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2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)の目標11には、『住み続けられるまちづくりを』が掲げられており、各国が力を合わせて「包摂的で安全かつ強靱で持続可能な都市及び人間居住を実現する」ことが目指されています。
世界の問題としてこの目標の実現に取り組むことが求められる中、企業は何を行えば良いのでしょうか。
今回は、『住み続けられるまちづくりを』実現するために企業ができる取り組みについてご紹介します。
現在、世界人口の約半数が都市部に暮らしていると言われています。2030年にはこの割合が約60%になるという予測も出されており、大都市は人口増加の影響で大気が汚染されたり、建築物の増加で自然環境が奪われたりしてしまうのではないかという懸念がなされています。
そこで都市生活を快適にしようという発想に基づき、屋上菜園プロジェクトが行われています。主導的な人物としてはコロンビア大学の気候科学者のスチュワート・ガフィン氏が有名ですが、最近では日本でも東邦レオ株式会社が行う「まちなか菜園」や、武蔵野市開発公社が作成したコピス吉祥寺にある「吉祥空園sora」など、都心に菜園を造ったり商業施設の内部に公園をつくったりするなどの試みがなされています。
人工的な建築物の中に少しでも緑を取り入れることによって、リラックスできる住みよい環境づくりが目指されています。
地方の都市化や、都市部の快適化のためにはエネルギーを効率よく使用する必要があります。そこで株式会社ドコモが行っているような電気自転車のシェアサービスや、太陽光発電の活用といった試みがなされています。
こういったサービスは、都市にかかわるすべての人が利用できるものであり、生活環境を整備するのに重要な要素となっています。
SDGsの目標11『住み続けられるまちづくりを』では、他国への都市化支援も課題のひとつとしてあげられています。
東芝はこのSDGsの課題を解決するために、2013年にケニア最大の地熱発電所へCO2排出量の少ない蒸気タービンと発電機を納入しました。また、エチオピア、タンザニア、ジブチ、ウガンダなどで地熱事業の開発や教育に力を入れています。さらに東芝の例ですと、大阪大学と大阪府との共同研究でゲリラ豪雨を予測するシステムを構築し、対象地域の避難誘導や下水道の保全に力を入れています。
このような形で他国の住居環境改善に貢献するのも、SDGsの重要な目標課題のひとつです。
<地域おこしも兼ねた事例>
また最近では、各地方の自治体が地域おこしも兼ねてさまざまな取り組みを行っています。
たとえば鎌倉市では「SDGs未来都市かまくら」と題し、鎌倉市が有する「地域環境資本」「地域社会」「地域経済」の三つの領域を融合させて、コミュニティの活動が活性化するよう努力しています。具体的には、鎌倉市で働く人々のために市役所、商工会議所や企業など約20団体が参画して「まちの社員食堂」という共同の食堂をつくったり、シェアオフィスの推進や起業支援などを行ったりして働きやすい街づくりを地域と企業が協力して行っています。
<IoTやAIを活用する事例>
さらに富山市では、コンパクトシティ戦略がとられており、公共交通を整備し、その沿線に住居や商業施設を集積させようという試みが行われています。また企業がもつIoT技術(物とインターネットをつなぐ技術)を活用して高齢者向けにもやさしい社会の実現を計画しており、AI農機具や科学的な栽培方法の確立にも積極的に乗り出しています。最先端の技術を活用することで労働時間の減少と生産性の向上、耕作放棄地の解消などが目標とされており、企業に積極的な協力を仰いでいます。
都市環境の向上を一社で行うには限界もあるため、こういった地方自治体への協力の姿勢を強めていくと言うのもSDGsの達成に貢献できるひとつの行動であるといえるでしょう。
最近では「大幅な省エネを実現すると同時に、再エネにより年間で消費するエネルギー量をまかなうことを目指した住宅」である「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」の導入が進められています。国も導入の支援補助金を用意しており、工場や事業場、住宅、ビルの省エネ化が試みられています。
またこういった日本の優れた環境技術を他の地域に提供するということも行われています。自社の建物の一部にでもこのような技術を取り入れることで、SDGsの一助になることができます。
SDGs目標11では、都市部の人口増加に備えることが主たるテーマとされていますが、日本の大部分では少子化の中でどのように都市を継続していくのかというのも課題になります。SDGsの目標11『住み続けられるまちづくりを』では、継続的に安定した社会を創造することが望まれています。特定の方法を行うべきというものではなく、各企業が自由な発想でこの目標を達成することが必要だと言えるでしょう。
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