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文部科学省と厚生労働省は11月19日、来春大学卒業予定者の就職内定率を公表しました。
就職内定率は前年同期比で1.4ポイント上昇したものの、喜んでばかりはいられない状況も浮き彫りになっています。
本記事では、調査内容および結果を紹介するとともに、先行きが不透明な社会情勢下で、どのような点に着目して人材採用するべきなのかについても考察します。
文部科学省と厚生労働省は、令和4年3月大学等卒業予定者の就職内定状況を共同で調査しました。調査対象は、国公立大学24校、私立大学38校、短期大学20校、高等専門学校10校、専修学校(専門課程)20校の合計112校、6,250人です。
令和3年10月1日現在の大卒予定者の就職内定率は71.2%で、前年同期比で1.4ポイント上昇しましています。コロナ禍真っ只中にあった昨年同期の内定率は69.8%でした。前年同期比においては確かに回復傾向にあるものの、一昨年同期の76.8%からは依然回復していないのが現状です。
男女別では、男子が70.7%(前年同期比1.9ポイント上昇)、女子は71.7%(前年同期比0.8ポイント上昇)でした。
また、文系・理系別では、文系が70.8%(前年同期比2.1ポイント上昇)、理系は72.6%(前年同期比1.9ポイント低下)という結果になっています。
両省発表の調査結果概要によると、私立大学・短期大学・専修学校の内定率はポイント上昇していますが、国公立大学・高等専門学校は低下しています。
【上昇】
・私立大学:71.8%(前年同期比2.7ポイント上昇)
・短期大学:33.5%(前年同期比6.4ポイント上昇)
・専修学校:54.7%(前年同期比9.2ポイント上昇)
【低下】
・国公立大学:69.2%(前年同期比2.7ポイント低下)
・高等専門学校:87.1%(前年同期比6.7ポイント低下)
コロナ禍による就職市場の冷え込みが一見落ち着いたようにみえますが、今後の感染状況によっては、企業サイドの採用意欲が再び低下する可能性もあります。
現状、コロナ禍の打撃を受けた飲食・宿泊・観光業界は積極的な採用には至らず、影響が小さかったIT業界での採用は比較的活発化しています。
ここからは、オンラインスクール事業やメディア事業を展開する「株式会社日本デザイン」のプレスリリースをもとに、IT系企業の採用事情を紹介します。
ゼネラルリサーチがIT企業の経営者・人事(採用担当者)に実施した「IT企業の採用事情の変化」に関する調査によると、「コロナ禍で採用人数の増減はあったか」の質問に対し、約半数の方が「大きく減少(16.6%)」「やや減少(29.6%)」と回答しています。
一方、「やや増加(5.1%)」「大きく増加(1.5%)」したという回答は、わずか6.6%に留まりました。
全般的に採用が減少した理由の多くは、「業績に問題はないものの、現状に不安があることから採用を控えた」という内容です。
また、採用人数を減らしたことから、半数近くが「採用ハードルにも変化があった」と回答しています。具体的な内容は以下のとおりです。
・ハードルを落として採用人数を増やした
・反対にハードルを上げて少数精鋭化を加速させた
・勤務時間が少ないアルバイトの募集を開始した
・OJT不要の即戦力を求めた
やはり、人件費の削減や育成時間の短縮などを実施して、コロナ禍を安全走行したいという希望が強いようです。
日本でのコロナ禍は一段落したとはいえ、海外に目を向ければ新種の変異株の登場や原油価格の高騰など、まったくもって先行きが不透明な社会情勢です。
かつての高度経済成長期には、勤勉で過重労働もいとわないタフな人材が重宝されました。
バブル期を経て、IoTや情報通信、オートメーション化が加速度的に進んだおかげで、一定の作業は無機質な機械が担当してくれます。
今後、不安定な社会情勢下で企業として競争力を高めるには、スキルを備える人材だけでなく、次の要素を兼ね備えた人材採用が必要だと考察します。
・感情に振り回されず、理解力と論理的思考を備えている人材
・積極的に人と関われる精神的強さを持つ人材
・環境の変化に関係なくモチベーションを維持できる人材
同時に、新卒採用者を含めた従業員にとって「いかに魅力的な会社であるか」という、企業のあり方も大切なポイントです。
・労働形態や時間の見直し
・能力に見合った報酬
・福利厚生の充実
・性別に関係なくキャリアアップできるサポート体制
・リフレッシュ休暇
挙げればキリがありませんが、改善できるところを見つけ出してブラッシュアップし、自社に有益となる人材を採用しましょう。
来春大学卒業予定者の就職内定率は前年同期比で上昇しました。しかし、世界的規模で経済が混迷しているため、どの企業においても人材採用には慎重です。
これからは、不安定さや変化に対応できる人材を採用するとともに、自社の魅力を創造する姿勢が求められるでしょう。
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