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記事作成日(2020年9月18日)
「欠勤控除」が発生するケースは、遅刻や早退、欠勤などによって働けなかった時間がある場合です。「勤怠控除」とも呼ばれます。法令上の規定がないため、勤怠によって欠勤控除を行うのなら、就業規則等にあらかじめ規定しておく必要があります。欠勤控除の考え方や一般的な計算方法について解説します。
目次【本記事の内容】
欠勤控除とは、給与から従業員が労働しなかった時間分、あるいは日数分の賃金を差し引くことです。給与明細には「欠勤控除」「勤怠控除」などと記し、金額を記載する必要があります。
欠勤控除は、「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づいた考え方から発生するものです。「ノーワーク・ノーペイ」とは、「労働者が働いていないぶんは、会社側が賃金を支払う義務がない」という考え方です。
ただ、制度として会社側が給与の支給を認めている場合は、その限りではありません。例えば、有給休暇を取得した場合はもちろん「有給」として給与が支払われます。他にも「リフレッシュ休暇」「慶弔休暇」を欠勤扱いにしない休暇制度として設けている企業があります。
「長期入院などしたら給与の何割か出るのでは」と思った人もいるでしょう。「傷病手当金」がそれにあたります。傷病手当金は、健康保険が給料の3分の2を保障してくれる制度です(受け取りにはいくつかの条件があります)。つまり会社側からの給与は発生しません。会社と労働者の関係はあくまで「ノーワーク・ノーペイ」なのです。
欠勤控除はどんなときに発生するのでしょう。具体的な例を挙げて解説します。
体調不良の日、有給休暇を使わずに欠勤扱いとなった場合は、欠勤控除の対象とすることが可能です。遅刻や早退も同様です。
会社によっては「生理日休暇」など、特定の自由による休暇を認めていることもあります。しかし、生理日休暇を有給扱いにするか否かは会社側の判断にゆだねられています。
インフルエンザは、熱が下がってもウイルスが体内にとどまっている可能性があるため、一定期間は出勤・通学しないという考え方が一般的です。インフルエンザにかかり、有給休暇も使えないとしたら、欠勤控除の対象になります。4日以上欠勤した場合は、先に示した傷病手当金の対象にあたります。
本人が休みを申し出たのなら欠勤扱いになりますが、会社側が「流行を防ぐため、出社は控えるように」と命令した場合は事情が違います。あくまで会社都合のため、「休業手当」が出される可能性があります。
保育園に預けている子どもが発熱し、早めの迎えが必要になるのはよくあることです。ここでも有給休暇を使わなければ、早退したぶんの時間については欠勤控除の対象になります。
ただ、有給休暇を事後申請できる、時間単位の有給休暇を取得可能といった規則が会社側に用意されていれば、欠勤を防ぐことも可能です。このことから、仕事復帰の際に就業規則を確認したり、上司に相談したりして、柔軟に有給休暇をとれるようにする人もいます。
裁判員に選出されると、会社を休んで裁判所へ行かなければなりません。有給休暇が残っていないぶんは、欠勤扱いにする企業もあることでしょう。ただ、欠勤扱いになったからといって無報酬というわけではありません。裁判員候補者や専任予定裁判員には、日当が支払われます。
裁判員法100条には、「労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したこと…(中略)…を理由として、解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない」とあります(※)。裁判員の仕事に必要な休みを取りやすい環境を作らなければ、制度継続は難しくなってしまうためです。裁判所や法務省の意向を汲み、欠勤扱いにせず有給とする企業はこれから増えてくることでしょう。
欠勤控除の計算方法は、法令等で定められているわけではありませんが、一般的な計算式が存在します。ここでは、厚労省が提示している就業規則のモデルケースを参照しながら、一般的な計算方法について解説します。
欠勤した場合は、月給を一ヶ月の所定労働日数で割ったうえで一日分の給与を仮に算出し、欠勤日数分の金額を差し引きます。「月給/所定労働日数×欠勤日数」という計算式になります。
月給が20万円で、本来は月に平均して20日間出勤しなければならない場合、仮に算出される一日分の給与は1万円です。2日間欠勤したなら、2万円を「欠勤控除」として給与から差し引きます。
計算式:20万円(月給)/20日(所定労働日数)×2日(欠勤日数)=2万円(欠勤控除額)
遅刻や早退があったときは、月給を一ヶ月の所定労働時間数で割ったうえで一時間分の給与を仮に算出し、欠勤時間数分の金額を差し引きます。「月給/所定労働時間数×欠勤時間数」という計算式になります。
月給が20万円で、本来は月に平均して20日間、一日に8時間出勤しなければならない場合、遅刻・早退が合計で5時間発生したのであれば、次のような計算式になります。
計算式:20万円(月給)/20日×8時間(所定労働時間数)×5時間(欠勤時間数)=6,250円(欠勤控除額)
通勤手当や住居手当など各種手当を支給している場合は、控除対象とする者について計算を行います。どの手当を控除対象とし、どんな計算式とするかは会社によって違ってきます。
また、ここに紹介した計算方法はあくまでも一般的なものであり、違う計算式を採用している企業もあります。どんな計算方法を採用しているかは、就業規則に明記しなければなりません(※2)。
このように、こうした計算は複雑で手間がかかります。社員の数が多いほど作業も増えるため、労務担当者の負荷も大きくなり計算ミスを起こしやすくなるということも。しかし、勤怠管理システムを使えば、作業の一部を担当者に代わって行うことが可能になり、計算をミスすることもありません。何より労務担当者の負荷が減り、何より労務担当者の負荷が減り、他の作業に集中することができるようになるという大きなメリットがあります。
法令等で定められていないからこそ、欠勤控除の扱いには注意が必要です。欠勤対象となる事柄や計算式については、就業規則にあらかじめしっかり明記しておかなければなりません。
また、就業規則に定めるだけではなく、入社の段階で新人にきちんと説明することが重要になります。具合の悪い社員に「有給にしますか?欠勤にしますか?」と聞いたとき、「欠勤であれば、今日一日分の給与が差し引かれます」などといった長い説明はしづらいものです。社員本人が「欠勤」の意味をきちんと知ったうえで「欠勤します」と言えるよう、周知しましょう。
また、月給が完全固定制の社員であればあまり手間はかかりませんが、支給している手当の種類が多ければ多いほど、控除金額を間違えてしまう可能性が高まります。給与計算については、市販されている専用ソフトを活用したり、アウトソーシングを利用したりすれば、効率的かつ正確に行うことが可能です。まだ導入していない場合は、検討してみましょう。
「MINAGINE給与計算アウトソーシングサービス」は、勤怠管理から面倒な保険手続きまでトータルで対応可能です。毎月の給与計算にかかる時間を削減したい、支払い漏れや入力ミスをゼロにしたい担当者さまにおすすめです。
以上のように、欠勤控除の内容は会社ごとに決めることができます。あいまいにしておくと社員とのトラブルに発展してしまうかもしれませんから、詳細を決めて就業規則に明記し、内容をはっきりさせておきましょう。
社員は、給与額が下がることに敏感です。欠勤のせいでそのぶん給与が差し引かれるというのは、「頭では納得がいくものの、具合が悪くてお金ももらえないのでは踏んだり蹴ったり…」と悲しくなってしまうこともあるでしょう。せめて、あらかじめ規則に盛り込み、周知させておくことが、社員と会社の信頼関係を強めることに役立ちます。
(※1)引用:裁判員の参加する刑事裁判に関する法律
(※2)参考:モデル就業規則について |厚生労働省
記事提供元
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