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ステルスマーケティングとは。またその法的問題は?

公開日2020/02/17 更新日2020/02/18
ステルスマーケティングとは。またその法的問題は?

以前、芸能人が関与したことで社会的に注目が集まり、最近でも京都市が芸能人を利用して行ったとして論争を呼んでいるのが「ステルスマーケティング(ステマ)」です。マスコミでも大きく報道されているので、言葉くらいは聞いたことのある方もいるでしょう。しかし実際のところ、ステマとはどのような行為を指し、何が問題なのか、分かりにくい面もあります。そこで今回は、ステマの概要とその法律上の問題性について解説しましょう。

ステルスマーケティングとは?

企業から報酬を受け取っているにもかかわらず、表面上は中立の立場を装いながら、特定の商品・サービスについてネット上で良い口コミ・評価を行う行為がステマです。

ステマには大きく分けて2つの手法があります。1つは企業の社員など報酬を得ている人が、一般消費者を装って商品・サービスのイメージを良くする活動をネット上で行う手法です。例えば、ショッピングサイトの評価システム欄に社員などが自社商品に高い評価を与える行為がこの手法に該当します。

もう1つは、芸能人など社会的に影響力のあるインフルエンサーが、自身のSNS上などで宣伝行為であることをいわずに特定の商品・サービスを紹介し、報酬を得るという手法です。インフルエンサーがSNSで紹介する商品・サービスは人気が集中しやすいため、企業側が高額のお金を払って意図的に宣伝するように仕向けます。報酬を受け取ったインフルエンサーは、ツイッターやインスタグラムなどの自分のアカウント上で、あたかも純粋に商品・サービスを使ってみて良かったかのような感想を書き込むのです。

ステルスマーケティングはなぜ許されないのか?

ステルスマーケティングは消費者を欺き、サイトを運営している業界全体の信用度を無くす行為ともいわれています。口コミや評価システム、あるいは影響力のあるSNSに嘘の内容を書き込むことになるため、ステマは明らかに消費者を騙す行為であるといえます。仮にステマに影響されて買った商品が、結果として消費者にとって良いものであったとしても、情報発信者が自分の経験に基づいた真実を述べているわけではないため、消費者を欺く悪質な行為であることには変わりありません。

また、評価システム・口コミにおいてステマが行われていることが発覚すると、それを行った行為者本人・企業側だけでなく、正確な評価が行われていないとしてその評価サイト自体も信用を失います。例えば特定のショッピングサイトでステマが行われていたことが分かると、サイトのあり方自体が信頼を無くし、利用者が激減するという事態も起きかねません。つまりステマの実情が明らかにされると、サイトを運営している業界そのものの不信感を高める恐れがあるわけです。

ステルスマーケティングは違法になる?景品表示法違反になることも

現在日本には、ステマ行為自体を罰する法律はありません。しかし場合によっては、景品表示法(景表法)に違反することもあります。景表法とは、企業が自社の商品を宣伝する際のルールを規定している法律です。同法では宣伝行為における不当な表示を禁じていますが、具体的な禁止行為には大きく分けて「優良誤認表示」と「有利誤認表示」の2種類があります。

優良誤認表示とは、自社の商品・サービスの内容について、競合他社のものよりも実態以上に良く見せようとする宣伝行為です。実際には競合他社の商品・サービスよりも劣っているのに、質を偽って自社のものが特別優れているかのように見せかける行為は、違法行為とみなされます。一方、有利誤認表示は、自社の商品・サービスが、競合他社のものよりも価格面で特別有利であるように見せかける宣伝行為です。例えば、他店よりも安いとPRしておきながら、実のところ全く安くなってなかった場合は、景表法違反とされます。

特にステマで問題になるのは、優良誤認表示です。企業が消費者を装い、自社の商品・サービスの実態を偽って評価システムや口コミに投稿を行うステマは、景表法に反することが考えられるでしょう。

ただし景表法では、明らかに実際の商品・サービスよりも良く見せかけている場合、あるいは競合他社の商品・サービスよりも実態以上に良いと消費者に誤解を与える宣伝内容である場合など、違反行為に該当する行為が厳格に規定されています。つまり、あまりにも度を過ぎたステマ、社会一般的な常識からみて許されないステマは景表法に反するとみなされますが、そうではない場合は違法かどうか検討の余地を残しているのが現行の制度といえるでしょう。ステマ=景表法違反とはならないわけです。

ステルスマーケティングが問題となった事例

日本ではしばしばステマが問題視されるケースが起こっています。そもそも「ステマ」という言葉が世間に知られるきっかけとなったのが、2010~2011年頃に起こったペニーオークションのケースです。多くの芸能人が報酬を受け取った上での宣伝行為であることを表明せず、あたかも1人の利用者として純粋にペニーオークションを活用し、自分の欲しかった商品を落札したかのような嘘の報告をブログなどで行いました。こうしたSNS閲覧者を騙す行為は社会的に問題視され、その後ペニーオークションのサイトは無くなっています。

さらに2012年頃、飲食店の評価を行う「食べログ」では、報酬をもらって特定の飲食店に高評価の口コミを投稿する「やらせ」の行為が横行しました。同様の事態は2017年にも起こり問題視されています。

まとめ

ステマは、一般の消費者・利用者を騙してでも利益の追求を目指す悪質な企業が行う行為です。ステマに焦点を当てた法整備が望まれるところですが、まずは消費者の側がそのような行為に騙されないようリテラシー(情報を読み解く力)を身に付けることが大事です。企業の側としても、ステマを行っていることが判明すると企業としての評判・評価が一気に落ちるため、そのような行為は断じて避ける必要があります。

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