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令和3年度の電子帳簿保存法改正|「知らなかった」では済まない2つの注意点

公開日2021/08/12 更新日2021/08/13


令和3年度の電子帳簿保存法改正により、税務署長への事前承認制度の廃止や、スキャナ保存制度要件が大幅に緩和されるなど、多くの要件廃止や緩和がされました。

経理業務における効率化が図れる一方で、改正による注意点も把握しておく必要があります。

今回は、令和3年度の電子帳簿保存法で大幅に改正されたポイントと、改正に伴う2つの注意点を解説します。

令和3年度の電子帳簿保存法の改正ポイント

令和3年度の電子帳簿保存法の改正が行われ、令和4年1月1日から施行されます。まずは、大幅に改正されたポイントを押さえておきましょう。

  • 税務署長への事前承認制度の廃止
    税務署長への事前承認制度が廃止されたことにより、現行の3カ月間待機がなくなりました。
    電子帳簿保存法に則ったスキャナや会計ソフトなどが整った段階で、スピーディーに電子保存の開始が可能です。
  • スキャナ保存要件の大幅緩和
    契約書や領収書などの国税関係書類について、タイムスタンプ付与の日数期限が現行の3日以内から最長で約2カ月以内にまで緩和されました。
    また、受領者による自署が不要となったほか、2名以上での相互確認が1名に改正され、1人での事務処理が可能になりました。
  • 適性事務処理要件の廃止
    スキャナ保存における相互けん制・定期検査・再発防止策の社内規程整備の適性事務処理要件が廃止されました。
    定期検査まで保存していた請求書や注文書などの原本を、スキャナ保存後すぐに破棄できます。
  • 検索要件の緩和
    複雑でハードルが高かった検索要件が、「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3つに簡素化されました。
  • 電子取引データの書面による保存の廃止
    現行で認められている紙出力による書面保存が廃止され、すべての書面を電子データ保存する義務が生じます。

電子帳簿保存法の改正に伴う注意点

要件の廃止や緩和により多くの企業が電子データ保存の導入を検討する一方で、改正に伴う注意点が2つあります。

重加算税の加重措置に注意

    令和3年度の電子帳簿保存法改正で最も注意したいのは、不正による重加算税の課税措置が新たに設置されたことです。

    スキャナ保存制度の現行法以上に企業へのメリットが大きくなった分、不正に対しては厳しい措置が設けられました。

    電子取引データやスキャナ保存データの改ざん、削除、不正利用などが発覚した場合、これまでの追徴税額35%に重加算税10%が加重されます。

    たとえば、従業員がスマホなどで撮影・電子化した領収書の画像を複数回使用して、二重に経費を申請するケースが考えられます。

    内部統制の徹底、内部・外部監査の実施、電子帳簿保存法に対応したシステムサービスの活用など、リスクヘッジの仕組みを設けて不正を防ぎましょう。

    メール添付データの管理に注意

      現行では紙ベースでの保存が可能ですが、電子取引データの書面保存廃止に伴う注意点は、取引先から請求書や領収書などのPDFファイルをメールで受け取った場合、改正後は紙にプリントアウトして保存できなくなるのです。つまり、令和4年1月1日以降は紙ベースでの保存は原本としてみなされなくなります。

      社内での事務処理規程の備え付け・運用により対応できますが、検索機能や保存場所を用意して要件を満たす必要があります。

      簡単な対応策として、スキャナ保存同様にPDFファイルに自社内でタイムスタンプを付与する方法がおすすめです。

      電子帳簿保存法に対応する際の課題

      電子帳簿保存法に対応することでバックオフィスの効率化が図れるものの、課題も残されています。

      まず一つは、スキャナ読み取り情報の確認にかかる労力が大きいことです。領収書のスキャナ画像が要件に合っているか正確性を確認する作業が伴うため、従業員数が増えるほどに経理部担当者への業務負担が大きくなるでしょう。

      領収書のスマホ撮影時に手ぶれを起こす可能性や、手が写り込んでいて情報が欠落するなど、要件を満たさない可能性もあります。

      斜めからの撮影、折れ曲がり、不鮮明で情報を読み取れない場合なども要件を満たさないため、廃棄前に再度確認の手間がかかるでしょう。

      次に、導入コストと同時に意識改革も必要だということです。企業や経理担当者にとって、ペーパーレス化や電子帳簿保存法に対応したシステムの導入は、実務面・意識面における大改革といっても過言ではありません。

      スキャナ保存時のタイムスタンプの発行だけでなく、法的要件に則したシステムの導入には相応のランニングコストがかかります。

      さらに、経理担当者が慣れるまでは一時的に負担がかかり、業務の遅延が起きることも想定しなければなりません。

      役員レベルが、このようなコストをかけてでも電子帳簿保存法に対応する意義を感じなければ、対応は進まないでしょう。

      まとめ

      繰り返しアップデートが行われてきた電子帳簿保存法ですが、令和3年度にも大幅な改正が行われました。

      廃止や要件緩和など大幅な改正により、これまで二の足を踏んでいた企業も対応しやすくなったことは確かです。その一方で、不正に対する罰則はこれまで以上に重くなっています。

      これから対応する企業は、電子データの不正ができないシステムやAIを活用したシステムの導入を検討するとよいでしょう。

      ※本記事の内容について参考にする際は、念のため関連省庁や専門家にご確認ください


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