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国税庁の申告所得税標本調査の結果によると、平成28年度の確定申告納税者数は638万人。そのうち、所得金額が2000万円以上の納税者数は29.3万人で全体の4.6%でした。
日本の所得税法では、経済能力に応じて税金を負担するという応能負担の原則の実現が目指されています。そのため、税額の計算は、所得の増加に応じて適用する税率を累進的に増加させていく超過累進税率を採用しています。
平成28年度、所得が2000万円を超える納税者が納めた税金は全体の63.5%を占めていました。
平成28年度の平均所得金額は629万円。それをはるかに超える2000万円以上の給与所得がある人には確定申告が義務づけられています。
では、なぜこのような高額所得者は確定申告をしなければいけないのでしょうか。
確定申告が必要となる理由
会社から給料をもらっているサラリーマンの給与所得からは、給料の支払者である会社が源泉徴収として、所得税などを差し引いてそれを国に納めます。また、サラリーマンに対しては、原則として年末調整が行われます。源泉徴収での納税額をそこで精算するのです。年末調整では、配偶者控除や扶養控除、保険料控除などさまざまな控除を受けることができます。
しかし、これは年収が2000万円以上あるサラリーマンには該当せず、給与所得が2000万円を超えると年末調整は行われません。高額所得者には適用されない控除があるのです。また、源泉徴収が必ずしも正確ではない場合も多いのです。
そこで、年収が2000万円を超える場合には、確定申告の義務が生じるのです。
確定申告をすることで、納め過ぎた税金が還付金として返金されるケースがほとんどを占めます。
税金の申告の基本は確定申告です。しかし、現在の日本においては、年収2000万円以下の所得者に対しては、年末調整がその代わりとなっているのです。年末調整が行われない高額所得者は、必ず確定申告をしなければいけません。もし、源泉徴収額に不足があるままにしておくと、税務署から指導を受け、無申告加算税、延滞税などを支払う必要が生じる場合もあります。
年収2000万円の場合の納税額
現在の日本の税制は、法人税は減税、所得税などの個人課税は増税する傾向にあります。個人課税の増税に伴い、国税庁などの課税当局も富裕層に対する監視体制の強化を図っています。では、年収2000万円以上の高額所得者はどのくらい納税しているのでしょうか。
冒頭で述べたように、所得税率は収入が多くなるほど高くなります。また、2013年から2037年までは、東日本大震災の復興の施策を実施するために、所得税に2.1%の復興特別所得税が上乗せされることとなっています。この復興特別所得税は全所得者に同じ2.1%が課せられます。
それでは年収2000万円の所得者の場合の所得税額を国税庁の平成30年分所得税の税額表に基づいて計算してみます。
2000万円から給与所得控除額220万円とすべての人に適用される基礎控除38万円を引きます。これで課税所得額は1742万円です。課税所得額に所得税率33%を掛けたものから控除額153万6千円と税額控除を差し引きます。その差引所得税額に復興特別所得税の2.1%を上乗せします。このように算出すると、納めるべき所得税額は約430万円となります。これに約175万円の住民税が課せられます。
確定申告の方法
確定申告の方法は、年収の多寡によって変わりはありません。年収2000万円以上の給与所得者もその例外ではありません。
税理士などに依頼するのも一つの方法ですが、一般の人でも簡単に手続きが取れるようになっています。源泉徴収票や各種控除証明書などを用意し、確定申告書に必要事項を記入します。期日までに税務署に提出、税金を納付します。還付金がある場合、指定した口座に振り込まれます。不明点があった際は、税務署に問い合わせると教えてもらうことができます。
国税庁のホームページには、確定申告書作成コーナーというものが設置されています。画面の指示に従って金額などの情報を入力するだけで簡単に申告書を作成することができます。また、イータックスによる電子申告を利用することで、税務署に行ったり、郵送したりする手間が省けます。
確定申告の時期は、その所得が該当する年の翌年の2月16日から3月15日までとなっています。3月15日が土日祝日にあたる場合はその翌日が期日となります。還付申告の場合は、1月1日から5年間行うことができます。
正しく確実な申告を
このように、年収2000万円の給与所得者ともなると、所得税と住民税を合わせて、500万円を超える金額を納税しているのです。さらには、年末調整の対象ではなくなり、確定申告をする手間が増えます。
これだけ多くの税金を納めているのですから、自らの税金がどのような方法で算出されているかを知ることは大切です。
意図せず脱税などの違法行為をしてしまわないよう、確定申告を正しく理解して、確実に申告を行いましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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