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政府は、消費増税による消費の落ち込みを抑えるため、キャッシュレス決済でのポイント還元策を打ち出し、キャッシュレス決済の導入がかなり広がりました。ところが、皮肉にもそのキャッシュレス決済導入が、中小企業の資金繰りを圧迫していることが、キャッシュレス推進協議会のアンケート調査で明らかになりました。
キャッシュレス推進協議会が1月に発表した中小企業を対象にしたアンケート調査によると、回答を得た約1100店舗のうちの2割が、キャッシュレス導入にともなう入金サイクルの変化によって資金繰りに困ることがあると回答しています。
また、ポイント還元事業の売り上げへの効果についても調査を行っていますが、全体では61.3%の中小店舗が、「効果がなかった」「あまりなかった」と答え、売上高が1,000万円以下の店舗に限ってみると、“効果なし”は72%にも及びます。
中小企業では、日々の現金売り上げを運転資金に回すことが多いものですが、キャッシュレス決済では、入金までの時間がかるほか、決済事業者によっても入金のタイミングが異なります。
カード会社によっては月末締め翌月末振り込みというところもあり、販売時から入金までに最長2か月近くかかることもあります。さらに、決済事業者への手数料も重くのしかかるため、経営の最も重要な資金繰りが、経営の足を引っ張っているのが実状のようです。
たとえば、東京・銀座の美容サロンでは、急にキャッシュレス比率が高まり、売上金が入る時期の予測がつかなくなったため、2019年11月に緊急融資を受けざるをえなくなったほか、高知県のスーパーでは、軽減税率対応のレジ入れ替えやキャッシュレス決済の導入が資金繰りを圧迫し、2019年12月に破産申請を余儀なくされています。
また、東京・品川のパン屋では、2019年9月にカードや電子マネー、QR決済を導入し、3人に1人がキャッシュレス決済を利用しているそうですが、現在導入している決済方法では手数料が2%程度だが、ポイント還元が終了すると手数料が3%に上がってしまいます。
この1%の差は、中小店舗にとっては負担が大きく、ポイント還元事業が終われば、キャッシュレス決済を「継続するか中止するか」を検討しなければならないそうです。
ポイント還元事業では、加盟店手数料の上限を3.25%としていますが、もし売り上げの大部分がキャッシュレス決済となれば、決済事業者へ支払う手数料はかなり重い負担となることでしょう。
キャッシュレス決済を導入した中小業者からは、「キャッシュレス決済が急増すると日々の資金繰りや取引先とのやりくりが難しくなる」、「キャッシュレスを導入しても手数料だけとられる」といった声も挙がっていますが、「利用者がポイント還元店に流れてしまうため導入せざるをえなかった」と、いう深刻な声も聞こえてきます。
決済サービスコンサルティングの宮居雅宣代表は「国全体でキャッシュレス決済を推進するのであれば、金融機関の融資などで中小企業を支える体制を整えることも重要」と指摘していますが、政府は、華々しく推進の旗を振り続けることに懸命で、対策は後回しになっているようです。
スマホなどで、現金を持たなくても買い物ができるキャッシュレス決済は、利用者にとっては確かに便利な決済システムです。しかし、中小の小売店の側に立てば、入金時期が遅れるため資金繰りが悪化、手数料の高さが利益を圧迫、入金の管理が煩雑になるなど、マイナス要素も決して少なくありません。
消費増税に合わせて、十分な準備期間を経ずにキャッシュレス決済の導入に踏み切った企業の管理担当者は、ポイント還元終了後の見直しも必要となりそうです。
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