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ヤマト運輸とワークスモバイルは、ビジネスチャットツール「LINE WORKS」上から、宅急便の発送手続きができる新サービスの提供を5月12日から開始しました。
外出先や出張先、自宅など会社以外の場所からの荷物発送が、より簡単で便利になりそうです。
新しいサービスは、「LINE WORKS有料版」のユーザーが対象で、無料版のユーザーは利用できませんが、宅急便の発送手続きをビジネスチャットツールから簡単にできるようになります。
LINE WORKS上のトーク画面で届け先の情報を入力すると、専用QRコードが発行されます。その専用QRコードを荷物と一緒にヤマト運輸の営業所に持ち込むだけで荷物を発送できるサービスです。
送り状を作成する手間が省けるだけでなく、宅配ボックスの「PUDOステーション」やコンビニからの発送にも対応しています。
また、出張先から荷物を送る場合、配送費用を立て替えなければなりませんでしたが、このサービスを利用すると、LINE WORKSの利用料金と合算して会社に請求されますから、個人で立て替える必要がなくなります。
貨物輸送量は減少傾向にあるものの、小口貨物については、ネット通販など電子商取引(EC)の市場拡大の影響で、宅配便の取扱件数は2018年までの5年間で約6.7億個(18%)も増加しています。
ビジネスシーンだけでなく、ネットショッピングの普及を受け、個人向けの小口宅配が増えています。この小口の宅配サービスのシェアは、ヤマト運輸(宅急便)、佐川急便(飛脚宅配便)、日本郵便(ゆうパック)の3社で、ほぼ9割を占めているそうです。
宅急便や飛脚宅配便、ゆうパックは、誰もが利用した経験があるでしょう。小口宅配サービスとはいえ、社会生活を支える物流産業の一角を占めていることはいうまでもありません。
ところが、その物流産業に暗い影を落としているのが、2024年度から始まる「残業の上限規制」、いわゆる「2024年問題」です。
2000年には100万人だった物流関連ドライバーの数が、2030年には50万人に半減するという予想もあります。そこに、残業時間の上限規制となれば、ドライバーの労働時間の減少とともに、輸送能力はさらに低下することになります。
輸送能力の低下が叫ばれていますが、皮肉にも、個人向け宅配の増加が運送事業者の大きな負担にもなっています。個人向け宅配サービスの需要が増えたのは、少量の荷物でも届けてもらえるからですが、それは業務の効率化とは逆行するものです。
運送業界も、こうした課題解決に向け、共同配送による輸送便数の減少や伝票の電子化など業務の効率化につながる取り組みも行っています。トラックの無人隊列走行やドローン、自動配送ロボットの活用の検討も始まっています。
今回のLINE WORKSからヤマトの宅急便が送れる新サービスも、その一つかもしれません。今後の利用状況と収益がどうなるかについても注目したいところです。
運送業務の効率化を目指すなら、1台のクルマ(トラック)にできるだけ多くの荷物を積めばいいのですが、1台のトラックで運ぶ荷物量を示す積載率は、欧米の60%に対して日本は40%ほどです。つまり、半分以上が空の状態で運んでいることになります。今後、これらの課題に取り組んでいくことも、物流産業に求められることになりそうです。
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