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新型コロナウイルスの感染拡大防止の取り組みとして、時差通勤が注目されています。
時差通勤を奨励する動きは、これまでにも何度かありましたが定着することはありませんでした。なぜ、定着しなかったのかなど、時差通勤の歴史とともに振り返ってみましょう。
目次【本記事の内容】
時差通勤の歴史をたどっていくと、第二次世界大戦勃発直後の1940年代にヨーロッパで広まったようです。当時の陸上交通・輸送の主役は鉄道で、軍事物資の輸送などにも鉄道が利用されていました。
そのため、工場地帯への通勤の足でもあった鉄道路線の混雑を緩和するために、時差通勤を推進したのが始まりのようです。
日本で初めて時差通勤が行われたのは、太平洋戦争末期の1944年です。戦況の悪化に伴い海路が封鎖されるようになると、鉄道の果たす役割がますます重要性を帯び、鉄道輸送が滞れば兵器の生産にも支障が出るということで、時差通勤が実施されました。
時差通勤は、戦時中の緊急の運輸政策として、打ち出されたものですが、戦争終結により、諸外国では徐々に時差通勤は姿を消していきます。
ところが、日本は少し事情が違ったようです。イギリスやアメリカなどの欧米各国は、モータリゼーションが普及したことにより、交通・輸送の手段が鉄路から陸路へと移行していきましたが、日本は戦後も鉄道が陸上交通・輸送の主役だったからです。
しかも、日本は世界に類をみない短期間での戦後復興を遂げ、高度経済成長時代へ突入しました。空襲で焼け野原となった東京が都市機能を回復すると、人口も急増し、それに伴い鉄道での通勤通学者も増加し、“通勤地獄”という言葉さえ生まれたほどです。
現在でも、日本の通勤ラッシュ時の混雑ぶりは、“痛勤”と呼ばれるほど過酷なもので、外国人も驚くようですが、戦後間もない時期の混雑ぶりは、それ以上です。
満員電車で幼児が圧死する事故や、急ブレーキで車内が将棋倒しとなり内臓破裂で死亡した事故も発生しています。
また、これ以上は乗れないだろうと思っても、次々と乗り込んでくるために乗車口と反対側のドアの窓ガラスが割れることも頻繁にありました。また、満員電車に乗り切れない乗客を、無理やり押し込む“尻押し”をする要員を、国鉄がバイトで雇ったほどです。
経済白書に「もはや戦後ではない」と記されたのは1956年(昭和31)ですが、この頃から、時差通勤の必要性が再び唱えられるようになりました。
国鉄が取り組んだ時差出勤は、まず通勤と通学の分離を図ることです。学校の始業時間を9時半以降にするよう呼びかけ、1961年には「時差通勤通学対策」が東京で導入となりました。
当時の中央線定期券利用者の4割が学生、生徒だったため、かなりの効果があったようです。さらに国鉄は、一般企業にも時差通勤を拡大させようと考え、1960(昭和35)年春に、朝ラッシュの1時間に1日の輸送量の46%が集中する鶴見線をモデル線と選定し、沿線の工場などに始業時間の変更を依頼しました。
その結果、沿線企業の3分の2で始業時間の変更に応じ、ピーク混雑率を321%から266%まで緩和することに成功しました。
時差通勤の効果が明らかになり、企業や学校から協力が得られたことから、国鉄は1960(昭和35)年の冬から、時差通勤への協力を呼びかけることになりましたが、それが、なかなか浸透してはいかなかったようです。
時差出勤が浸透しなかった原因は、当時のサラリーマンの働き方にあったようです。60年代後半から70年代にかけては、国鉄をはじめ私鉄でもストライキが多発するようになりましたが、電車やバスが止まっても、あの手この手でサラリーマンは出勤していたのです。
たとえ交通機関がストップしても、とにかく始業時間には席に着いているのが「サラリーマンの鏡」と、もてはやされたものです。
その滅私奉公ともいうべき働き方は、“働きバチ”や“モーレツ社員”などと、欧米諸国から奇異の目で見られたものです。
さて、高度成長の昭和からバブル崩壊で低成長となった平成、そして令和となった今は、働き方改革により、“働きバチ”や“モーレツ社員”の働き方が、改められようとしています。時差出勤は、令和になって定着していくのでしょうか。
「時差通勤」はもともと戦時の非常態勢を乗り切るために考案されたものでした。戦時中という特殊な事情のため、国民も日常生活を犠牲にしても協力したようです。でも、戦争が終結し、著しい経済成長下では、地震や台風に襲われようと、電車が止まろうと、あらゆる手段を駆使して出社することが、大いに称賛されたようです。
そんな価値観も大きく変わろうとしています。令和時代に称賛される働き方は、果たしてどのようなスタイルになるのでしょうか?
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