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育児休業で減額となった給料の一部を補填するのが「育児休業給付金」ですが、受給対象となるのは、雇用保険加入者の正社員が原則です。政府は、非正規労働者などにも受給対象を拡大するべく制度の抜本的見直しの検討に入りましたが、その背景には何があるのでしょうか。
「育児休業給付金」は、雇用保険から支給されるものですから、育児休業給付金を受けるためには、雇用保険料を毎月納めている、雇用保険制度に加入している会社の社員が受給対象となります。
さらに、1歳未満の子どもの養育で育児休業を取得する雇用保険の被保険者、育児休業開始日前2年間に賃金支払い基礎日数が11日以上の月が12か月以上、休業中に支払われた賃金が休業開始時点の80%未満などが受給条件として定められています。
また、現在、契約社員や派遣社員、パート社員も、一定条件をクリアしていれば育休給付金の支給対象になっていますが、出産や育児で離職した人の再就職を進めるために、支給対象を非正規労働者にも拡大し、仕事と子育てが両立できる環境整備を進めていくことが、制度見直しの狙いです。
政府が、育児休業給付の対象者を非正規労働者へ拡大する検討に乗り出したのは、このままでは雇用保険制度が限界に達することも考えられるからです。
雇用保険の主な財源は、事業主と労働者から徴収する保険料です。雇用保険の主な目的も失業支援であり、子育て支援は追加されたものです。
しかし、政府の方針もあって育児休業取得者は増え続け、それに伴い育児給付金の支払額 も増加し、来年度には赤字に転落するという見通しもあります。
ところが、雇用保険への加入は「週の労働時間が20時間以上」「31日以上の雇用見込み」などの要件があります。非正規労働者で雇用保険に加入するためには、一定条件を満たさなければならず、雇用保険の加入者がなかなか増えないというジレンマを抱えています。
つまり、育児休業給付の対象拡大についての表向きの理由は、「子育て世代が男女ともに収入やキャリア形成に不安なく、仕事と子育てを両立できる環境整備を進める」というものですが、実は雇用保険加入者増による財源確保にこそ、真の狙いがあるようです。
ところで、「育児休業給付金」の財源をどうするのかが、これからの最大の焦点となります。育児休業給付金を雇用保険制度から切り離す案も持ち上がっていますが、そうなると、新たな財源を見つけ出さなければなりません。
はたして、その財源を見つけられるのでしょうか。まことしやかにささやかれているのが、医療保険や介護保険などの公的保険からの“協力金”や、企業から集めている“事業主拠出金”を充てるというものです。
いずれにしても、育児休業を普及させるためには、企業や労働者の負担を増やすことになりそうです。そうなると、当然、反発が予想されますから、制度を抜本的に見直すといっても一筋縄ではいきそうにありません。
本来、こうした国民の負担増に関する内容ですから、参院選の前に徹底的に育児休業給付の拡大範囲や必要な財源確保について議論されてしかるべきですが、国民の反発を避けるために、選挙前の具体的な検討を見送り、選挙後に先送りされました。この先、一体、どうなるのでしょうか。
妊娠や出産、育児のための育児休業は、柔軟な働き方を提供するためにも大切なことです。ただし、その間、給料が減ってしまうようであれば、経済的な余裕がなければ育休取得は困難です。それを補填するのが「育児休業給付金」ですが、このまま育休取得が増え続ければ、財源が枯渇してしまう、危機的状況にあるということです。この制度を維持するために、労働者や企業は金銭面の負担を受け入れるのか、それともNOを突きつけるのか、物価高騰や賃金が上がらない状況のなかで、はたしてどのような決着となるのでしょうか。
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