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新型コロナウイルスによる感染症の拡大を防ぐため、政府が大規模なスポーツや文化イベントの自粛を要請したのを受けて、全国各地でさまざまなイベントが中止されたり延期されたりしています。
そうした中、簡単には中止できないイベントに頭を悩ませているのが、3月に株主総会を予定している会社です。株主総会は法律で開催が決められているうえ、なにより株式会社の最高意思決定機関。総会を開かないと役員人事が決められませんし、株式の配当も決められません。
法務省は株主総会の延期に関する法的解釈を公表しましたが、会社としても事前に準備を進めてきたこともあり、そう簡単に延期できるものではありません。各企業の対応と政府の見解についてまとめました。
3月に株主総会を予定しているのは、ほとんどが昨年12月に決算を終えた企業です。会社法で会社は事業年度が終わった後に定時株主総会を開かなければならないことになっていて、通常は決算期末から3カ月後に総会を開催します。
なぜ3カ月後なのかというと、会社法で株主の議決権が行使できるのは基準日(決算日)から3カ月以内と定められているからです。つまり、3カ月以内に開かないと、株主が議決権を失い、会社の提案を議決できなくなります。日本経済新聞の2月28日付朝刊によると、3月に株主総会を予定していたのは、上場会社約3700社の1割強にあたる約400社にのぼります。
今のところ、ほとんどの会社が予定通り開催するようですが、開催にあたっては出席者にマスクの着用を求めたり座席を離したりといった対応をとるようです。中には会場内に看護師を待機させる会社や、懇談会や報告会、製品の展示などを取りやめる会社もあります。
2月20日に総会を終えたジャムメーカーのアヲハタ(広島県竹原市)は、総会後の自社製品の試食会を中止しました。
コンピュータ周辺機器の製造販売を手がけるローランドDG(浜松市)は3月19日の株主総会後に予定していた株主と役員の懇談会を中止しました。同社のホームページによると、自社製品や株主優待の展示コーナーも取りやめ、飲み物の提供もやめるなど最小限の運営にとどめる方針です。また、運営スタッフはマスクを着用し、会場内にアルコール消毒液を置くほか看護師が会場に待機します。
ITコンサルティングのフューチャー(東京都品川区)も25日の総会後に予定していた経営近況報告会とお土産の中止をホームページで発表しました。
また、27日に総会を開催するキヤノン(東京都大田区)は感染症の拡大防止のためとして、ホームページで来場者にマスクの着用と受付での手のアルコール消毒を要請しました。検温などの体調のチェックをしたり、座席を1席ずつ空けて着席したりといった対応をとります。
少数ですが、会場の変更を行ったり、開催を延期したりした企業もあります。
不動産仲介業のハウスフリーダム(大阪府松原市)は市の文化施設を使って総会を開く予定でしたが、新型コロナウイルス対策で休館となったため、急遽会場を変更しました。会社説明会やお土産の配布は中止したとのことです。
また、インターネット事業のGMOインターネット(東京都渋谷区)もホームページで、3月21日に予定していた株主総会を30日に変更すると公表しました。規模も縮小する予定で、当日はインターネットによるライブ中継を行います。このため株主に対し、ホームページで議決権については電子行使か、郵送による事前行使をするよう協力を呼びかけています。
法務省も新型コロナウイルスによる感染症が拡大した場合、定時株主総会の開始を、3カ月を超えて延期できるのか、見解を示しました。
法務省の見解によると、会社法では株主総会について「毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」と定めていますが、「3カ月以内の開催まで求めているわけではない」とのことです。そして、会社として開催時期を定めていたとしても、今回のように開催できない状況が生じたときは、その状況が解消された後、合理的な期間内に開催すれば良いとの考え方を示しました。
また、多くの会社が3カ月以内に開催するのは、会社法で株主の議決権が基準日から3カ月以内と定められているからですが、これについても新たに行使のための基準日を決めて、基準日の2週間前までに公告すれば、議決権行使の期間を延ばすことができるとしました。配当についても、同様に公告をすれば期日を延ばせるとのことです。
コロナウイルス感染症の拡大を受け、政府も株主総会の延期についてお墨付きを与えました。しかし、実際には開催を延期する会社は少ないとみられます。なぜなら、株主総会では決算のほか役員人事や組織改編など経営に関わる重要な事項が議決されるためです。このため、株主総会の延期は事業そのものにも影響してくる恐れがあります。実際に、株主総会を延期したGMOインターネットにしても、3カ月目ギリギリの3月30日の開催です。企業としては、株主へのPRやサービスが不十分になっても、規模を縮小して開催したほうがよいという判断になるのでしょう。
毎年6月には株主総会の開催が集中します。コロナウイルス感染症の拡大状況によっては、今年は例年と違い寂しい総会風景となるかもしれません。
※本記事の内容について参考にする際は、念のため関連省庁や各企業にご確認ください。
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