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法務省は、海外IT大手企業の日本での法人未登記問題について登記することを要請しています。要請に応じない事業者には“裁判所による罰金”を科すことも検討しています。その要請を受け巨大IT企業のGoogle社とMicrosoft社が、初めて日本国内での法人登記を行いました。
いまや、日常生活で欠かせない存在となったTwitterやFacebookなどのツールですが、便利な反面、悪質な誹謗中傷による被害や通信販売サイトでのトラブルが多発するようになり、大きな社会問題となっています。
被害者がトラブル解決のために裁判に持ち込むためには、トラブルの元となった発信者の情報開示手続きが必要です。ところが、日本での登記がない海外企業への手続きは、開示請求の連絡も訴状も海外に送らなければなりません。
つまり、国内での手続きと比べれば、手間も時間もかかります。それが、トラブル解決のハードルを高くしていたことは否めません。
そもそも、海外企業が日本で事業を行う場合、会社法で日本国内に法人登記をすることが義務付けられています。
法人登記をしなければ、100万円以下の科料、さらに未登記のまま事業を続ければ6万円から9万円の過料が別に科されることになっています。
法務省は、未登記状態だった海外企業に対して登記完了を強く要請し、応じない企業には「違反の事実の裁判所への通知を含めて取り組む」ことを表明しましたが、多くの企業が要請に応じ、日本国内での登記を行う見通しのようです。
SNS上で氾濫する誹謗中傷や偽情報によるトラブルは、世界中で激増しています。これまでは、交流サイトなどを運営する企業は、誹謗中傷や偽情報などのトラブルに対して、どちらかといえば規制には消極的な姿勢でした。
SNSの魅力は、誰もが自由に自分の意見を匿名で発信できることです。しかし、そのために悪意のある誹謗中傷や、何の根拠もない偽情報、さらに詐欺紛いのネット販売などが氾濫するようになったわけです。
しかし、あまりにもトラブルが多発していることから、監視を強める動きが世界規模で広がりつつあります。
たとえばヘイトスピーチや海賊版対策への対応を義務付けたEU、そして規制することには後ろ向きだったアメリカでも、偽情報発信に対して責任を持たせる議員立法が相次いでいます。
日本が、今回海外IT企業に日本国内での登記の徹底を強く求めた背景には、こうした世界的な監視強化の流れに沿ったものです。これからはグローバルに事業を展開する企業の姿勢も問われることになりそうです。
日本国内で登記していれば、ネット上の誹謗中傷の投稿者の情報開示を求める裁判などが、日本国内の手続きでできるようになります。
誹謗中傷を受けた被害者が自殺に追い込まれたケースや、投稿がきっかけで犯罪につながった事件も発生しています。
いくら「自由な投稿」がSNSの生命線とはいえ、提供する企業も看過しているわけにはいかないほど深刻な問題となっています。これで、被害者の負担軽減、もしくはトラブル処理の迅速・円滑化にも期待が持てるようになってほしいものです。
日本で継続的に事業展開をする海外企業は、これからは法人登記をしなければ罰金を払わなければなりません。「マーケティングなどを担当する日本法人の登記で十分」と主張している企業もあるようです。さて、どうなるのでしょうか。
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