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ビジネスの現場ではもちろん、家庭や友人との付き合いにおいても人間関係はとても大切なものです。顧客や同僚、友人、家族と良好な人間関係を保つためには、場面に応じた適切なコミュニケーションが欠かせません。
特にビジネスの現場では、必要に応じて自分の意見をしっかりと相手に伝えなければなりません。強く伝えすぎれば仕事の枠を超えて人間関係にまで支障を来し、言わなければ真意が伝わらない。そんな人間関係に関わる悩みをお持ちの方に、最近話題となっているコミュニケーションスキル「アサーション」をご紹介します。
今さらここでいうまでもなく、社会において他人とのコミュニケーションは大変重要です。近年はインターネットの普及もあり、コミュニケーションの方法は対面だけでなく電子メールやSNSなど、飛躍的に広がりました。それに伴って多く聞かれるようになったのが人間関係の悩みです。
ビジネスの現場においても同僚とのコミュニケーションはもとより、顧客とのコミュニケーションがうまくいかなければビジネスそのものが成立しません。ビジネスは言い換えると、双方の利害のぶつかり合いです。一番大切なことは双方の利害が一致し、Win-Winの関係が永続的に続くことだと言えるでしょう。ここでどちらか一方が自己の利益ばかり主張していればビジネスは成り立たず、かといって自己の主張を伝えねば不利な条件でビジネスをすることにもなりかねません。
同僚との人間関係に関しても同様のことが言えるでしょう。全員が同じゴール(たとえば売上達成など)に向かってミーティングをしていたとしても、発言をする人、しない人、もしくは声の大きい人、否定的な意見ばかり言う人と、コミュニケーションのタイプは人によってさまざまです。この場においても、主張の強い人にそのまま強い主張を返せば単なる言い争いとなってしまい、望むような結果が得られないことも多くなってしまうでしょう。
同じ内容を相手に伝えるにしても、少し言い方を変えるだけでコミュニケーションはスムーズに進みます。大切なことは相手のタイプを判断し、そのタイプに合わせた対応を即座に行うことです。
相手を尊重し傷つけることなく(争うことなく)、それでいて自分の主張もしっかり相手に伝える。そのようなコミュニケーション方法をアサーションといいます。
アサーション(assertion)の本来の意味は「主張」や「明言」となっていて、コミュニケーションの分野では言葉そのものの意味には使われていません。1940年代に精神医学や行動医学の分野で「自己主張」といった意味合いで使われるようになり、1970年代に黒人差別における公民権運動を契機に、上記のようなコミュニケーションの定義になりました。
アサーションを語るときに必ず出てくる定義が、自己主張のパターンです。コミュニケーションにおける自己主張のパターンは大まかに分けて3つあると言われています。この3パターンを理解することによって、自分のコミュニケーションの問題点やアサーションについての理解が深まることでしょう。
一般的に声が大きく、相手の言うことを聞かずに一方的に自己主張をするタイプです。自分の主張に反対する人がいれば、意見の正誤に関わらず相手を攻撃することもあります。いわゆるマウントを取りに行くタイプでもあり、常に相手より優位に立とうとします。このような攻撃姿勢は自信の無さや知識の無さを隠すための場合もあり、精神的には幼稚であるとも言えるでしょう。
一見すると物静かな落ち着いた性格に見えます。自己主張は控えめで、声高に意見を言うことも相手を攻撃することもありません。相手からの追及に対しては曖昧な言い方ではぐらかすこともあり、言い訳が多いことも特徴です。攻撃タイプに比べて弱い人間の立場を理解していることが多く、相手の意見を尊重することはプラス面なのですが、自己主張ができないのはビジネスにおいてはマイナス面の方が大きいとも言えます。
アグレッシブとノン・アサーティブの良いところを、バランス良く併せ持つタイプがアサーティブです。相手と自分を同じように尊重し、相手の意見をしっかり聞くと共に自己主張することも忘れません。相手と意見がぶつかればお互いが納得できるポイントを探し、折衷案を提案できるインテリジェンスも持ち合わせています。何もかも完璧で理想像に聞こえるかもしれませんが、現代のビジネスの現場に求められているのは、このアサーティブなのです。
アサーションのスキルを身につけ、アサーティブな人間となることは一朝一夕にはできません。実際のコミュニケーションの中で以下のようなことを意識しながらトレーニングしていきましょう。
・相手の主張を聞く
自分を主張する前に、まず相手の主張を遮らずに聞きましょう
・相手を否定しない
相手の主張は否定せず、反論があれば別の考え方を提案しましょう
・理想的な着地点を意識する
全員が理想とする着地点を目的とする主張であれば、誰も否定はできません
・聞いた相手の心情を先回りして考える
自分の言葉を相手がどのように捉えるのかを常に意識し、傷つけない発言を心がけましょう。
いかに仕事ができようと、パワハラまがいの発言を繰り返し、同僚や部下を精神的に追い詰めるような人間は、現代の会社には要りません。また、必要なことを主張せず、他人の意見に迎合を繰り返す「他人事タイプ」の人間も不要でしょう。今、必要とされるのは、多くの意見や異なる主張を建設的にまとめ、ビジネスにおける本当の意味での利益を生み出せる人間です。
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