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減便に運賃値上げが相次ぐ鉄道会社の苦悩

公開日2022/09/11 更新日2022/09/12

コロナ禍のダメージを大きく受けたのが鉄道会社です。
減便や運賃値上げで収益力の回復を目指していますが、消費税率の引き上げ以外では運賃値上げをしてこなかったJR西日本も、民営化後初となる一部エリアでの運賃値上げを発表しました。

JR西日本が普通旅客運賃10円値上げ発表

JR西日本の発表によると、「鉄道駅バリアフリー料金制度」を活用して加算額を設定し、普通旅客運賃が10円、通勤定期(通学定期は据え置き)が1カ月300円、3カ月900円、6カ月1,800円の値上げとなります。

新しい運賃は、京阪神の「電車特定区間」「大阪環状線内」の、京都~西明石~和歌山~奈良の都市部の路線が対象となり、新幹線を利用する場合も適用となります。

また、運賃値上げの対象となるエリアは、2025年春から、北は亀岡、西は網干、南は関西空港なども含む範囲に拡大していく予定です。JR西日本だけでなく、阪急電鉄や阪神電気鉄道、小田急電鉄など多くの私鉄が、来春運賃を一律10円値上げすると発表しています。

「鉄道駅バリアフリー料金制度」で値上げ額を決定

コロナ禍で乗客数が大幅に減少しただけに、運賃値上げも致し方ないと受け止められていますが、「10円値上げ」の根拠となっている「鉄道駅バリアフリー料金制度」とは、どのような制度なのでしょうか。

「鉄道駅バリアフリー料金制度」とは、鉄道駅にエレベーターやエスカレーター、ホームドアの整備など、バリアフリー化促進に活用するための新しい料金制度で、鉄道利用者にそのコストを薄く広く負担してもらうことが目的の制度です。

8月に料金値上げを発表した鉄道会社に、関西の鉄道会社が多く目立つのは、これまでの関西圏での鉄道駅のバリアフリー化が、関東圏に比べるとやや遅れていたという背景があります。コロナ禍をきっかけに、この制度の利用が一気に広まったようです。

鉄道中心の運輸事業のほぼ9割が赤字

ところで、東京証券取引所上場の全国の鉄道、JR 4社と私鉄21社の計25社のうち、鉄道を中心とする運輸事業については、ほぼ9割の22社が昨年度の決算で赤字を計上しています。

ちなみに、JR東日本は2,853億円、JR西日本が1,443億円、JR九州が222億円の赤字となる見通しです。運賃収入については、「通勤・通学定期」の収入合計が2019年度の 22%減、「定期以外」の収入合計は2019年度より44%減となっています。

コロナ禍でリモートワークが普及したことによる利用客数の落ち込みも、運賃収入減少の要因になっているようです。旅行や出張の削減、さらに外国人旅行者の大幅な減少によって、鉄道会社の事業環境がより厳しい局面に置かれていることがうかがえます。

期待できない通勤による鉄道利用客の増加

運行本数の減便や運賃値上げに踏み切る鉄道各社の動きから、コロナ禍で受けた影響の大きさをあらためて思い知らされることになりましたが、25社の昨年度の最終損益は、19社が黒字を確保しています。

その理由は、運輸事業のマイナスを、不動産事業など運輸事業以外の収益で補えたからですが、運輸事業そのものが感染拡大前の水準に戻る兆しは、いまのところ見通せない状況です。

コロナ禍で、人々の行動も大きく変化しています。しかも、日本は超高齢社会に突入し、生産年齢人口が減少傾向にありますから、通勤での鉄道利用客の増加を期待することは物理的に不可能です。

かつて鉄道会社には、路線網を拡大するため、郊外に住宅地を造成し、ショッピングセンターを建設して、新しい駅と街をつくりあげるパワーがありましたが、それはもう過去の話となるのでしょうか。

まとめ

首都圏の鉄道は、減便や運賃値上げで収益を上げることもできますが、地方のローカル鉄道は、廃線の動きも加速しています。交通インフラという鉄道の本来の役割が、危機的な状況にあることだけは確かなようです。

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