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新型コロナウイルス感染拡大の防止を目的に、テレワークなどの在宅勤務を導入する企業が増えています。インターネットなどのICTを活用することで、場所にとらわれない柔軟な働き方は、感染拡大防止という点では効果が期待できますが、課題も多くあります。たとえば、在宅勤務の通信費や水道光熱費は、会社と個人のどちらが負担すべきなのでしょう?
通信環境さえ整っていれば、自宅であろうと旅先であろうと、場所や時間にとらわれることなく、柔軟な働き方ができる在宅勤務(テレワーク)は、ワーク・ライフ・バランスの観点からも推奨されている働き方です。
この柔軟な働き方を導入するためには、仕事の進め方や報告・連絡など、会社の規則やルールを明確にしておく必要があります。
しかし、十分に検討したうえでの導入なら課題もクリアできるでしょうが、今回のような新型コロナウイルスの感染拡大によって、急遽、導入した場合には、さまざまな課題が持ち上がり、その対応に追われている管理部門の担当者も多いのではないでしょうか。
在宅勤務時の通信費や水道光熱費は、会社なのか、それとも個人が負担するのかということも、課題の一つです。そうした課題にぶつかったときに参考になるのが、厚生労働省の「テレワーク導入のための労務管理Q&A集」です。
「テレワーク導入のための労務管理Q&A集」によると、テレワークに関わる費用負担区分については、「テレワークを導入する前に、通信費・水道光熱費など負担について明確なルールをつくり、従業員に対して、丁寧に説明することが必要」とあります。
その根拠なるのが、労働基準法第89条第1項第5号の「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項を就業規則に定めなければならない」という規定です。
つまり、就業規則を変更するか、就業規則の作成義務がない会社では、労使協定を結ぶか労働条件通知書で従業員に通知することが必要となります。
では、テレワークの導入によって、どのような費用が発生するのかを見ていきましょう。まず、絶対に必要となるのがパソコンなどの情報通信機器と通信回線費用です。ビジネスパーソンの多くは、パソコンを所有し自宅の通信回線環境も整っていることでしょう。
個人使用の部分と業務との区分が難しいことから、通信回線費用は個人で負担している方が多いようですが、通信費用の一定額を会社側が負担するというケースもあります。
もっとも、新たな回線が必要な場合は、回線の工事費も必要となります。そのほかにも文具や消耗品、切手や宅配便等の費用、そして、在宅勤務により水道光熱費もかかりますから、やはり導入前のルールづくりが欠かせないといえるでしょう。
テレワークは、時間や場所にとらわれることなく自律的・自己管理的に仕事を進めることができますが、ここで問題となるのがセキュリティについてです。
万全のセキュリティ対策を施しているはずのオフィスでも、情報漏洩が多発しています。オフィスに比べると、自宅のセキュリティ対策は甘いと考えるべきでしょう。テレワークによって、大切な情報が外部に漏れてしまうことを防ぐため、セキュリティの方針や行動指針に基づく安全な利用を徹底する必要があります。
セキュリティルール策定に当たっては、総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」を参考にするといいでしょう。
また、厚生労働省は、テレワークの導入や実施時における労務管理上の課題などについて、個別企業からの相談に対応する「テレワーク相談センター」を 設置(0120-91-6479)し、在宅勤務やモバイルワークなどのテレワークの導入に関する相談に無償で対応しているので、そちらも大いに活用しましょう。
場所にとらわれない柔軟な働き方によって「従業員の育児や介護による離職を防ぐ」「遠隔地の優秀な人材を雇用する」「災害時に事業を継続しやすくする」などのメリットがあることから、働き方を改革するための施策の一つとして期待されているのが在宅勤務です。そのメリットを活かすためには、労務管理のルールづくりから始めることのようです。
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