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退職代行における弁護士の役割とは?弁護士が語る現状と課題

公開日2024/07/20 更新日2024/10/09 ブックマーク数
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佐藤秀樹先生

▼お話を伺った人
弁護士法人みやび
代表弁護士 佐藤秀樹先生

サイトURL:https://www.miyabi-law.jp/

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退職代行サービスは、退職希望者が直接職場に退職の意向を伝える代わりに、専門の業者が退職手続きの代行を行うサービスです。このサービスを利用する主な理由には、職場との対立、精神的なプレッシャー、または個人的な事情が挙げられます。


利用者はサービスに登録し、必要な情報を提供した後、代行業者が雇用主に対して退職の意志を伝え、必要な手続きを進めます。通常、「一身上の都合」という理由で退職が行われることが多いですが、クライアントが特定の理由を伝えたい場合にはその通りに対応することもあります。


このサービスの利点は、退職交渉のストレスや対立を避けることができる点にあります。また、職場が退職を拒否する場合でも、法的な知識を持つ代行業者が適切に対応してくれるため、スムーズに退職が可能となります。

若者に広がる退職代行、弁護士の視点から

ーー: 退職代行というサービスが2019年あたりから一気に有名になってきたと思うんですけれども、貴所では何年前くらいから退職代行関連の案件を始められましたか。


佐藤さん: そうですね、ちょうどうちも5年ちょっとぐらい前からやってる感じですね。


ーー: 今年も4月から「退職代行」にまつわる記事が増えたように感じますが、利用者は増加していますか? また、貴所のサービスの月の相談件数をお教えください。


佐藤さん: 今年増えたというよりも、少しずつ増えているようなイメージですかね。相談件数は月に4、500件くらいですね。実際に代行するのは200件弱くらいです。


ーー: 弁護士に相談するとなると、ある程度重めの相談が多いのかなと認識していましたが、意外と多いんですね。


佐藤さん: そうですね。弁護士以外の退職代行サービスとは住み分けがあります。アルバイトの方や簡単に辞められそうな方は弁護士以外を利用することが多いです。一方で、公務員や会社員や業務委託の方、残業代の請求を希望する方が弁護士を選ぶ割合が高くなっています。 会社員でも正社員がほとんどで、離職票や源泉徴収票が欲しいという要望があるため、弁護士を選ぶ方が多い印象です。


ーー: 利用者の属性や年代についても伺いたいのですが、貴所を利用される方はどの層が多いのでしょうか?また勤続年数などについても併せて教えてください。


佐藤さん: 弁護士代行の場合、年齢や職種の幅広さは普通の民間業者より広いです。ただ、どちらかと言えば若い人の方が多く、なかでも20代の方が多い印象です。また退職金を確実に受け取りたいというニーズがありますので、長期間勤務している方も一定数はいます。ただ、全体としては1年以内の人の方が多いですね。


ーー: 退職を希望する理由はどのようなものが多いのでしょうか?


佐藤さん: 理由は人それぞれですが、精神的に限界であるとか、勤務時間が長い、上司と合わない、仕事がキツイなど、様々な理由で辞めたいという方がいらっしゃいます。 そこまで明確じゃないけど、自分で伝えるのが気まずい、引き止められるからという理由も多いですね。また交渉が必要なケースも多いです。

退職時の手続きとトラブル事例

ーー: 辞める際の必要な手続きについて教えてください。


佐藤さん: 法律上は「辞めます」と言えば退職ですが、実際には社会保険の手続きや離職票の受け取りが必要となります。これらの手続きが滞ると転職先となる次の会社で困ることになるので、交渉が必要になります。


ーー: いままで多くの相談を受けているかと思いますが、なかでも印象的だった案件などございますか?


佐藤さん: いろいろありますが、個性的な経営者が多く、怒鳴ってくるとか、何百通もLINEやメールを送ってくるケースがあります。そういう場合は退職代行を使わざるを得ないですね。


ーー: 民間に相談しても解決できないから"最後の砦"として弁護士に依頼するケースも多いのでしょうか?


佐藤さん: 民間サービスに相談して断られてから弁護士に回ってくるケースも多いです。先ほども申し上げましたが、公務員や業務委託は民間では受けづらいのと、そうでなくても民間事業者は交渉ができないので弁護士に依頼が回ってきます。


ーー: 業務委託や公務員の難しさはどんなところにあると考えていますか?


佐藤さん: 業務委託の場合、契約期間があるので契約違反に該当する場合もあります。また、損害賠償や違約金を請求されることもあります。公務員は辞めますと言っても辞められず、役所から退職の辞令が出ないと辞められないので、弁護士の方が話を聞いてもらいやすいです。


ーー: 企業側の対応や実際に退職代行を利用される方の業種、共通点などを教えてください。


佐藤さん: 大企業は退職代行に慣れていて、スムーズに対応してくれますが、中小企業は難しいケースが多いですね。人事部がしっかりしている会社は問題が少ないのですが、従業員1〜2名の会社だと会社も必死に引き止めてくるので大変です。酷い場合は、損害賠償を請求するなどと言い出すこともありますが、裁判まで行くケースは稀です。

退職代行を利用される方の業種は、 世の中的に"ブラック"と称されている介護や看護師、ドライバーなどが多い印象です。 またそれらの企業に共通しているのが、"待遇に問題"があることが多いですね。

退職代行利用時のトラブルとは?事務所に押しかけるケースも発生中

佐藤秀樹先生

ーー: 以前、民間の退職代行サービス様に取材させて頂いた際に、実際に事務所に押しかけられたことがあるという話も聞いたのですが、貴所の場合はどうでしょうか? 実際に事務所まで来られたことはありますか?


