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コロナ禍で株価は乱高下していますが、東京証券取引所の市場区分が、2022年4月4日から、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つの市場区分となります。
ただでさえ株価が変動する経済情勢のなかで、市場が再編される来年度から株価はどのようになるのでしょうか。
現在の市場区分は、市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQの4つあります。この区分は2013年に東京証券取引所と大阪証券取引所が株式市場を統合した際に、混乱が生じないようにそれぞれの市場構造が引き継がれました。
その結果、それぞれの市場区分の位置づけ、つまりコンセプトが曖昧となり、本来の上場後の積極的な企業価値向上を促す仕組みになっていないなど、多くの課題が浮上しています。
その課題のひとつが、上場廃止基準が新規上場基準よりも低いことです。
東証一部上場企業数は2,200社ほどに膨れ上がり、最上位であるはずの東証一部上場企業数が、上場企業の約6割を占める状態となっています。
理由として、他の区分から一部へ移る基準が新規上場基準よりも緩いという背景があります。市場区分の見直しは、この増えすぎた東証一部銘柄を減らすためという狙いもあり、2022年4月4日から、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つの市場区分となります。
では、新しい市場区分となるプライム市場、スタンダード市場、グロース市場のそれぞれのコンセプトを見ていきましょう。
プライム市場は「グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場」、スタンダード市場は「公開された市場における投資対象として十分な流動性とガバナンス水準を備えた企業向けの市場」、グロース市場は「高い成長可能性を有する企業向けの市場」というものです。
この3つの市場区分でとくに注目を集めているのが、最上位となるプライム市場です。流通株式比率35%以上、時価総額100億円以上のほか、海外からの投資資金の拡大を図るため、環境や社会、企業統治などESG関連の開示強化など、現在の第一部よりも厳しい上場基準となっています。
この厳しくなった上場基準によって、第一部上場2,191社のうち、プライム市場の基準に適合しているのは約7割となる1,527社です。つまり、600社ほどが新しい区分のプライム市場の上場基準に達していないことになります。
新しい3つの市場のどこを選択するかは、企業自身が12月末までに上場市場を選んで申請することになっています。上場基準を満たしていなければ、これまで一部上場企業だった企業も、プライム市場へすんなりと移行できません。
ただし、東証株価指数(TOPIX)の2022年4月1日時点の構成銘柄は、選択市場にかかわらず時限的に継続されますので、本格的に株価が動き出すのはもう少し先になるかもしれません。
欧米の主要市場の最上位銘柄は500銘柄ほどですから、それに比べると2,000社ほどのプライム市場の適合銘柄はまだ多いようです。現在の上場企業がどの市場区分を選ぶかということが、2022年度の株価にも大きく影響するのではないでしょうか。
さて、最近の株価の動きですが、「必ずしも実体経済を反映しているわけではない」という、否定的な見解を示すエコノミストも多くいます。
市場見直しの背景には、増えすぎた銘柄を絞り、市場価値の向上を高めることで、海外マネーを呼び込みたいという狙いもあるようです。海外投資家の動きが日本の株価を左右しているという指摘もあります。さて、どうなるのでしょうか。
いずれにしても、株価の動きは上場企業や投資家にとって大いに気になるところです。コロナ禍にもかかわらず、いまのところ上昇傾向を示していますが、この市場区分の影響がどのように株価に反映されるのか、来年度からの株式市場の動きに注目が集まりそうです。
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