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総務省による「大規模災害時における初動等対応方針改定」の内容とは

公開日2022/06/25 更新日2022/06/26

災害が発生した際に備え、携帯電話などをはじめとした通信ネットワークの強靭化を図るために「災害時における通信サービスの確保に関する連絡会(以下:連絡会)」が開催されました。総務省と電気通信事業者とによって、「大規模災害時の被災地域における通信サービス確保のための基本的な初動等対応方針(初動等対応方針)」の改訂が行われました。今回は、同連絡会による初動等対応方針の改訂内容について解説していきます。

初動等対応方針改定の概要とは

同連絡会によって話し合われた初動等対応方針の改訂とはどのような要点を踏まえたものなのでしょうか。概要をわかりやすくまとめてみましょう。

●総務省と電気通信事業者との連携強化

皆さんもよくご存じのように、わが国では毎年何かしらの自然災害が発生しています。事実、日本は世界でもトップクラスの災害大国と言われているほどです。日本における自然災害で最も多いのが台風、ついで地震、洪水と続きます。

今回の初動等対応方針の改訂では、そうした災害が発生した際に、携帯電話などの通信サービスを確保するため、

  • 初動対応
  • 応急復旧対応
  • 平時における対応

などを迅速に行えるようにするため、電気通信事業者とそれを管轄する総務省との連携をより強化する目的があります。

●被災地域での通信サービス確保をより強靭化する

また初動等対応方針の改訂では、災害時の通信サービスに対する速やかな応急復旧に対応するため、

  • 総務省と電気通信事業者とで平時からその問題に取り組む
  • 災害時は通信サービス確保のため迅速な初動対応を行う

などといったことが概要として盛り込まれています。

これにより、被災エリアにおける通信サービスの確保および応急復旧を、より強靭なものにするための取り組みが進められていくことになります。

初動等対応が必要とされる災害とは

初動等対応方針の内容を見る前に、まず通信サービスの確保が必要な災害とはそもそもどのくらいの規模なのか? という部分も気になります。

●通信サービス確保の対応が必要な災害

同連絡会によれば、

① 緊急災害対策本部、非常災害対策本部、特定災害対策本部が設置される規模

② 災害対策会議を構成するメンバーのうち全員または一部が、内閣法第2条に基づく国務大臣で構成される災害

③ 上記に準ずる甚大な災害

    と、規定されています。

    1番目の、緊急災害対策本部、非常災害対策本部、特定災害対策本部とは、それぞれ以下のような災害が挙げられます。

    緊急災害対策本部

    平成23年東北地方太平洋沖地震など

    非常災害対策本部

    令和元年台風19号など

    特定災害対策本部

    令和3年7月大雨災害など

    また、2番目の災害に該当するのが、令和元年の「台風19号に関する閣僚会議」です。

    なお3番目に該当する災害は、非常災害現地対策本部や緊急災害現地対策本部などが設置される規模の災害です。

    非常災害現地対策本部

    平成12年の有珠山噴火など

    緊急災害現地対策本部

    著しく異常かつ激甚な非常災害

    緊急災害現地対策本部の「著しく異常かつ激甚な非常災害」とは、今後起こるとされている南海トラフ地震などが想定されています。

    ●電気通信事業者とは

    災害発生時の初動等対応方針では、電気通信事業者とそれを管轄する総務省との連携強化が図られていますが、電気通信事業者とは国の指定する公共機関であり、以下の企業が該当します。

    • 日本電信電話株式会社(NTT)
    • NTT東日本
    • NTT西日本
    • エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ
    • NTTドコモ
    • KDDI
    • ソフトバンク
    • 楽天モバイル

    いわゆる固定電話や携帯電話サービスを提供している企業のことになります。

    初動等対応方針の内容

    では、今回改定された初動等対応方針の内容とはどのようなものなのでしょうか。具体的な内容を見てみましょう。

    今回の改定においては、「初動対応」・「応急復旧対応」・「平時における対応」が柱となります。

    ●初動対応

    災害時の初動対応として、

    ① 大規模災害が発生した場合もしくは発生の恐れがある場合は速やかに総務省と電気通信事業者との間で連絡を取り合うこと

    ② 電気通信事業者は大規模災害発生時に設備等の被害状況を報告、震度5弱以上の地震が起きた際は30分後を目安に被害状況を報告及び継続的な定量報告を行う

    ③ これらの連絡手段は電話、メール、DaaS-Netを活用する

    ④ 大規模災害が発生した場合は、総務省と通信事業者は速やかに被災地域を訪問し被害状況や通信障害等を把握する

    ⑤ 2にて把握した通信サービスの被害状況を都道府県の災害対策本部などと共有し、早期復旧のための連携を行う

      災害時、総務省と電気通信事業者とで細かく連絡を取り合い、状況の共有を行うことを明確にしたものとなっています。

      ●応急復旧対応

      応急復旧対応では、通信サービスを早期に復旧するため、関係機関との情報共有を図ること、そして必要に応じて連絡会議や調整会議を開催する旨が盛り込まれています。

      その上で、通信サービスの復旧現場へ向かう途中で把握した被害状況なども含めて、速やかに共有すること、さらに電気通信事業者単独による復旧が困難となった場合は、光ファイバーを業者間で相互に融通し、早期復旧を図ることとしています。

      ●平時における対応

      平時における対応は、ここまでご紹介してきた「初動対応」と「応急復旧対応」が確実に行えるように、総務省と電気通信事業者とで連絡体制の確立を進めていく内容となります。

      異動期などを含め定期的に連絡先の更新を行うこと、定期的な意見交換や合同訓練の実施などをはじめ、総務省と電気通信事業者にはそれぞれ以下の対応が求められています。

      総務省

      電力や燃料の供給、交通等に関わる調整のため、経済産業省、資源エネルギー庁、国土交通省などと連携体制を確立しておくこと

      電気通信事業者

      過去の自然災害で被害を受けた都道府県や市区町村と意見交換を行い、ニーズや課題を把握するとともに設備設置場所の変更等防災措置を行うこと。また過去に被害を受けた設備を復旧する場合、同じ被害を起こさないよう対策をすること

      なお、これらの方針については、実際の災害対応等の経験を踏まえた上で適宜見直しを行っていくこととされています。

      まとめ

      例を挙げるまでもなく、地震や水害などにより通信設備や基地局の倒壊・水没、地下ケーブル等の水没・損壊・断裂といった甚大な被害がいつ発生してもおかしくないのが、私たちの住む日本です。

      平成23年に発生した東日本大震災では、東北・関東における通信サービスの提供が停止し、経済にも大きな影響を及ぼしました。被災地にいたっては通信サービスの提供が不可能な状況にまで陥り、完全復旧まで長期間を要したのも記憶に新しいところです。

      今回の改定により総務省と電気通信事業者の連携強化がより加速し、方針にも盛り込まれているような、「災害時における迅速かつ確実な通信サービス確保の取り組み」がスムーズに進められていくことを期待せずにいられません。

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