佐藤さん: 押しかけてくるというよりも、普通に話が聞きたいとか、そういう理由で会社の方が来られることはあります。それは全然構わないですし、私の方で話を聞いて何か伝えることがあれば本人に伝えます。ただ、逆に本人のところに行かれてしまうことが一番困ります。いくらこちらが厳しめに言っても、本人のところに押しかけてしまうと警察を呼ぶかどうかの話になってしまうので、そっちの方が大変ですね。


ーー: 自宅に行かれてしまうケースもあるんですね。実際のところ結構あることなのでしょうか?


佐藤さん: ええ、会社によってはそういうこともあります。もっとひどい場合は会社側が警察を呼んだり、捜索願いを勝手に出したりするケースもありますよ。


ーー: それはすごいですね、もう本当に無理やりな感じなんですね。


佐藤さん: そうなんです。いきなり懲戒解雇にしてきたり、辞めると言った次の日には有給が残っているのに社会保険を切ってくることもあります。全部が全部そうではないですが、結構そういうケースは多いですね。


ーー: 社会保険を切ってくる企業の場合、弁護士が入って本人と企業側の調整をすることになるんですか?


佐藤さん: そうですね。ただ、無理やり切ってくる企業に対して裁判を起こすのはお金と時間がかかるので、あきらめざるを得ないケースもあります。


ーー: 給料の未払いとか残業代の問題があると、どう対応しますか?


佐藤さん: まずは交渉しますが、5万、10万の金額では裁判できないので、交渉がうまくいかなければ労働基準監督署に相談することもあります。

退職代行利用後の意外な選択 退職するのをやめる?

ーー: 逆に、退職代行を利用して退職の意思を伝えた後に、自分で納得して辞めるのをやめるというケースもありますか?


佐藤さん: それはたまにありますね。同僚が説得したり、会社が上司の問題を改善するから戻らないかと提案したりする場合です。もちろん本人が納得することが最優先です。これに関しては、本当にわずかで100人に1人もいないぐらいです。


ーー: 残留するケースは本当に少ないんですね。良心的な会社だなと感じる企業はありますか?


佐藤さん: そうですね、上場企業や大手企業は対応がしっかりしていることが多いです。ただ、仕事環境がひどくても人事部だけがしっかりしているケースもありますので、全体として言うのは難しいです。


ーー: 退職代行を利用する際、退職の意思と理由を伝えるという感じでしょうか?


佐藤さん: 理由については、ご本人が伝えてほしい場合は伝えますが、それ以外は基本的に「一身上の都合」で退職しますと伝えます。会社によっては理由を聞いてくることもありますが、その場合は本人にフィードバックしてどう伝えるか相談します。


ーー: 会社の運営で退職代行を使わずに済むようにするためのポイントは何ですか?


佐藤さん: 法律を守り、有給を適切に消化させること、圧力をかけずにコミュニケーションを取ることが重要です。長い目で見れば、円満に退職できる環境を整えることが大切です。


ーー: 貴所で退職代行を担当される弁護士は他にいらっしゃいますか?また依頼件数が多い曜日や時間帯などあればお教えください。


佐藤さん: 退職代行を担当しているのは、弊所では完全に私だけです。他の弁護士は残業代請求の裁判などを担当しています。退職代行は朝早くからの対応が多いので、他の弁護士との兼業は難しいです。

依頼件数が多い曜日や時間帯は、月曜日の朝が多いですね。週末に決心して、月曜日に実行するというケースが多いです。


ーー: 最後に、退職代行を利用する上でのアドバイスがあればお願いします。


佐藤さん: 退職代行を利用する際は、信頼できる業者を選ぶことが重要です。料金体系が明確で、弁護士や労働組合と提携している業者を選ぶと安心です。また、サービス内容やサポート体制について事前に詳しく確認しておくことも大切です。

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03-6264-6671(代表)

▼サービス内容▼
弁護士法人みやびは、企業および個人向けに幅広い法的サービスを提供しています。法人向けには、会社法手続きのアドバイス、労働問題の解決、企業取引の支援を行っています。具体的には、各種規程や議事録の作成、従業員との労働紛争の解決、ビジネス関連法規の相談、債権回収や危機管理、ファイナンス、不動産取引、M&Aの対応などです。個人向けには、退職代行サービスを提供し、退職に関する相談と支援を行っています。
サイトURL:https://www.miyabi-law.jp/


サービスページURL:https://taishoku-service.com/


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