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株主総会で管理部門がやるべきことは?事前準備から想定問答集の作成まで、もう一度確認!

公開日2021/05/28 更新日2021/05/29

日本を拠点とする多くの企業の管理部門では、毎年6月が近づくと株主総会の準備に追われているのではないでしょうか。昨年は新型感染症の流行などがあり、事業にインパクトを与える出来事の多い一年でした。今回の株主総会では、株主から昨年のような緊急事態が損益にどのように影響したか、また今後の事業の展望についての質問が多く寄せられることが考えられます。今回は、株主総会に向けて管理部門が準備しておくべきことや、想定問答集の作成について解説します。

管理部門がするべき株主総会への準備

海外の基準に合わせて1月〜12月末や10月〜9月末を会計年度にする企業も増えていますが、日本ではまだ多くの企業が4月〜3月末を会計年度としています。またほとんどの企業が、株主総会において権利を行使できる株主を定める「基準日」を事業年度末日にしているため、株主総会は6月に集中することになります(株主の権利行使は基準日から3カ月以内が有効と法令で定められている)。そのため企業の管理部門では、事業年度末日から6月の株主総会に向けて様々な準備が始まります。一般の企業では、通常以下のような準備を株主総会に向けて進めていきます。管理部門では、書類の準備や会議開催の段取りなどを遅滞なく進めなければなりません。

  • 計算書類や事業報告、附属明細書などを作成し監査役に提出(4月中旬頃)
  • 監査役が監査報告書を取締役に提出(5月初旬)
  • 取締役会にて計算書類等の承認決議と株主総会の招集決議
    日時や開催場所、議案などについても決定する(5月中旬)
  • 株主総会の招集通知発送
    非公開会社の場合は開催の1週間以上前、公開会社は2週間前まで
    書面投票・電子投票を行う会社は2週間前まで
    また取締役設置企業の場合には、招集通知に以下の書類を同封しなければならない(会社法437条)ため、その準備も併せて行います。
  • 事業報告
  • 監査報告
  • 損益計算書
  • 貸借対照表
  • 株主資本等変動計算書
  • 個別注記表

株主総会の議事進行

株主総会の議事進行には、一括上程方式と個別上程方式があります。一括上程方式は、事業報告や監査報告などの報告事項や議案をすべて上程した後に質疑応答を行って採決する方式です。個別上程方式は議案ごとに上程、質疑応答、採決を行う方式です。一括上程方式の場合には、以下のように議事が進行します。

  1. 議長就任、開会宣言
  2. 議事進行方法確認、出席株主数と議決権個数の発表、定足数充足の宣言
  3. 監査報告
  4. 事業報告、計算書類の報告
  5. 議案事項の報告・説明
  6. 質疑応答
  7. 採決
  8. 閉会宣言

    想定問答集の作成

    昨年の新型感染症流行のような想定外の事態や、激しい景気の動きがあった場合には、その対応について株主から多くの質問が寄せられることも考えられます。上記の議事の中の質疑応答部分については、質問に対して迅速に回答するため、会計年度の状況に応じた想定問答集を作成しておくのが大切です。企業の業態によって違いはありますが、おおよそ以下のような事項を質問する株主が多いようです。

    • 事業報告と各議案への質問
    • 株価や株主還元
    • 資本政策と経営戦略
    • ビジネス戦略(自社の強み弱み、マーケティング戦略)
    • 知財戦略と技術開発(新商品開発等)
    • 情報セキュリティとリスク管理
    • 内部統制と法令遵守
    • CSR(企業の社会的責任)活動

    基本的には上記それぞれの社内担当が想定問答を作り、回答する内容については管理部門が一緒になって検討を行います。また今回のような新型感染症の流行など、通常ではない出来事については以下のような事項についても想定問答集に盛り込んでおくべきでしょう。

    • BCP(事業継続計画)、BCM(事業継続マネジメント)、CM(危機管理)
    • 対策策定・実施の社内体制づくり
    • ガイドラインの策定・社員への周知方法
    • 感染者への対策(感染者が出た場合の対処法)
    • 具体的な感染防止対策(検温や消毒液の設置など)
    • リモートワークやテレワークの実施状況
    • 対策費用の支出に関わる事業への影響度
    • 緊急事態の事業への影響度とその対策

    想定問答集の内容は、その企業の危機感を具現化したものだと言われます。実際には使われない回答が多いのも現実ですが、管理部門のビジネスセンスが問われる文書でもあります。決して疎かにせず、毎回更新しておきましょう。

    まとめ

    株主総会における管理部門の仕事は、書類の準備や招集通知の発送だけでなく、当日は会場の設置から受付、撤収、株主総会後は議事録の作成や公告など枚挙に暇がありません。法令で定められた「やるべきこと」を粛々と進められるか否かは、管理部門の手腕にかかっています。株主総会のやるべきことを事前、当日、事後としっかり整理し、管理部門のスタッフ全員と協力しながら進めていきましょう。

    ※本記事の内容を参考にする際は、念のため専門家や関連省庁にご確認ください

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