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2015年、安全保障関連法が成立した際、全国で法案反対のデモが繰り広げられたことは記憶に新しいでしょう。中には過激なものもあり、国会前では多数の逮捕者が出ました。
国民が政治活動に参加することは憲法第21条で保障されている「表現の自由」です。
しかし、自社の社員が過激な政治デモに参加することで企業イメージが落ちるのではないかという心配の声も少なくありません。
社員がそのようなデモに参加している場合、会社としてはどのような対応を取ればいいのでしょうか。
表現の自由
憲法第21条では、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」と規定されています。これは、基本的に個人の自由を保障するものであり、社員は勤務時間外に政治デモに参加することができます。「基本的に」とは、会社の就業規則、服務規律、事業目的に反しない限りはということです。
これに対して、公務員の場合、「政治的行為」は法律で禁じられています。
では、会社は、企業イメージを損なう心配があっても過激な政治デモへの参加を社員の「表現の自由」として制限することはできないのでしょうか。「過激な」デモといっても、違法なものは許されませんので、ここでのデモは警察署に届け出をして許可を得た合法なものとします。
会社が取るべき対策
会社の事業目的や企業理念に反するデモへの参加を制限することは可能です。当該社員に対して注意をしても、思想信条の自由を侵害したとはみなされず、法的に問題はありません。
本来は個人の自由ですが、デモの参加によって会社の信頼を失墜させるような場合、会社は社員に対して損害賠償請求をすることができます。また、勤務時間内の政治活動に対しては、就業規則で禁止することも可能です。
社員に企業理念や会社の業務内容を周知・理解させることも必要となってきます。これにより、社員が過激な政治デモに参加したとしても、企業理念に反するようなデモへの参加を防ぐことができ、企業イメージの低下に直接結びつくことはなくなるでしょう。
また、デモに参加する際に、あくまで会社とは無関係の「個人」として参加するよう指導しましょう。
例えば、社員がデモに参加する際、社員バッジなどにより会社名が判明することがないよう徹底させましょう。
専門家に相談する
思想信条が関係する活動においては、一般的に当事者は感情的になりやすいものです。会社はこのようなデリケートな問題に対しては、細心の注意を払って当事者である社員に接する必要があります。過激な政治デモに社員が参加している場合は、会社にとってマイナス要素になりかねませんので、このような社員の行為をなんとかしたいと焦ることもあるでしょう。
企業理念に反したデモに社員が参加し、取引先から取引を停止された場合でも、すぐにその社員を懲戒処分にすることは難しいです。裁判所は、勤務時間外の社員の行動に対しての懲戒処分には厳しい判決を下しています。
社員が参加するデモの内容にもよりますが、企業イメージを損ねる心配がある場合などは、社会保険労務士などの専門家に相談するのもいいでしょう。会社と社員との間に専門家を挟むことで、お互い感情的にならず冷静な話し合いをすることができるでしょう。
安定した労使関係の構築を
厚生労働省では、採用選考の際に思想信条に関わることの把握を原則的に禁止しています。
思想信条を理由とした内定の取り消しは労働基準法違反にもなります。このようなことから、社員が自由な思想信条を持つことは保障されており、過激な政治デモに参加する社員が出てくることも想定されます。
このような問題が起きた場合、会社と社員の間で話し合いの場を設けることも必要になります。
その話し合いを円滑なものにするためにも、日常的に労使間の安定した信頼関係を築いておくことが重要となります。本来、会社と社員は同じ方向を向いて、会社の発展、成長のために尽力するものです。方向性を同じくしていれば、社員も会社にとってマイナスとなるような行為は慎むでしょう。安定した労使関係作りが、結果的には企業イメージの向上にもつながるのです。
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