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2021年2月、放送事業会社「東北新社」の総務省への高額接待が報じられました。同年3月には、NTTも総務省に対して高額な接待を繰り返していたことが報じられ、大きな問題となっています。
これまでにも多くの接待問題が繰り返されていますが、そもそも官僚の接待の何が問題なのでしょうか。やっていい接待とダメな接待の基準や、国家公務員倫理規程に求められる整備について解説します。
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東北新社の接待は、総務省の幹部職員12名に対し、延べ39回にわたり繰り返し行われていました。高級料理店での会食という形で行われ、中には総額約12万円に上る接待を受けていた人もいます。
BSやCSを運営する東北新社は、総務省から放送業務の認可を受ける立場にあり、国家公務員との利害関係者にあたります。今回の接待が国家公務員倫理規程に違反すると判断され、総務省職員11名が懲戒や戒告の処分を受けました。
NTTの接待問題については、総務省幹部に対し、NTTの社長が複数回にわたり高額接待を繰り返していたことが報じられていています。双方が会食の事実を認めており、NTTの社長は衆参両議院の予算委員会に参考人として招致されました。民間人が国会に参考人招致されることは異例であり、いかに重い問題であるかが分かります。
NTTの株式の3割超は政府が保有しており、役員の選任などに対して総務省が認可を行うなど、NTTと国は強いつながりを持つ関係です。国から許認可を受ける法人は利害関係者と定められているため、国家公務員倫理規程に違反する疑いが強いとして大きな問題に発展しています。
接待問題の論点は、国家公務員倫理規程が基になっています。国家公務員倫理規程とは、国家公務員倫理法で定められた、国家公務員の行動を規制するルールです。平成10年の「大蔵省接待汚職事件」などを受け、国民の疑惑を招かないようにするルールとして作られました。
同規程では、国家公務員が利害関係者から贈与や接待を受ける行為が禁止されています。具体的な禁止行為は、「金銭や物品の贈与を受ける」「飲食の提供などの接待を受ける」「送迎などのサービスを無償で受ける」「一緒にゴルフや旅行をする」などです。
国家公務員にとっての利害関係者とは、許認可・立ち入り検査・契約などの相手方を指します。利害関係者からは、お中元やお歳暮、お礼の品なども受け取ってはいけません。また、利害関係者ではなくても、物品などの贈与を繰り返し受けたり、高額接待を受けたりする行為は禁止されています。
国家公務員が自分の飲食費用を自分で負担する場合や、利害関係者以外の第三者が負担する場合は、利害関係者と飲食を共にしても問題ありません。金額が1万円を超える場合は、自己負担でも倫理監査官への届け出が必要です。利害関係者以外でも、課長補佐級以上の職員には、5000円以上の接待や贈与では報告を義務付けています。
接待問題の疑惑を受けている関係者が「第三者が開催した会食に招かれた」「自己負担金は5000円」などと度々発言しているのは、このようなルールが定められていることが背景にあります。ぎりぎりのところでルールを犯していないという主張です。
国家公務員倫理規程という厳格なルールがあるにもかかわらず、規程違反または違反が疑われる問題が発生するのは、規程自体がバランスを欠いているからだという考え方があります。
関係企業への許認可権を持つような経済官庁は、省の違いに関係なく、管轄する分野の業界や市場の最新情報を必要としています。業界の現状をくまなく熟知していなければ、実態に見合った許認可や規制の見直しなどを行えないからです。
そのため、関係企業の幹部から会食の誘いがあれば、多くの官僚は情報収集のチャンスと考えるでしょう。便宜を要請されるリスクをかわしつつ必要な情報を探ろうとするのは、多くの官僚が持つ自然な考えといえます。
しかし、国家公務員倫理規程では、会食費を割り勘にして一部を自腹負担するように定められています。情報を集めようとするほど、官僚の経済的な負担が増してしまうのです。結果として、規程違反のリスクを負いながらの情報収集になってしまいます。
民間企業と官僚が対等に渡り合えるようにするためには、互いに本音で話し合える場を作りやすくするために、例えば官僚側にも接待交際費の予算を持たせる必要があるかもしれません。昼間に役所へ呼びつけて話を聞く以上に、官僚にとって有益な情報を得やすくなるはずです。
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今回の接待問題は、国民の心証も悪化させています。国会などの発言で事実を隠そうとするような内容が述べられるたびに、嘘をついているのではないかという国民感情を形成しかねません。
東北新社に総理大臣の息子が勤務していたことや、時期は違えどもコロナ禍により会食を控える風潮の中で接待の会食が問題となったことも、国民の心証を悪くする側面となっています。
国民の信頼を回復するためにも、関係者の処分だけで終わらせるのではなく、原因の調査や規程の見直しで再発防止につなげていくことが求められています。
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