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2019年4月から働き方改革関連法案が一部施行されたこともあり、今や「働き方改革」は、企業が直面している最も重要な経営課題の1つです。従業員のワークライフバランスに配慮した労働条件を定めることは、業種・業態・規模を問わず全ての企業に求められています。
しかしこうした働き方改革を遂行する潮流は、日本だけで生じているわけではありません。他の先進国でも同様の取り組みが進められています。そこで今回は、海外の働き方改革の現状はどうなっているのか、国ごとに解説していきましょう。
目次【本記事の内容】
ドイツでは、フレキシブルな働き方を規定する政府による特別なプログラムはありませんが、多数の法定モデルが示されていることから、フレキシブル・ワークの導入は進んでいます。ドイツの「労働時間法」では、労働時間は1日8時間、上限10時間と定められていますが、実際には産業別組合・使用者団体等によって週単位の労働時間が定められ、その内容に基づいて企業側と労働協約を結ぶというケースが一般的です。例えば、基本的に残業はないものの、もし従事することになったら「労働時間口座」に残業時間を貯えて、後日にまとめて休暇として取得できるといった制度が取られている企業もあります
さらにドイツにおける労働時間関連の制度の特徴の1つが、「労働時間を短縮できる権利」です。①「従業員が15名以上」、②「短縮の申請を拒否する業務上の理由がない」、③「在職期間が6カ月超」、④「過去2年以内に短縮の申請をしていない」、⑤「希望日の3カ月前までに申請を行う」という5つの条件を満たせば、労働条件を著しく落とすことなく、短時間労働者に転換できます。
フランスでは2017年9月と12月に労働法典改正の委任立法(オルドナンス)が成立し、2018年1月1日に施行されました。その内容は解雇の際の保障金額に上限設定を設ける等の解雇規制が緩和される一方、テレワークを活用した在宅勤務を促進する内容が盛り込まれています。この新たなテレワーク制度では、労働者の側からテレワークの申し出をした場合、企業側は拒否できません。もし在宅勤務中に事故が発生した場合、労災の認定を受けることができるようにもなりました。さらにテレワークに関する規定を雇用契約書の中に設ける必要もなくなったので、労働時間や業務量の調整は、企業ごとの労使協定によって自由に規定できるよう変更されています。労働法典改正を巡っては、解雇規制の緩和に反対する労働者の大規模なデモが起こりましたが、テレワーク関連の法整備に関しては、フレキシブルな働き方を実現することに大きく寄与する内容と言えるでしょう。
イギリス政府は「働き方改革」を進めるべく、日本よりも15年以上早い2000年の時点で「ワークライフバランス(WLB)キャンペーン」を実施しています。WLBの普及・推進のために、政府は150万ポンドの資金を投入して専用の基金を設立し、さらに専門のサイトも立ち上げてフレキシブル・ワークに対する国民間における周知化を図りました。その後も、2002年~2017年にかけてWLB関連の法制度の整備が進められ、現在、以下のような働き方がイギリス企業で行われています。
①「ジョブシェアリング」・・・フルタイムの業務を2人で分担し、各々が異なる時間に勤務して賃金や有給休暇、福利厚生等をシェアする。
②「学期間労働時間制」・・・子どもの学校のある期間のみ勤務する。
③「圧縮労働時間制」・・・1日あたりの労働時間を長くする代わりに、週あたりの労働日数を減らす
イギリスでは既にWLBに配慮した施策、制度がかなり充実していると言えますが、現場での労働者の意識はそれほど高くありません。そのため、各企業は制度をうまく活用するよう啓蒙活動が積極的に実施されています。
アメリカでは、働き方改革を進めるための国としての制度的対応は基本的に行われておらず、公正労働基準法(FLSA)においても、フレキシブルな勤務形態を推進するための規定はありません。しかしフレックスタイム制や在宅勤務制度といった新しい働き方が、企業・事業体ごとに、労働者との契約という形で個々に結ばれています。国の制度によって定められていなくとも、企業主導による多様で自由な勤務形態が取られているわけです。例えばシリコンバレーのスタートアップ企業では、働き方は完全に自由(スーパーフリー)で、成果だけを求めるというケースも少なくありません。
ただ、国側も何もしてこなかったわけではなく、オバマ大統領の民主党政権時代には、労働者の働き方を見直す運動が大統領主導で行われています。その代表例が2010年3月に開催されたオバマ大統領主催による「職場の柔軟性に関するホワイトハウス・フォーラム」の開催で、このフォーラムが、アメリカ国民の間で働き方の柔軟性に対する関心を高めるきっかけとなりました。
また、市や州単位で、労働者の側からフレキシブルな勤務形態を要求できる法律も制定されているケースも多いです。その先駆者となったのがサンフランシスコ市で、同市では、2014年に「ファミリー、フレンドリーな職場に関する条例」が発効し、就業者数20人以上の企業は、育児・介護支援のために、勤続6カ月以上の就業者がフレキシブルな勤務形態を要求することを認めるよう求めています。
働き方改革に取り組んでいるのは日本だけでなく、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ等でも、2000年以降、積極的に取り組まれてきました。ただし取り組み状況には違いがあり、ヨーロッパ各国では日本と同等もしくはそれ以上に、フレキシブルな勤務形態が制度上定められているのに対し、アメリカでは企業任せの部分が強いです。各国とも文化や価値観が異なるので一概には言えませんが、日本としても見習うべき点は多いのではないでしょうか。
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