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現在日本では少子高齢化が進み、労働力人口(就業者+完全失業者の総数)が減少しつつあります。そうした中、人材確保を進める上で、女性・高齢者人材を活用することの重要性が高まっています。
しかし女性や高齢者を実際に採用する場合、働きやすい職場を作っておくことも不可欠です。たとえば、女性であれば女性専用トイレ・更衣室の整備やベビールームの整備、高齢者であればバリアフリー化された職場の整備などです。
現在東京都では、女性が働きやすい職場の整備を促進すべく、「女性の活躍推進助成金」、通称「ジョカツ!」の事業が行われています。今回はこの取り組みに注目してみましょう。
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「女性の活躍推進助成金」は東京都が実施している事業です。女性の新規採用と職域拡大を目的とし、女性が少ない職種において積極的に女性を採用・配置してもらうために、環境の整備にかかった費用の一部を助成するという内容です。
助成金の額は最大500万円です。実際の支給額は、助成対象となる費用(税抜き)に対して、都が定めた助成率を乗じて算出され、助成率は3分の2まで(実際にかかった費用の3分の2までを限度)とされています。
実際に支給を受けるには、専用の事業計画を策定することが必要です。専用の事業計画を策定するには、まず女性の採用計画を立案し、その採用計画を実現するために必要となる女性専用設備(トイレや更衣室など)の整備計画を立てます。これら一連の計画を事業計画とまとめて、都に提出する必要があります。
助成対象となるのは常時雇用する労働者が2名以上300名以下で、都内に本社もしくは事業所を置く中小企業です。都内の税務署に開業届を出している個人事業主も対象とされます。
他にも「都内に勤務する労働者を、2名以上かつ申請日時点で6か月以上継続して雇用」「都内に勤務する常時雇用する労働者は、雇用保険被保険者である」「都税の未納付がない」「過去5年間に重大な法令違反等がない」「各種労働関係法令を遵守している」「就業規則を作成して労働基準監督署に届出を行っている」などが支給要件です。
助成金を受けるには企業側から「公益財団法人東京しごと財団企業支援部雇用環境整備課」への申請が必要です。令和5年度の申請については5月8日から受付が開始されています。
申請にあたっては、専用の「支給申請提出書類」を用意する必要があります。「事業計画書兼支給申請書」や「誓約書」をはじめ、最大で19もの書類を準備しなければなりません。
書類の提出を行うには、事前に東京しごと財団の雇用環境整備課に電話をして予約し、所定の日に直接来所することが必要です。その後、東京しごと財団側で審査が行われ、パスすれば支給決定が通知されます。助成金の振込は、事業計画通りに設備の工事が行われ、その報告書を東京しごと財団に提出した後です。
先述の通り助成金の対象となるのは、女性が働きやすい職場を整備するための設備・工事にかかる費用です。
具体的には、トイレ、洗面所、更衣室、ロッカー、休憩室、シャワー室、洗濯室、仮眠室、ベビールーム(授乳、オムツ替えができるスペース)、工事現場の仮設トイレなどです。男性向けではなくあくまで女性専用のものとして整備されたものに限ります。
なお、助成対象となる費用は、東京しごと財団による助成金の支給決定が行われた後に発生したものに限られます。それ以前に取り組み(設備購入・工事の申し込みや発注など)があったものについては助成金の対象とはならないので、この点は注意が必要です。
東京都では令和3年度から毎年「女性の活躍推進助成金」の事業を行っています。これまで実際に助成金が支給されたケースを2つご紹介しましょう。
・建設業、従業員数35名(うち女性7名)、助成額約180万円
技能者の高齢化が進んだため、新たな担い手として女性技能者の採用を目指していましたが、応募は一切ありませんでした。そこで、女性が働きやすい衛生スペースを整備して募集の際にアピールすることを計画し、そのために助成金を申請しています。
助成金の対象となったのは、「女性専用のシャワールームの2台新設」と「女性更衣室兼休憩室の新設」にかかる費用でした。設置してアピールした結果、新卒女性技能者の採用に成功したといいます。
・製造業、従業員数93名(うち女性15名)、助成額約230万円
それまで執務フロアには男性専用トイレしかなく、女性がトイレを利用するには他のフロアに移動する必要があったそうです。新たに女性DTPオペレーターの採用を計画し、それに合わせて女性が働きやすい職場環境の整備を決定しました。助成金の申請を行っています。
助成金の対象となったのは、「男性専用トイレの女性専用洋式トイレへの改修に伴う費用」です。改修の結果、女性のための職場環境向上への姿勢をPRでき、目標だった2名の女性の採用を達成できました。それまで必要だったフロア移動がなくなり、生産効率も上がったということです。
女性・高齢者・外国人の活用は、少子高齢化が進み労働力人口減が懸念される日本経済において、貴重な労働力として重視されつつあります。
しかし実際に雇用する場合、雇用したいという企業側の都合だけでは人材確保は進みません。労働者の側が「働きたい」と思えるような職場環境を整備しなければ、実際に採用に至ることは難しいのが実情です。
東京都のように、職場整備のために助成金を出すという事業は、現実的に女性の採用を実現し、企業の人材不足を補うための施策としては注目に値する取り組みといえるでしょう。
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■参考サイト
公益財団法人東京しごと財団||女性の活躍推進助成金
公益財団法人東京しごと財団|令和 5 年度女性の活躍推進助成金 募集要項
公益財団法人東京しごと財団|ジョカツ! 活用事例紹介 当社を支える新たな担い手がほしい!
公益財団法人東京しごと財団|ジョカツ! 活用事例紹介 女性が働きやすい職場にしたい!
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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