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物価上昇により生活者の苦しい声が聞こえてくるなか、10月から、全国の最低賃金が改定され、順次引き上げが始まっています。
今回の引き上げは平均3.3%と過去最大レベルであり、引き上げ後の全国平均時給は961円、最も高い東京都では1,072円です。従来と同じ時間を働くと年収が上昇することになるわけですが、配偶者扶養範囲でパート・アルバイトの人たちにとっては106万円の壁に影響が及ぶことになります。
2022年10月から、全国の都道府県で順次始まっている最低賃金の引き上げは、過去最大の全国平均3.3%、時給平均961円となっており、昨年度の930円より31円の引き上げとなっています。
これにより、配偶者の扶養範囲でパートやアルバイトをしてきた人にとっての「103万円の壁」「106万円の壁」「130万円の壁」に影響が出ることになり、今後、壁を超えないように労働時間の調整が必要になるなどの影響が懸念されます。
<壁を超えると発生する税金と社会保険料>
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|
住民税 |
所得税 |
社会保険加入 |
|
年収100万円未満 |
非課税 (市区町村による) |
非課税 |
無 |
|
100万円の壁 |
課税 |
非課税 |
無 |
|
103万円の壁 |
課税 |
課税 |
無 |
|
106万円の壁 |
課税 |
課税 |
有(条件による) |
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130万円の壁 |
課税 |
課税 |
有 (配偶者の扶養から外れる) |
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150万円の壁 |
課税 |
課税 |
有 (配偶者控除が段階的に減る) |
なかでも影響が大きいのは「106万円の壁」です。「106万円の壁」は、2016年の社会保険適用範囲の拡大により生まれた収入の基準のことで、一定の条件を満たした場合に社会保険の加入が必要になります。
社会保険適用の条件の一つが、以前は「従業員数501人以上」の勤務先で働く人でしたが、2020年5月に成立した年金制度改正法により、2022年10月1日から「従業員101人以上」になりました。さらに2024年からは、「従業員数51人以上」の勤務先にまで拡大されることが決まっており、今後は大企業や大規模チェーン店で働いている人だけでなく、中小規模の会社で働いている人も社会保険に加入する必要が出てきます。
また、雇用期間の条件である「勤務期間1年以上」が撤廃され、「2カ月以上」へと短縮されました。これにより、130万円の壁を気にして働いてきた人が、「106万円の壁」に大きな影響を受けることになります。
<106万円の壁の対象となるパート・アルバイト勤務の人 五つの条件>
①勤め先の従業員数が、101人以上
②2カ月を超える雇用の見込みがある
③月額賃金が8万8000円以上であること
④週の所定労働時間が20時間以上
⑤学生ではないこと
106万円の壁を超えると、負担が増えるイメージが強いかもしれません。しかし、社会保険に加入することで「老後」・「医療」・「障害」・「死亡」の保障が充実します。
たとえば、老後の生活を保障する「老齢年金」が、老後基礎年金に老後厚生年金が上乗せされます。また、病気やケガなどで障害を負って障害状態と認定された場合に保障される「障害年金」も、障害基礎年金に障害厚生年金が上乗せされるほか、保障の範囲も広がり、障害等級3級やそれより軽度な障害でも保障が充実します。「遺族年金」も遺族基礎年金に遺族厚生年金の二階建てになります。
また、病気やケガで働けなくなったときに休業中の生活を保障してくれる「傷病手当金」や、産休中で働けない間を支えてくれる「出産手当金」ももらえるようになります。
社会保険料を支払うことで手取りの収入が減ると困るという人は、年収を105万円以下に抑える方向にむかうこともできますが、あえて壁を大きく超えて働くのも選択肢の一つです。
たとえば、年収105万円であれば、住民税、所得税が引かれ、104万円が手元に残ります。しかし、106万円になると社会保険料が引かれるため、手元に残るお金は89万円になります。社会保険料の負担分を補い、年収105万円の手取りと同等の額にするためには、125万円以上働く必要があるでしょう。なお、年収130万円以上になると、扶養から外れて手取り収入が減るため、損をしないためには年収153万円以上稼ぐ必要があります。
一見、106万円の壁を超えると社会保険料の負担が増えるため、家計に大きな影響があるように思えますが、長い目でみると老後の生活を支えてくれる心強いものです。
最低賃金引き上げにより、106万円の壁の影響を受ける人は、家族と話し合うとともに、社会保険の利点も理解しながら、今後の働き方を考える必要があるでしょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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