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コロナ禍の経済情勢に対応する中小企業・小規模事業者の事業継続・成長への支援として、令和4年度税制改正大綱に盛り込まれたのは「交際費課税の特例措置の延長」、「少額減価償却資産の特例措置の延長」、「土地に係る固定資産税の経済状況に応じた措置」、「コロナ禍等を踏まえた事業承継税制に関する所要の措置」です。
それぞれのポイントをみていきましょう。
交際費は、得意先や仕入れ先に対して、事業が円滑になるために接待や贈り物などに支出する経費で、販路の拡大や販売を促進していくためには必要な支出です。交際費については、原則損金不算入ですが、条件付きで損金として算入できる限度額が定められています。
今回の税制改正大綱には、資本金1億円以下の中小企業に対して、年間800万円まで全額損金として算入することを可能とする特例措置を延長することが盛り込まれました。
交際費については賛否両論ありますが、中小企業にとっては新規顧客の開拓や販売促進には欠かせない手段です。特例措置を延長することで、中小企業の経済活動の活性化を支援することが目的です。
中小企業は、深刻な人手不足や不透明な経済情勢に直面しています。しかし、わが国の雇用の7割を支えているのが中小企業です。つまり、日本経済の回復に欠かせないのが中小企業の活性化です。
ところが、中小企業の現状をみると経理などの事務部門には、必要な人員数を配置することが難しく、事務負担の軽減を図るためには、業務の効率化につながるデジタル設備やツールの導入も必要です。
そこで、事務負担軽減やデジタル化促進のため、中小企業が取得する30万円未満の少額設備投資(PC・タブレットなどの情報通信機器等)について、年間300万円まで即時償却を可能とする特例措置を延長するとしています。
少額減価償却資産の特例措置の延長によって、中小企業や小規模事業者のデジタル化が促進されることにつながるのかも、注目されています。
新型コロナウイルス感染症は、社会経済活動や国民生活に大きな打撃を与えました。さらに追い打ちをかけるように重くのしかかってくるのが税負担です。
なかでも商業地では、地価が高騰しているところもあります。そのようなエリアに社有地やビルを所有している場合、固定資産税の課税額も上昇するため、税負担が経営そのものを圧迫する可能性もあります。
そのため、課税額が上昇する土地については、税額上昇分を半減する措置を講じ、税負担の増加を緩和する方針が税制改正大綱に盛り込まれました。
不動産価格は、2020東京オリンピック・パラリンピック以後は、下降するとみられていましたが、バブル期を思わせるような高騰を示している場所もあります。コロナ収束後の社会経済情勢や地価動向などの状況を踏まえた措置といえそうです。
「中小M&Aガイドライン~第三者への円滑な事業引継ぎに向けて~」(中小企業庁)によると、5年以内に経営者がリタイアする可能性のある企業の約半数が、後継者が決まっていないようです。
とくに中小企業が多く、事業承継が進まなければ失業者があふれることになります。事業を継続させるために設けられたのが事業承継税制で、事業承継を受けた後継者が、会社の事業を継続させることを条件に、相続税や贈与税を全額免除するという制度です。
この制度を受けるためには「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づく認定等が必要となりますが、2023年3月までとされている特例承継計画の提出期限を1年延長することが盛り込まれています。
中小企業の事業承継が進まなければ、2025年までに平均引退年齢の70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となります。そのうちの半分が後継者未定ということは、日本経済の行方に大きく左右するほどの大きな問題です。
コロナ禍で苦境に立たされている中小企業・小規模企業を支援するために、さまざまな優遇税制が盛り込まれることになりました。1日も早くこの難局を乗り切れるよう、内容を確認しておいた方が良さそうです。

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