公開日 /-create_datetime-/

近年、種々の社会問題を解決する経済活動の1つとして国際的に注目されているのが「インクルーシブビジネス」です。
経済的もしくは社会的に弱い立場の人々を支援するとともに、企業の収益にもつなげるこのビジネスモデル。はたしてどういったものなのでしょうか?
この記事ではインクルーシブビジネスについて解説します。
インクルーシブビジネスとは、2005年にWBCSD(World Business Council for Sustainable Development、持続可能な開発のための世界経済人会議)が提唱した概念です。低所得者および貧困層を消費者や顧客、取引先、起業家などとして経済活動に巻き込むことで、貧困層の生活水準の向上や事業の拡大、企業の利益増加などを目指します。
インクルーシブビジネスによる支援対象者の代表例としてBOP(Base of the Pyramid)層が挙げられます。BOP層とは1日あたりの生活費が8ドル(約880円)未満で、経済ピラミッドの下層に位置する人々のことです。主に発展途上国に多いとされています。
一方で経済的、社会的弱者が日本国内に存在するのも事実です。とくに少子高齢化や公共交通機関の衰退などが進む地方では貧困層の増加は問題視されており、国内企業がインクルーシブビジネスの一環として地方創生に着手する例も注目されています。
インクルーシブビジネスは弱者救済と企業の利益増加の観点から、さまざまなメリットがあります。以下に具体的なメリットをご紹介します。
SDGsが注目されている近年、貧困問題の解決はまさに世界規模の課題となっています。解決策として経済的援助や物的支援いわゆる、モノやお金を渡すという方法もありますが、これは一時的な解決にすぎず、根本的な解決に至らないという見方もあるでしょう。
一方でインクルーシブビジネスでは貧困層に労働機会を与えたり、職業訓練を受けさせたりすることによって根本的な問題解決を目指します。
人々の経済的自立を支援できるというのがインクルーシブビジネスのメリットです。
貧困層は世界中に約40億人いるともいわれており、インクルーシブビジネスではこれらの人々を経済活動に巻き込むことができます。これによって、企業は既存ビジネスを半永久的に持続するような施策へと成長させられる可能性が高くなると考えられています。
・貧困層が仕事やスキルを手に入れることで収入を得られる
・貧困からの脱出によって教育の機会などが増える
・企業が労働力や顧客を確保できる
・雇用やビジネス発展による地域活性化につながる
貧困問題の解決にも貢献できるインクルーシブビジネスですが、実践までの過程は決して簡単なものではありません。綿密な計画と確かな実行力が必要になるからです。
ここでは、インクルーシブビジネスの代表的な実践方法をご紹介します。
製品が消費者の手元に届くまでの、原料調達や製造、在庫管理、配送、販売などの一連の流れをサプライチェーンといいます。 従来まではサプライチェーンにおいて、発展途上国の労働力を低賃金で雇う労働的搾取が問題となるケースもありました。この問題を解決するために、インクルーシブビジネスでは貧困層に職業訓練などを行い、相応の対価を払うことで経済的な自立を促します。
サプライチェーンの場面以外でも、雇用機会の創出は可能です。たとえば地方都市や発展途上国に支社や現地法人などを設立し、地域の雇用を活性化することもあり得るでしょう。
また、自社が法人を設立しなくとも、たとえば現地の起業志望者に資金提供や投資を行い、市場開拓を支援する方法もあります。
社会的に大きな役割を果たすインクルーシブビジネスですが、実施に向けた課題もあります。以下に、代表的な課題をご紹介しますので、ぜひハードルを突破する方法を考えていきましょう。
貧困地域には電気や水道、郵便などのインフラは整備されていないことも多々あります。そういった土地でビジネスを展開するためには、まずはインフラを優先させなければならないでしょう。
また、たとえ日本国内でのインクルーシブビジネスであっても、土地によっては交通機関が不十分であるケースは十分に考えられます。 ビジネスコストに加えて、インフラ整備への投資が必要となり、想像以上に支出額が多くなることも珍しくありません。
先述のインフラ整備に加え、企業が新たなビジネスを始める際にはどうしても初期投資が必要です。また、貧困層を労働力と考える以上、人件費も欠かせません。
ここで注意したいのがインクルーシブビジネスは慈善活動ではなく、あくまでも経済活動であるということです。利益がでなければ長期的な雇用の創出も地域活性化も叶いません。 インクルーシブビジネスを展開していく中でいかにして利益を出すのかということは、非常に大きな課題となります。
経済的および社会的弱者を経済活動に巻き込むインクルーシブビジネスは、貧困問題を解決する手段として世界的に注目されています。
また、企業のビジネスを持続可能なものに成長できる可能性も秘めているため、インクルーシブビジネスはまさに、支援と収益を両立できる理想的なモデルといえるでしょう。
一方でインフラ整備や利益の確保など、今後の導入において課題も残されています。企業や政府、自治体などが協力し合ってインクルーシブビジネスを進めていくことが大切です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
 
 26卒エンジニア学生551名に聞く|志望度が上がる・下がるサマーインターンシップ調査レポート
 
 契約不適合責任とは?売買契約書で 注意すべきポイントについて
 
 契約書のリーガルチェックの重要性と6つのチェックポイント
 
 通勤車両/社用車の駐車場利用・管理におけるガバナンス見直しチェックガイド
 
 英文契約書のリーガルチェックについて
 
 最低賃金の改定、企業の約6割が「給与を変更」 2020年代の1,500円は「対応不可能」が半数
 
 【2025-2026年】FP2級試験日程|多忙な社会人のためのCBT申し込みから最短合格ロードマップを解説
 
 【労務のプロが解説】IPO準備で労務が果たす役割とは?必要な体制・スキル・キャリアパス(前編)
 
 【わかりやすく解説】健康経営とは?取り組み事例とメリット、優良法人認定制度を解説
 
 「タレントアクイジション」は従来の採用とどう違う?概要から移行方法まで解説
 
 人的資本開示の動向と対策
 
 ~質の高い母集団形成と採用活動改善へ~内定辞退者ネットワークサービス資料
 
 退職支援で築く、持続可能な組織力-オフボーディングプログラムサービス資料
 
 業務委託契約書の書き方のポイントは?知っておくべき基礎知識
 
 ラフールサーベイ導入事例集
 
 内部統制の基本理解と解説:成長と信頼を築く、社員一人ひとりの意識改革
 
 実は勘違いしていた?“Z世代”の仕事観とコミュニケーションのポイント│若手社員は上司との対話を求めている?
 
 第2回(最終回) オペレーティング・リース取引に係る税効果会計への影響
 
 食事補助の非課税枠、40年以上据え置きの月3500円上限に転機 経産省が税制改正要望に明記
 
 業務委託契約とは?雇用契約との違い・種類・注意点をわかりやすく解説
公開日 /-create_datetime-/