公開日 /-create_datetime-/
テクニカル上場という言葉をご存じでしょうか。企業が迅速な経営判断、合理的な事業再編を確保するためにテクニカル上場が行われます。既に多くの成功事例があり、マスコミで報道されているのを目にした経験がある方もいるでしょう。
しかし実際のところ、テクニカル上場がどのように行われるのかについては分かりにくい面もあります。そこで今回はテクニカル上場について、詳しく解説しましょう。
通常の新規上場審査よりも簡素化されたプロセスによって、非上場企業が素早く上場できるようにする制度のことをテクニカル上場といいます。
例えば、上場企業が非上場企業と合併して解散する場合、新規に創設される企業は上場の手続きを経ていないので、そのままでは上場企業とはなりません。しかし合併にあたって、通常の上場審査と同じプロセスを経るとなると、時間がかかってしまいます。そこでテクニカル上場制度を利用することで、本来の上場審査よりも簡略化された手続きにより、新規企業は速やかに上場できるのです。
同様に、上場企業が株式移転等によって非上場企業の完全子会社となる場合も、その非上場会社の株式を速やかに上場させるために、テクニカル上場が行われます。これにより、子会社となる前の上場企業の株主に対して、株式流通の場を提供できるわけです。この場合の例としては、上場会社の株式移転による新設の持株会社の上場を挙げることができます。また、非上場企業である事業会社が、上場企業である持株会社を吸収合併し、新たに上場会社になる場合もこのタイプのテクニカル上場です。マスコミなどで話題になるテクニカル上場は、ほとんどがこの株式移転のケースであるといえます。
企業がテクニカル上場を行う場合、事前に東京証券取引所(東証)に相談する必要があります。上場を公表する10日前までには相談することとされていますが、実際には余裕を見て、かなり以前から相談しているケースが多いです。
相談先となるのは、東証の上場部、および上場管理部ですが、一度の面談の申し込みで、どちらの部からも職員が出席するのが通例です。上場管理部への事前相談は、テクニカル上場の4カ月前までに行う必要があります。
事前相談を終えると、実際にテクニカル上場の申請を行う段階です。申請から上場日までの流れとしては、上場申請は上場日の2カ月前、上場承認は上場日の1カ月前に行います。
上場申請日には、申請のために必要な書類の提出が必要です。提出書類は、各種所定の書類をはじめ、株式総会の議事録、有価証券報告書・Ⅰの部(上場後に正式な有価証券報告書として作成するもの)、登記関連書類、定款、コーポレートガバナンスに関する報告書など多岐にわたります。ただ書類の提出日は、上場申請日~上場承認日の間、上場承認日~上場日前日の間、上場日など書類ごとに異なるので、確認しておくことも大事です。
テクニカル上場審査は、通常の上場審査よりも簡略化されていますが、以下の項目について所定の基準をクリアする必要があります。
①株主数
②流通株式数(大株主が持つ株式や自己株式など、流通可能性のない株式の数)
③株主事務代行機関の設置の有無
④単元株式数(取引される株式の数)
⑤株券の種類(議決権付き株式、無議決権株式など)
⑥株式の譲渡制限がないこと
⑦発行する株券が指定保管振替機関(証券保管振替機構)における株券取扱いの対象であること。
⑧株主の権利とその行使が不当に制限されていないこと。
⑨反社会勢力の関与を受けていないこと。
⑩公益または投資者保護の観点から、上場廃止が適当と認めるような場合に該当しないこと。
新規上場企業と、その企業が発行する株券について、以上すべての項目が審査されます。もし条件が満たされなければ審査は通らず、上場は認められません。
テクニカル上場を行うには、上場審査料と新規上場料を支払う必要があります。
上場審査料としては、東証への上場は200万円、マザーズとジャスダックへの上場には100万円必要です。
新規上場料の額は、新規の上場企業が発行する株券の上場日における時価総額から、上場廃止となった株券の上場廃止前における時価総額を差し引いた額に、万分の2をかけた額です。ただしこれは1,000万円が上限とされます。
テクニカル上場は、通常の上場よりも簡素化された手順で上場を行える制度のことです。既に上場している企業が、新規に設立される非上場企業に吸収合併される場合、あるいその完全子会社になる場合、その新規の非上場企業に対して行われます。
一般的な上場審査よりも簡略されているとはいえ、上場申請日から上場日にいたるまで、順次書類の提出が必要です。また、多数の審査項目をクリアしないと審査は通りませんし、別途費用もかかります。
テクニカル上場を行う場合も、相応の時間をかけて入念な準備が必要といえるでしょう。
※本記事の内容について参考にする際は、念のため関連機関や専門家にご確認ください
紙書類と郵送物の電子化によるコスト削減効果
電子署名の適法性 ~日本の裁判手続きにおける電子署名の有効性~
総務・経理・営業の生産性に影響する法人車両の駐車場管理における落とし穴
管理部門職種別 面接質問集【MS-Japan】
消費者契約法で無効にならないキャンセルポリシーの作成方法
電子帳簿保存法におけるファイル名のつけ方とは
タレントマネジメントは発展途上?人事・総務担当者1,000人調査から見える浸透度と導入状況
企業成長の鍵となるダイバーシティ推進とそのメリット
【最新版】採用手法の全体像|求人広告・人材紹介・ダイレクトリクルーティングの最適な使い分けを解説
「割増賃金の算定基礎となる賃金」に含める賃金・含めない賃金
Docusign CLM 導入事例(ウーブン・バイ・トヨタ株式会社)
新型コロナウィルス問題と見直しておきたい契約条項
工事請負契約書とは?作成時の注意点などを解説!
債権管理・入金消込効率化『Victory-ONE/G4』導入事例 ~30時間かかっていた入金消込がほんの数十秒に! 伊藤忠エネクス株式会社~
【新卒エンジニア育成】入社1年で8割が一人前!サイバーエージェントの新入社員育成
その1on1ミーティング、本当に効果がありますか?効果的な運用と事例紹介
【業務時間90%削減の実例紹介】生成AIを明日から活用できるステップを解説【セッション紹介】
管理部門・士業の採用を成功に導く、“本当に使える”ダイレクトリクルーティングサービスを徹底比較!
【管理部門・士業のビジネスケアラー実態調査】4人に1人が「介護と仕事の両立」を経験、うち8割が「働き方に影響」[MS-Japan調べ]
雇止めの判断基準とは?~雇止め法理と高年齢者継続雇用との関係~
公開日 /-create_datetime-/