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専門性が高い人材の採用日程を、政府が見直す方針を発表しました。そのため、就活ルールが大きく変わることになり、企業の採用戦略にも影響が出ることになりそうです。
現行の就活ルールは、広報活動が3月以降、採用選考活動が6月以降、正式内定が10月以降となっています。このルールは経団連が独自に定めた「採用選考に関する指針」ですが、2021年以降は、経団連にかわって政府が就活ルールを維持してきたものです。就職活動に一定のルールを設けることは、新卒一括採用という日本独自の雇用形態においてはそれなりに機能していました。
ところが、職務の内容を明示して人材を配置するジョブ型雇用を導入する企業も増え、新卒一括採用が「時代に合わなくなっている」という声があがるようになってきています。
採用方法も含め、人事制度そのものの変革が日本企業に求められています。デジタル関連など専門スキルを有する人材獲得競争は一段と激しさを増しており、外資系企業では、通年で優秀な人材の確保に取り組んでいます。
そこで政府は、専門性の高い人材の採用日程を見直す方針を示したわけです。経済界や大学関係者を交え、柔軟な採用スケジュールや対象とする人材の範囲などを協議していくことになっています。
今明らかになっているのは、2026年春卒業予定、つまり現在の大学1年生と大学院に進む学部3年生です。
協議の結論次第ではありますが、採用スケジュールが緩和されることになれば、就活に参加する機会も増えることになり、就職してからのキャリアプランも、描きやすくなると歓迎する声もあがっています。
また、企業にとっても、採用スケジュールが前倒しとなれば、採用戦略上の選択肢も増えることになります。ただでさえIT人材が不足しているため、人工知能(AI)やデータ分析などのスキルを有する人材を、早期に確保する道が開けるかもしれません。
しかし、就活の早期化により、採用による企業間格差が拡大することにもなりかねません。内閣府の2021年度の調査(学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査*)では、就活生が採用目的の説明会へ参加している割合は、解禁前の2月時点で6割を超え、面接解禁前の4月の段階で内々定をもらった割合が半数を超えていることが明らかになっています。これが新卒採用市場の実態です。
*調査方法:インターネット調査。62程度の大学から所属対象学生に案内。
調査対象:大学4年生、大学院2年生
(医学科・薬学科・歯学科・看護学科・獣医学科、海外からの留学生を除く。)
調査期間:2021年7月14日~8月10日
一方で通年採用やジョブ型雇用、さらに中途採用市場が活発化している流れもあります。経団連は“中途”ではなく“経験者採用”と呼ぶようにと呼びかけるなど、採用方法も就活状況もまさに転換期を迎えているようです。
少子高齢化に歯止めがかからず、労働人口は減少する一方です。そんな時代の企業の成長には、有能な人材をいかに確保するかにかかっているといえるでしょう。
そこで打ち出された政府の「専門性が高い人材の採用日程緩和」方針は、採用戦略を根本的に見直すことが、より強く求められることになりそうです。
就活ルールの始まりは、1953年の「就職協定」ですが、その後、時代の変化に合わせて何度も見直しが行われ、現在まで続いてきました。そのルールが“時代遅れ”となり、大きく変わろうとしています。その変化に柔軟に対応できる採用戦略とは、どのようなものになるのでしょうか。今後の企業の採用活動に注目が高まっています。
■参考サイト
JIJI.COM 専門人材、採用日程を弾力化 26年春入社―政府検討
フクシマ社会保険労務士法人 【就活ルールは2023年卒も現状維持】2023年新卒採用 企業が今やるべきことを考える
日本経済新聞 「新卒一括」見直しへ半歩 政府、専門人材の採用柔軟に
人事ZINE 就活ルールは2022年卒までは現状維持】企業が今やるべきことを新卒採用の歴史から考察する
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