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株価が高めか安めかを判断するための指標「PBR」を詳しく解説

公開日2023/07/20 更新日2023/07/19 ブックマーク数
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株価が高めか安めかを判断するための指標「PBR」を詳しく解説

PBRという株価指標をご存じでしょうか。株式会社は投資家の出資により純資産を形成し、業績を上げて株価を高めていくことが求められます。そのため株価の現状を意識することは、資金調達などのファイナンス戦略を考える上でも重要です。


PBRはそんな株価状況を把握する上で、欠かせない指標の1つとされています。
今回はこのPBRとは何か、詳しく解説していきます。


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PBRとは?

PBR(Price Book-value Ratio)とは、日本語では株価純資産倍率と呼ばれ、現時点の株価と1株あたりの純資産を比べる指標です。計算式で表すと、「PBR=株価÷1株あたりの純資産」となります。一言で言えば、その企業の株価が高めなのか、安めなのかを判断するための指標です。


純資産とは、その企業が持つ株主資本のことで、企業が持つ「総資産(流動資産+固定資産)」から「負債(流動負債+固定負債)」を差し引いて計算できます。貸借対照表の借方(左側)に記載されている「資産」から、貸方(右側)に記載されている「負債」を指し引いたものが「純資産」です。


そして1株あたりの純資産(BPS:Book-value Per Share)は、「純資産÷発行済み株式数」で計算される指標です。これにより1株あたりの純資産額を把握でき、株を保有している投資家が、その企業の純資産をどの程度保有しているかを数値化できます。


ただし、この1株あたり純資産は、あくまで帳簿(貸借対照表)の数値をもとに計算されるもので、株式市場での「株価」とイコールとはなりにくいです。


そこで参考にされるのがPBRです。PBRは「株価=1株あたりの市場価値」と「1株あたりの純資産」とを比較するために計算される指標です。計算値が1.00未満の場合、帳簿上の純資産の価格よりも株価の方が安いことになり、「株価は安め」と判断できます。


一方、1.00超の場合は、帳簿上の純資産の価格よりも株価の方が高くなり、「株価は高め」と判断できるわけです。計算値が1.00であれば、帳簿上の純資産の価値と株価は同じとなります。


実際の計算結果は「~倍」と表記されます。たとえば、株価500円、1株あたり純資産が400円であれば、「500÷400=1.25」となり、「1.25倍」となるわけです。


PBRとPERの違いとは?

株価指標としてPBRに似たものとして、PER(Price Earnings Ratio)があります。PERは日本語では株価収益率といい、「株価÷1株あたり当期純利益」で計算される指標です。


PERもPBRと同じく、その企業の株価が高めなのか安めなのかを判断する上で役立ちます。ただし、PBRは株価と純資産を比較するのに対して、PERは株価と収益性を比較する指標です。


1株あたり当期純利益とは、「当期純利益÷発行済み株式数」で計算されます。当期純利益は損益計算書を見れば分かる通り、経常利益・費用、特別利益・費用を計算した上で算出される最終的な利益であり、そこから株主への配当金なども計上されます。
その当期純利益を発行済み株式数で割ることで、株を保有する投資家にとっての利益額を算出できるわけです。


PER(株価÷1株あたり当期純利益)を計算することで、株価と純利益の関係性を把握できます。PERの数値が高い場合、株価が高い割に1株あたり当期純利益が低めであるため、「株価は割高」と判断できます。


一方、PERの数値が低い場合、株価に対して1株あたり当期純利益が高めになり、「株価は割安」と判断可能です。PERもPBRと同じく、単位は「倍」で表されます。


今PBRが重要な指標となる理由

PBR、PERともに株価が高めか安めかを判断するための指標ですが、現在は日本経済全体が低成長の時代であり、この場合はPBRの方がより参考にしやすい面があります。


各企業が続々と利益をあげ、日本経済全体が好景気に沸いているときは、企業の収益性をもとに株価を判断するPERは重視される傾向があります。利益状況が、株価の判断材料として利用しやすいからです。


しかし現在の日本経済のように、経済が停滞状況にあるときは、各企業とも高利益を出し続けるということが少なくなってきます。それでも投資先を選んで投資をしようとする場合、収益よりも純資産状況を株価の判断材料にする方が参考にしやすいのです。


また、企業が万一解散した場合、PBRは株主が純資産を受け取れるかどうかの判断にもなります。1.00を確保していれば、解散時に株主に対して、株価通りに純資産が配分されます。


一時的に株価が下がっている企業は投資対象にしやすい

PBRが1倍以下になる状況は大きく分けて「業績が悪化し、そのため株価が下落している」、もしくは「企業経営に問題はなく、何らかの要因で一時的に株価が下落している」のどちらかです。


業績が悪化している企業の場合、当然ですが投資対象とはなりにくいです。将来的に回復の見込みがあればともかく、そのままずるずると赤字が続いたり、倒産・解散に向かったりする恐れもあるためです。


一方、一時的に株価が下落しているだけの企業であれば、近いうちに株価が上がる可能性が高く、投資のチャンスと判断することもあるでしょう。


まとめ

PBRとは株価、純資産、発行済み株式数から計算でき、その企業の株価が高めか安めかを判断するための指標です。経営上問題のない企業のPBRが1倍以下の場合は、今後株価が高まっていくと期待され、投資家にとっては投資のチャンスとなります。


また、投資判断基準としてROE(Return On Equity)もあります。日本語では自己資本利益率と呼ばれ、「当期純利益÷企業の自己資本(株主が出資した返済不要の資産)」で計算されます。自己資本でどれだけ利益をあげたのかを判断できる指標であり、高ければ投資対象となる優良企業と判断できます。PBR、PERと一緒に覚えておきましょう。


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