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国内企業の実質賃金が上がらない現状を改善すべく、政府は基準を超える賃上げを実施した企業に対して法人税負担を軽くする「賃上げ税制」の取り組みを進めています。
昨年12月22日に閣議決定した令和6年度税制改正大綱で、賃上げ税制の見直しと延長が決定しました。
東京商工リサーチが実施した大企業と中小企業5,460社を対象にした調査によると、2023年度の賃上げ実施率は84.8%と2016年以降で最大でした。大企業と中小企業との賃上げ実施率の差は、前年の6.6ポイントから5.7ポイントに縮小しています。
賃上げ税制とは「賃上げ促進税制」のことで、賃上げした企業に対して、その上げ幅に応じた法人税額の控除が適用される制度です。
法人税控除の額は、中小企業が最大40%、大企業は最大30%でスタートしました。ともに前年比の賃上げ率を基準に、要件を満たすごとに控除額が大きくなる仕組みです。適用期間は2022年4月1日から、2024年3月31日までの間に始まる事業年度です。
財務省の分析によると、3%以上の賃上げをした企業は大きく増加したものの、賃上げ4%以上の企業数には変化が見られず、現行制度は賃上げのインセンティブとして十分に機能していない可能性があります。
政府は2024年度の税制改正大綱で賃上げ税制の見直しと延長を決定しました。今回の税制改正大綱ではこれまでの「大企業」が「大企業」と「中堅企業」に区分されることになりました。従前の大企業のうち、従業員数 2,000 人以下の企業については「中堅企業」に位置付けられることになります。
大企業については要件が厳しくなり、原則の税額控除率が15%から10%へ引き下げられましたが、最大控除率は見直され、大企業・中堅企業は35%、中小企業は45%に引き上げられます。
また、中小企業については、賃上げの実施をした年度に赤字になった場合でも、最大5年間減税を繰り越せる措置が導入され、支援が厚くなりました。
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厚生労働省が公表した毎月勤労統計調査(令和5年10月分)によると、実質賃金は19カ月連続のマイナスとなっており、企業にはさらなる賃上げが求められます。30年ぶりの高水準となった昨年の水準を上回るかどうか、今年の春闘の行方に注目が集まります。
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