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【金融】四半期報告書を廃止する改正金商法成立─金融庁 旬刊『経理情報』2023年12月10日号(通巻No.1696)情報ダイジェスト/金融・会計

公開日2023/12/08 更新日2023/12/07


【金融】四半期報告書を廃止する改正金商法成立─金融庁

去る11月20日、四半期報告書の廃止や顧客本位の業務運営・金融リテラシー等に関する制度整備を盛り込んだ「金融商品取引法等の一部を改正する法律」が衆議院本会議において賛成多数で可決され、成立した(11月29日公布)。 本年の通常国会で法案提出され、審議が行われていたが、国会が会期末を迎え、継続審議になっていたもの。臨時国会で審議が再開され、11月17日に参議院本会議で可決されていた。


■四半期報告書の廃止

企業経営や投資家の投資判断においてサステナビリティを重視する動きがみられるなか、企業開示において、中長期的な企業価値に関連する非財務情報の重要性が増大する一方、金融商品取引法に基づく四半期報告書と取引所規則に基づく四半期決算短信には重複がみられ、コスト削減や効率化の観点から見直すべきとの指摘がされてきたことに伴い、次の改正が盛り込まれた。


・上場企業の第1・第3四半期については、金融商品取引法上の四半期報告書を廃止し、取引所規則に基づく四半期決算短信に一本化する。
・改正後の半期報告書については、現行の第2四半期報告書と同程度の記載内容、監査人によるレビューを要し、 提出期限は決算後45日以内とする。
・半期報告書および臨時報告書は、法令上の開示情報としての重要性が高まることから、公衆縦覧期間(各3年間・1年間)を5年間(課徴金の除斥期間と同様)へ延長する。

施行日は令和6年4月1日。


■その他の改正

この他に、顧客本位の業務運営の確保、金融リテラシーの向上、デジタル化の進展等に対応した顧客等の利便向上・保護に係る施策等が盛り込まれている。

【会計】電子決済手段の会計処理・開示に関する実務対応報告、公表─ASBJ

去る11月14日、企業会計基準委員会は、第514回企業会計基準委員会を開催した。 主な審議事項は以下のとおり。


■電子決済手段の会計処理・開示

これまで議論されてきた「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」等について、公表議決が行われ、出席委員全員の賛成で可決された(11月17日、実務対応報告45号として公表。)。 また、あわせて日本公認会計士協会から、会計制度委員会報告8号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」の改正が公表されている。


■グローバル・ミニマム課税に係る法人税等の会計処理・開示

これまで議論されてきた「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い(案)」等について、公表議決が行われ、出席委員全員の賛成で可決された。これに加えて、補足文書(案)「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等に関する適用初年度の見積りについて(案)」も公表議決された(11月17日、実務対応報告公開草案67号として公表。コメント期限は2024年1 月9 日。)。


■リース会計基準の開発

第137回リース会計専門委員会(2023年12月1日号(No.1695)情報ダイジェスト参照)に引き続き、企業会計基準公開草案73号「リースに関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応の方向性と個別事項について審議が行われた。


主な審議事項は次のとおり。
⑴ 開発にあたっての基本的な方針(貸手の会計処理)
公開草案では、所有権移転外ファイナンス・リースおよび所有権移転ファイナンス・リースの貸手における基本となる会計処理について、リース料受取り時に売上高と売上原価を計上する方法(第2法)を廃止する提案がされていたところ、第2法を維持すべきとの意見が寄せられていた。
分析の結果、第2法の会計処理を認める理由がなく、提案を変更しないという事務局方針が示された。
委員からは賛成意見が多く聞かれた。


⑵ 他の会計基準等との関係
公開草案では、「鉱物、石油、天然ガスおよび類似の非再生資源の探鉱または使用のリース」については、適用範囲から除外する提案をしていなかったところ、除外すべきとの意見が寄せられていた。これらの意見を踏まえ、国際的な会計基準との整合性を図る観点から、本会計基準案等の適用範囲(本会計基準案3 項)から除外する事務局案が示された。 委員からは反対意見は聞かれなかった。



事務局から、今後のスケジュールについて、大きく遅れることはないものの、当初予定していた来年3月までの最終化は難しい旨が示された。


■四半期報告制度の見直し対応

第512回親委員会(2023年11月10日号(No.1693 )情報ダイジェスト参照)に引き続き、金商法改正による四半期報告制度の見直しに伴う(仮称)中間会計基準等の開発について、審議が行われた。


