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総務省の資料によると、2019年6月に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」において、2025年6月末までに、国内のキャッシュレス決済比率を4割にまで高める目標が掲げられました。以後政府の方針により、キャッシュレス化が推進されています。
それにともなって、ビジネス分野でも経費精算をキャッシュレスにする動きが進んでいます。今回の記事では、企業がキャッシュレスで経費精算を行うメリットと、その具体的な方法について解説します。
経済産業省が2021年に実施したアンケート調査では、事業者のキャッシュレス決済は、主に以下のような状況にあることがわかりました。
・クレジットカード決済は全体の半数以上が導入しているが、電子マネーは4分の1程度
・サービス業、製造業、建設業、一次産業などではキャッシュレス化が進んでいない
・中規模以上の事業者に比べて、小規模事業者でのキャッシュレス化は遅れている
・客単価が高い業種になるとキャッシュレス決済導入率が低くなる
・導入しない理由としては、手数料などのコスト負担が第一に挙げられている
全体で見ると、なんらかの形でキャッシュレス決済を導入している事業者は7割を超えています。ただし業種によってのギャップが大きく、手数料負担が導入を見送る1つの要因になっているようです。
キャッシュレス化の中でも、今回は経費精算を中心に話を進めます。その具体的な方法として最も普及しているのが法人用クレジットカードです。さらに交通費などはSuicaのような交通系ICカードや、プリペイドカードを利用することが一般的です。
こうした経費精算方法を、まとめて経費精算システムと結びつければ、経理業務を大幅に効率化できます。キャッシュレス化は支払いの手間を軽減するだけでなく、企業の経営効率化にも貢献するのです。
では経費精算をキャッシュレス化すべきなのか、その判断材料になるメリットについて、大きく5つのポイントを挙げてみましょう。
①社内での現金管理を軽減できる
消耗品や文房具などを購入するごとに、現金を出し入れする手間が省けます。出張費や交通費に関しても現金を準備する必要がなくなります。
②キャッシュフローを把握しやすい
経費精算を会計システムと連動させれば、金銭の流れを簡単に把握できます。
③経費精算のミスを減らせる
細かい現金をやりとりする手間がなくなると、経費管理上のミスも減らせます。
④会計帳簿への記帳作業が軽減される
現金の場合手入力で帳簿に記入する必要があります。しかし、キャッシュレス化により自動的に記帳できるようになり、複雑な会計処理も必要なくなります。
⑤付帯的サービスがある
クレジットカードの場合、ポイントシステムや各種施設への優待などのほか、マイレージや交通機関の割引などのサービスが受けられます。経費削減効果も期待できるわけです。
メリットと比較して、経費精算をキャッシュレス化するデメリットは少ないと考えてよいでしょう。あえて挙げてみると、以下の4点には注意が必要です。
・従業員が利用するカードや電子マネーの統一が難しい
・運用ルールの社内通知など、導入するためには手間がかかる
・社内の会計システムと連動した仕組みを構築する必要がある
・不正利用や盗難などのリスクがある
こうしたデメリットを解消するためには、導入に際して一定期間の準備段階を設け、完全なキャッシュレス化までには時間をかけて、段階的に進めることがポイントになるでしょう。
経費精算をキャッシュレスに移行するにあたっては、最初に経費の管理方法を見直す必要があります。経費の使いすぎや不正利用を防止するために、社内での経費精算ルールを規定しておくことが重要です。
次に経費精算のシステム化を進めます。無料で使えるシステムもあるので、企業の規模と費用対効果を考慮して、会計処理の電子化に経費精算も組み込んでしまうとよいでしょう。
同時に法人カードの導入もおすすめします。個人事業主でも、事業用のカードを1枚は持っておくべきです。法人カードの場合は追加カードを申請することで、複数の従業員が同じ契約でカードを使用できるため、企業内の責任者分をそろえておくと便利です。
現在オフィスの電子化が進む中で、会計処理でも一元的なシステムによる効率化が進んでいます。しかし複数の経費精算を現金でやりとりしていると、電子的なシステムの利点が十分に発揮されません。そこで経費精算をキャッシュレスにする必要が出てくるわけです。
ただし、キャッシュレス化には準備が必要であり、ある程度の投資も求められるため、慎重に費用対効果を考えたほうがよいでしょう。その結果導入したほうがメリットが大きいようなら、今がキャッシュレス化を進めるベストなタイミングかもしれません。
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