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退職には大きく分けて「自己都合退職」と「会社都合退職」の2種類あることはご存知でしょうか。しかも、退職後の取り扱いも、両者で異なります。どのようなメリット・デメリットがあるのかをこの記事で具体的に解説いたします。
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目次【本記事の内容】
会社都合退職は、会社側の都合や判断によって、従業員に対して一方的に退職を言い渡し、労働契約を将来に向けて解除する意思表示を指します。
会社側の都合で従業員を解雇する場合、会社は従業員に対して30日以上前に解雇する旨を通告するか、30日分の給与額に相当する手当を支払わなければなりません。もし、通告後30日以内に解雇する場合は、残りの日数分の給与を支払うことになります。
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会社都合退職の主な理由には、次の15個のパターンが挙げられます。
このほか、会社都合であることが客観的な証拠によって立証可能だと、裁判によって会社都合退職として認められる可能性があります。
会社都合による退職者を出した場合、会社側には次のようなデメリットが生じる可能性があります。
「キャリアアップ助成金」や「トライアル雇用助成金」など、雇用促進を目的とした助成金の支給が一定期間認められなくなったり、減額されたりします。
<参考>
厚生労働省「各雇用関係助成金に共通の要件等 p.11」
雇用関係助成金一覧
p.9~
民法や労働基準法などの法律によって、従業員の権利は手厚く守られています。従業員が納得できない解雇通告をすると、裁判に訴えられて解雇の取消や賠償金の支払いを求められる可能性があります。
従業員を解雇するには30日以内に通告するか、30日分の解雇予告手当金を支払う必要があります。
裁判で訴えられればもちろんのこと、最近ではSNSによる個人発信で不当解雇の事実を拡散される可能性があります。情報が広まると、会社のブランド力や社会的信用が失墜することになります。
一方、自己都合退職とは、従業員側の仕事上、あるいは私生活上の事情の変化が原因で、退職をすることをいいます。会社側から退職へ向けたなんらかの働きかけがあったわけではなく、従業員自身の意思が退職の理由とされる場合を指します。
自己都合退職をした場合でも、勤務終了日までの給与、および退職金が支払われます。
ただし、一般的に自分の意思で退職した人は特定受給資格者に当たらず、直ちに雇用保険が適用されるわけではありません。
自己都合退職の主な原因として、次の7つの事由が挙げられます。
「 1. 転職・起業をするため」の自己都合退職は、キャリアアップや職業変更などの積極的な理由だけではなく、会社の業績悪化の予感、人間関係の悩みといった消極的な理由も含まれるので注意が必要です。
「7.懲戒解雇を受けた」ときの場合、懲戒解雇は会社側の決定ですが、その原因は、法令や就業規則などの基本的なルールを守らない従業員が招いているので、自己都合退職となります。
自己都合退職ですと、(懲戒解雇処分の場合を除き)その従業員の意思を客観的に示す資料として、退職届(退職願)の提出が求められることが一般的です。退職希望者は雇用保険(失業保険)における特定受給資格者にはあたりません。
特定受給資格者は、再就職などのあてもなく職を失っているために、優先的に雇用保険を適用して保護すべき方を指します。
その点、自己都合退職をする従業員については、自身の判断や事情によって退職を決めているため、雇用保険を適用する緊急性が低いといえるのです。(ただし、「特定理由離職者」に該当すれば、雇用保険が優先的に適用される余地があります。詳しくは後述します)
自己都合退職をした従業員に対しては、勤務終了日までの給与、および退職金が支払われます。
上記のように会社都合で従業員を退職させるとさまざまなデメリットがあるため、会社側は会社都合退職を回避しようとする場合があります。本来は会社都合による解雇であるのに、自己都合退職に見せかけるため、従業員に退職願を書かせようとすることがあります。会社都合の場合、従業員は退職願を出す必要はありませんので、注意してください。
また、いじめやパワハラ、会社側からの退職勧奨などがあると、自己都合退職せざるを得なくなっても会社都合として認められる可能性があります。ただし、客観的証拠を求められるケースが多いので、メールや書面などにより証拠を残しておく必要があります。
失業給付金は、退職者がハローワークに離職票を提出することによって支払われる失業者の生活や再起を支援するための公的保険金です。給付される期間は、前職の退職理由などによって決まります。
まず会社都合退職であれば、失業給付金は最短で7日後に支払われ、最長1年間支給されます。自己都合退職であれば最短で3カ月後となり、最長6カ月の支給となります。
給付金の金額は、申請者の年齢、前職の勤続年数・年収などによって異なります。厚生労働省のホームページに金額の目安が掲載されているのでご参考ください。
尚、失業給付の内容は社会状況により変更されることがあります。
2020年の新型コロナウイルス感染症の影響による解雇や雇止めがあった場合、失業給付が60日間延長される可能性があります。
また、2019年に厚生労働省が所管する統計調査結果に不正が発覚し、過去にさかのぼって給付金の計算をし直す失業等給付(基本手当)の追加給付も実施されています。
このように、雇用保険制度は時代により変更される場合があるので、最新の情報をチェックするようにしておきましょう。
会社都合で退職した場合、すぐに失業給付金を受け取れる反面、デメリットもあります。
退職後の就職活動において、応募した先の会社ではほぼ必ず前職の退職理由を聞かれるはずです。そこで会社都合による解雇であることを伝えると、「本人の能力不足が解雇の理由では?」と捉えられる可能性があります。経営の悪化や経営者が起こした事件・事故など、本人の不可抗力による解雇もあり得るので、再就職の面接などで丁寧に説明する必要が出てきてしまいます。
会社によっては、応募書類との整合性を確認するため、退職証明書の提出を求められるところがあります。退職証明書は、退職する会社に申請して発行してもらう書類で、記載事項には退職理由も含まれているのが一般的です。ただし、どれほど詳細に記載するかは会社の判断となります。再就職活動を始める際は、前もって退職証明書を発行してもらい、記載内容を確認しておくと、応募する会社への提出書類や面接での発言などに整合性がとれるはずです。
失業給付金目当てにあえて会社都合退職を希望する人がいますが、就職活動に響きますし、そもそも不正受給で返還を求められるリスクがあります。退職する会社にも迷惑がかかるので絶対にやめましょう。
自己都合退職ならば、さほど問題視されませんが、会社都合退職であれば、どんな事情があって退職となったのか、採用担当者は気になるところでしょう。人事部の採用担当者も「会社側」にいる立場の従業員だからです。
リストラによる人員削減・退職勧奨などで、そのターゲットになったということは、「仕事ができないからじゃないか」「じつは勤務態度が悪いのではないか」と勘ぐられるおそれがありますので、誤解を解く説明が必要です。
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自己都合退職では、雇用保険(失業保険金)での保護は比較的薄いですが、会社都合退職だと、従業員側の落ち度が小さいことが一般的ですので、手厚く保護される可能性が高くなります。ただ、会社都合退職ですと、転職の面接でその「会社都合」について根掘り葉掘り確認されるおそれがありますので、事前に回答を準備しておきましょう。
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