主な審議内容は次のとおり。
⑴ 四半期会計基準等見直しのアプローチ
事務局から次の提案が示された。
① 短期的な対応
一般債権の貸倒見積高の算定や未実現損益の消去における簡便的な会計処理について、これまでの前四半期から著しく変動がない場合の簡便法を認めることを経過措置として定める。 また、有価証券の減損処理または棚卸資産の簿価切下げに係る方法について、これまで四半期会計基準等に基づき四半期切放し法を適用している場合は、第1四半期の末日において切放し法を適用したものとして中間会計期間末において切放し法を適用することができるとする経過措置を定める。


② 中長期的な方向性
現行の基準のもとでは、中間決算と四半期決算とで異なる取扱いが定められているため、これらの取扱いを期中報告基準において一本化することが考えられ、(仮称)中間会計基準等に寄せられたコメントと適用後の実務を踏まえて検討する。


* 


委員からは賛成意見が聞かれた。また、「四半期切放し法から中間切放し法に変更した場合に、どのような影響があるか調査をすべき」、「中長期的対応は早めに対応を」との意見が聞かれた。


⑵ みなし取得日
従来の四半期決算日をみなし取得日に含めることについて、「この決算日等には、期首、中間会計期間の末日又は中間会計期間の期間内で適切に決算が行われた日を含む」の一文を追加する修正文案が示された。


委員からの、「四半期以外の日も含むという意図か」との質問に事務局から「文言上は含まれることとなるが、今までと同じ取扱いができるようにするのを最優先とし、少し広い範囲になっている」との回答があった。

【会計】ステップ4に関する審議の進め方、検討─ASBJ、金融商品専門委

去る11月22日、企業会計基準委員会は第207回金融商品専門委員会を開催した。 金融資産の減損に関する会計基準の開発に関して、第179回金融商品専門委員会(2022年5月10日・20日合併号(No.1644)情報ダイジェスト参照)等で議論されていたステップ4(信用リスクに関するデータの詳細な整備がなされていない金融機関に適用される会計基準の開発)に関する審議の進め方について、検討が行われた。


■これまでの審議の経緯

これまでステップ2(信用リスクに関するデータの整備がなされている金融機関の貸付金に適用される会計基準の開発)およびステップ3(ステップ2の貸付金以外)に関する審議が進められており、完了はしていないものの、取り上げるべき論点は一巡したことから、今回からステップ4を採用する金融機関における予想信用損失モデルおよび金融商品の測定の定めに関する論点の検討に進む方針が示された。なお、ステップ2および3に関し、事務局提案に異論が聞かれる論点については、ステップ4を議論した後に再度議論することとされた。


■ステップ4の目的と審議の進め方

ステップ4における基準開発の目的は、「IFRS9号『金融商品』を出発点として、適切な引当水準を確保したうえで実務負担に配慮した会計基準を目指す」とされている。 今回は、これまでステップ2およびステップ3に関して審議してきた論点を対象に「実務負担に配慮」する観点から、特に実務上の負担が重いと考えられる論点が抽出され、これらの論点について、どのようにIFRS9号の定めを見直して取り入れるかについて議論するとの進め方が示された。
そのうえで、抽出された次の論点について検討する事務局案が示された。


① 債権単位での信用リスクの著しい増大の判定(SICR)
② 複数シナリオの考慮を含めた結果の確率加重
③ 実効金利法に関連する論点(金融商品の測定に関する論点を含む)


また、ステップ4を採用することが見込まれる金融機関の代表者に、次回の専門委員会への出席を依頼し、意見を聴取するとの事務局提案が示された。 専門委員からは、「実効金利法について、定額法を採用している企業は負担が大きくなる」、「対象となる地銀などの金融機関の他に、リース会社などにも意見を聞いては」といった意見が聞かれた。


また、「満期保有目的の債券およびその他有価証券に分類される債券の取扱いについてもステップ4であらためて議論してほしい」との意見が聞かれ、事務局から、「①~③を重点的に議論し、債券についての論点も取り上げていく」方向性が示された。

【会計】バーチャルPPAの会計処理、新規テーマへ─FASF、企業会計基準諮問会議

去る11月22日、財務会計基準機構内に設置されている企業会計基準諮問会議は第49回会合を開催した。
審議内容は次のとおり。


■前回の基準諮問会議までに提案されたテーマの現状

前回、同諮問会議委員の学識経験者から提案された「実務対応報告19号『繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い』の改正」について、実務対応専門委員会のテーマ評価が行われ、「19号の範囲に限った基準開発を行うか、19号にとどまらず繰延資産全体の開発を進めるか」という論点が提示された。委員による審議の結果、19号だけでなく繰延資産全体を幅広く検討することとした。


