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4月7日に7都府県に発令されていた緊急事態宣言が、4月16日に全国に拡大され、各地では戸惑いも広がっています。ところで、緊急事態宣言は、どのようなときに出されるのか、また、各国では、どのような対応をしているのかを整理しておきましょう。
緊急事態宣言は、自然災害や伝染病、疫病などの感染症の拡大、あるいは原子力事故などの災害や戦争、テロなどにより、健康や生命、財産、環境などに危険が差し迫っている事態に、国や地方公共団体などが、国民や住民に注意を促すために発する宣言です。
日本では、新型インフルエンザ等特別措置法32条に基づき、「国民の生命や健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある場合」「全国的かつ急速なまん延によって国民生活と経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合」が、緊急事態宣言発令の根拠となります。
緊急事態宣言の発令に伴い、大きな話題となったのが、海外で見られたような都市封鎖や外出金命令など、国民の自由が制限されるのではないかということでした。
しかし、日本の特措法は、内閣総理大臣が「緊急事態宣言」を発令すると、対象地域の都道府県知事が、感染防止に必要な外出自粛要請、施設の使用制限の要請・指示・公表などができるようになるのもので、強制的に罰則を伴う都市閉鎖が実施できるものではありません。
新型コロナウイルスの発生地とされた中国武漢市は、早々と都市封鎖が行われ、イギリスやフランスでも、買い出しや散歩、医療上の理由、必要不可欠な出勤以外の外出が原則禁止されました。
ドイツでは、外出自粛などのガイドラインを発表し、一部の州では違反者に罰金も課せられるほか、イタリアでは鉄道の運行停止、移動制限や必要不可欠な部門以外の生産活動を停止しました。
アメリカは、3月13日に非常事態宣言を発令し、10人以上の会合やレストランなどでの食事、不要不急の旅行を避けるなどの大統領ガイドラインが出され、ニューヨーク州では一部を除き出勤禁止となっています。
日本に比べると、罰則があるなど、かなり厳しい行動制限が課せられているようですが、それに伴う損失の補償、休業補償などの公的支援が施されています。
外出自粛要請による損失補償では、諸外国に比べると、日本政府は及び腰のようですが、そのため、政府が求める「最低7割、極力8割の接触削減」も、なかなか実現は難しい状況です。
さすがに日曜・祝日は、新宿や渋谷など都心の繁華街の人出は、7~8割ほど減少しているようですが、政府が公表した民間企業のデータでは、7都府県の主要ターミナル駅周辺の平日(4月14日)の人の流れは、最大でも5割減にとどまっています。
テレワークや時差出勤などで、混雑を避ける工夫はそれぞれの企業でも実施しているようですが、完全に休業としない限り、とても8割の接触削減は不可能といえるのではないでしょうか。
しかも、厚生労働省クラスター対策班のメンバーである西浦博北海道大学教授は、「接触を一気に8割減らすことができれば、2週間程度で感染者数は減少に転じるが、7割減では効果がわかるまでに2か月弱かかり6割減では横ばいのまま推移する」と、分析結果を公表しています。
新型コロナウイルスの感染拡大は、一体、いつになったら収束するのでしょうか。世界経済にも大打撃を与え、たとえ収束したとしても、その後も経済活動が正常に戻るためには、相当な時間がかかることが予想されます。
企業としても、感染防止のために、何ができるのかを考える必要がありそうです。
それにしても、政府が打ち出す感染拡大防止のための施策は、スピードが遅いことと、迷走ぶりが、あまりにも目立ちます。むしろ、救済措置に乗り出す民間企業や団体の動きの方が、はるかにスピーディーで、実態に即した対策に乗り出しているように思われますが、今、何をするべきか、何を我慢するべきかを、冷静に考えてこの危機を乗り切りましょう。
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