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コロナ禍の業績悪化による“非正規切り”に続き、大手企業でも “希望退職”を募る動きが本格化するなど、2021年は“リストラ”の嵐が吹き抜けそうです。ところで、希望退職とリストラは、何が違うのかご存知でしょうか?
東京商工リサーチは、「早期・希望退職者を2020年内に募集した上場企業は、12月7日までで90社(募集人員数17,697人)に達した」と発表しました。いずれもリーマンショック直後の2009年に次ぐ水準で、大手企業でリストラが進みつつあることを物語る数字といえるでしょう。
リストラは、「restructuring」を略した言葉で、「再構築」という意味です。元々は企業再編や吸収合併など、経営革新のひとつの手法を示す言葉ですが、今では経営悪化に伴う従業員の解雇など、人員削減を表す言葉となっています。
“リストラ=解雇”と受け止めている人が多いようですが、会社側の経営上の理由や経済上の事情による転籍や転属、降格、減給なども、リストラの一部です。また、通常の退職金に割増分を加算し、再就職の支援を行うなどして希望退職者を募るのも、リストラの一環です。
退職金の割り増しなど、お得感のある条件を提示して、従業員に自主的な退職を促すのが希望退職ですが、その目的は人員削減です。経営悪化を立て直すための人員削減ですが、有利な条件を提示できるのは、まだ経営状態に余裕があるからでしょう。
つまり、企業が希望退職募集に踏み切るのは、リストラの前段階ととらえるのが、正解ではないでしょうか。また、リストラや希望退職と、同じような意味を持つ言葉に「レイオフ=雇用調整」があります。
業績が回復するまでの間、一時的に再雇用を前提に労働契約を解除、つまり解雇するというもので、業績が回復した後は再雇用するという雇用調整です。ところが最近は、再雇用しないケースが増加し、レイオフの前提が崩れつつあるようです。
ところで、リストラにせよ希望退職にせよ、企業と労働者の労働契約が解約され、いわゆる「解雇」というカタチになります。解雇には普通解雇、懲戒解雇、整理解雇の3種類があり、リストラは整理解雇に分類されます。
リストラは、企業の経営悪化といった使用者側の都合で従業員を解雇するわけですが、無条件に解雇できることではありません。労働契約法第16条に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定められているからです。
整理解雇としてのリストラは、経営悪化などでやむを得ない場合に行う人員整理のことですから、実施が認められるためには「人員整理の必要性、解雇回避努力義務の履行、人選の合理性、労働者への説明・協議」などの条件を満たしていなければなりません。
整理解雇に普通解雇よりも厳しい条件が求められているのは、一方的に解雇を通告されて職を失うことになれば、労働者の生活基盤が崩れてしまうからです。ですから、労働者をリストラする場合は、それが合理的であるかどうかが問われることになります。
また、たとえ合理的な理由があったとしても、解雇となれば人生設計が大きく狂い、使用者側と労働者の間でトラブルに発展してしまう場合もあります。
トラブルとなりやすいのは、整理解雇を口頭で通告した場合です。「聞いた、聞いていない」となることも考えられますので、できる限り文書での通告を行い、「いつ、誰が、何を話したか」も含めて記録を残しておくことも大切です。
いずれにしても、経営上のやむを得ない事情があるにせよ、これまで懸命に働いてくれていた労働者と、退職条件について十分に話し合う必要があるのではないでしょうか。
東京商工リサーチは「年末から来年にかけ(希望退職)募集に拍車がかかる」と見ているようですが、ビジネスパーソンが気になるのは、自分の会社がリストラに踏み切るかどうか、ではないでしょうか。
リストラの兆候とされているのが、新卒(中途採用)の中止や抑制、出張費・交際費など経費の制限、残業代の抑制、突然の役員交代などです。あなたの会社で、そのような動きが出ていないでしょうか。もし、出ているなら、リストラを断行するかもしれません。
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