また、前回、一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会が提案した「上場企業等が保有するVCファンドの出資持分に係る会計上の取扱い」について、金融商品専門委員会におけるテーマ評価を踏まえ、基準開発を行うテーマ提言がなされた。 審議の結果、新規テーマとして基準開発を進めることが了承された。


■新規テーマ提言

日本公認会計士協会から、「今後バーチャルPPA(仮想電力購入契約。実際の電力ではなく、再生エネルギー電力に含まれる環境価値取引)が増加していくなかで、会計基準によって定められていない会計処理がある」との理由で実務対応レベルとして、次のような提案がされた。


① デリバティブの該非
バーチャルPPAにおける差金決済の想定元本等に当たるのは、発電量であるが、発電実績に応じて変動するのが一般的であるため、契約期間中の想定元本等の量が定まらないような場合に、デリバティブに該当するか否かについての明確化

② 会計処理を行う単位 差金決済に含まれている非化石証書の「環境価値」と「電力の市場価格の変動に係る精算」の2つの要素を区分して会計処理すべきか一体として会計処理すべきかの明確化


本提案を受けて、同諮問会議は、ASBJの実務対応専門委員会にテーマ評価を依頼する提案を行い、新規テーマとして提言することが了承された。

【会計】国家の安全保障に関する情報の開示の是非、検討─SSBJ

去る11月16日、SSBJは第25回サステナビリティ基準委員会を開催した。
第24回(2023年12月1日号(No.1695)情報ダイジェスト参照)に引き続き、IFRS S1号、S2号に相当する日本基準の開発の審議が行われた。
審議された具体的な検討事項は主に次のとおり。


■国家の安全保障に関する情報の開示

「商業上の機密事項」に関して、IFRS S1号と同様の定めを取り入れる事務局案が提案されていたが、委員から、国家の安全保障等が脅かされる可能性のある情報についても開示しなければならないとする要求事項を日本版S1基準に取り入れることへの懸念が聞かれていた。
そこで、事務局は日本版S1基準において、次のことを定める案を提示した。


⑴ 次のすべての条件を満たす場合、かつ、その場合に限り、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する情報が、国家の安全保障等を脅かす可能性がある情報であると判断したときには、当該情報がサステナビリティ開示基準によって要求されていたとしてもこれを開示しないことができる。

① 当該情報が、一般に利用可能となっていない。
② 当該情報の開示を禁止する法令等が存在しないものの、当該情報を開示することにより、安全保障等が脅かされることが合理的に見込まれる。
③ 安全保障等が脅かされることなく、開示要求の目的を満たすことができるようにその情報を集約して開示することができないと企業が判断している。
                            (⑵⑶、略)


委員からは、「『安全保障等が脅かされることが合理的に見込まれる』とあるが、これでは範囲が広すぎて、濫用のリスクがあるのでは」といった意見が聞かれた。 事務局は「厳密に限定しなくても濫用のリスクは低いと考えている。また、厳密に定めるのも難しい。ただし、今回懸念が多く聞かれたため、再度検討したい」と回答した。


■スコープ3温室効果ガス排出の絶対総量の開示における重要性の判断の適用

日本版S2基準において、IFRS S2号の定めを取り入れる。
「スコープ3温室効果ガス排出は、スコープ3基準の『スコープ3カテゴリー』を考慮し、絶対総量を開示しなければならない」等とした、これまでの事務局案は変更しないが、新たに次の事項を日本版S2基準の本文に定める提案をした。


⑤ ①(編注:重要性の乏しいカテゴリーについては、絶対総量の測定に含めないことができるとする規定)の重要性が乏しいために、スコープ3温室効果ガスの測定に含めないことができるカテゴリーは、報告企業が前報告年度において開示したスコープ3温室効果ガス排出の絶対総量の100分の1以下の排出量となるカテゴリーをいう。


また、「スコープ3温室効果ガス排出の15のカテゴリーのうち、排出量が大きいと想定される上位3つ(又はそれ以上)のカテゴリーに限定して絶対総量を報告することができる」などとする適用初年度の経過措置についても提案された。 委員からは賛意も聞かれたものの、「重要性が乏しいにもかかわらず、1%という定めがあるために開示をしなければならない項目が出てくるなど、定量的な定めを設けることによる懸念がある」などの意見が聞かれた。
事務局は「大きく意見が割れているので、再度検討したい」と回答した。


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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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