されているピープルアナリティクスですが、導入することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。
まず、これまでは人事担当者が行っていた業務を、AIによって自動化することで、業務の効率化につながります。また、担当者の主観に頼っていた判断基準が、科学的データに基づく客観性が裏付けられ、意思決定の透明性や公正さを保つことができるようになります。
その結果、組織に必要な人材採用と適正な人材配置や離職率の低下、さらには従業員のポテンシャルを高めることにもつながっていくと考えられています。
もちろん、ピープルアナリティクスを導入すれば、すべてがうまくいくわけではありません。デメリットとしては、マーケティングなどの分野に比べると、データの数が少ないため、適切なデータ収集・分析を行わなければ、成果にはつながらないということでしょう。
また、何のために導入するのかという目的を、担当者が正確に把握していなければ、漠然とデータの収集・集計を行い、なんとなく「こういう傾向があるのか」という程度で終わってしまう可能性もあります。
ピープルアナリティクス導入のメリットを享受するためには、データ分析やAI(機械学習)を理解し、効果的に活用できる人材(経営者も含めて)が必要となります。
ピープルアナリティクスは、IT大手のGoogleなどが取り組みを公開したことで、注目が集まり広まり始めています。
しかし、日本では、ごく一部で取り組みが始まったという程度で、まだ大きな広がりには至っていません。
その要因は、ピープルアナリティクスを効果的に扱う人材が、まだ育っていないことですが、その対策として、外部への委託という動きも出始めています。
ただ、ここで注意しておきたいのは、個人情報の扱いです。ピープルアナリティクスを外部に委託するということは、従業員の氏名、生年月日、住所、社員ID、所属部署などの個人を特定できる情報を提供することになります。その点は注意が必要となります。
これまでの人事領域の最終判断基準は、担当者の主観でしたが、それをAIがはじき出す客観的データにとってかわろうとしています。ところが、そのデータをどのように人事や組織の改善につなげていくのかは、やはり“人”ということです。これからの人事担当者には、ピープルアナリティクスを活用する力も必要となるのではないでしょうか。
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