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“租税回避地”の問題点とその対策は?

公開日2020/02/06 更新日2020/02/07

納税は国民の義務ですが、できれば税負担を少しでも軽くしたいと思っているのではないでしょうか。重い税負担から逃れるために脱税という違法な手段を取ることもあります。脱税は犯罪ですが、企業や富裕層などは「租税回避地=Tax Haven」を利用することで税を軽減するケースが増えています。Tax Havenとは何か、何が問題なのかを整理しておきましょう。

脱税やマネーロンダリングの温床ともなるTax Haven

「租税回避地=Tax Haven」として有名なのは、バハマ、バージン諸島、ケイマン諸島などです。これといった産業のないこれらの地域では、法人税や所得税、相続税などがまったくかからないか、極めて低くすることで世界各国の企業を集めています。

多国籍企業や資産家などは、こうした地に会社や資産を移すことで、租税回避に乗り出しています。そのこと自体は法律違反でもなければ、なんら咎められる行為ではないのですが、問題となるのは、不透明なお金の流れを助長しているという点です。

Tax Havenに本社を移すといっても、現地に本社事務所があるケースはほとんどありません。あるのは連絡用の私書箱などで、いわゆるペーパーカンパニーがほとんどです。その結果、脱税やマネーロンダリングの温床になっていると指摘されています。

つまり、麻薬取引などの犯罪や、粉飾決算などの不正な手法で得た資金を、架空または他人名義の金融機関口座などを利用し、転々と送金を繰り返すことで、資金の出所をわからなくすることができるわけです。

世間を揺るがせたパナマ文書

Tax Havenが一躍クローズアップされることとなったのが、世界を揺るがした「パナマ文書」です。

パナマもTax Havenの地ですが、法人設立の代行、金融アドバイスをしていた法律事務所から、過去40年分の金融取引に関する内部文書が流出した、あの事件です。

世界的に有名なスターや一流スポーツ選手、大統領や首相の友人・知人・家族なども、パナマにペーパーカンパニーを設立したことが明らかになりました。もちろん、日本の経済人や政治家、有名人の名前があったことも記憶に新しいところです。

OECDは多国籍企業による税逃れ防止策を検討

先述したようにTax Havenに会社を設立、移転することは合法です。ただ、実態が見えにくいペーパーカンパニーが多いのも事実で、企業情報は基本的に非開示ですから、誰が代表者なのかわからないことさえあります。

それが、マネーロンダリングなどに利用されることもあるだけに、経済協力開発機構(OECD)では、多国籍企業による税逃れ防止策の検討を始めています。

明らかになった税逃れ防止策の検討内容は、租税回避地にグループ会社を置いて利益を移転するケースでは、各国・地域共通の法人税率の最低水準を設定し、租税回避地で実際に払っている法人税を差し引いて課税するというものです。

また、税逃れが複数の国・地域に及ぶ場合には、それらの地域の法人税の平均を元に課税する案などが検討されています。

新たな国際課税に関しては、2020年中に策定する最終報告書に盛り込まれる見通しですが、協議は難航することが予想されています。

つまり、現状では、多国籍企業が租税回避地にあるグループ会社に特許料や使用料の支払いといった名目で利益を移し、法人税の負担を免れるといった例が多くなっているため、法人税率の最低水準を決めること自体、各国の主権に関わるからです。

まとめ

税率の低い国に本社を移すことは、原材料を1円でも安いところから仕入れる行為と同じでしょう。それは、主婦が1円でも安いスーパーに、多少遠くても足を延ばすことと、意識は同じかもしれません。根本的に違うのは、そこには収入や支出を胡麻化そうという意識が微塵もないことです。

収入に応じて税金を払い、それが国を支える元になっていることは誰もが理解しているはずです。しかし、脱税をする人がいる一方で、“桜を見る会”に象徴されるような、税金の無駄遣いについても厳しい目を注ぐことが、ビジネスパーソンとしては重要ではないでしょうか。

関連記事:租税回避地ベスト3は英国領のバージン諸島、バミューダ、ケイマン諸島

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