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日商簿記2級(以下、簿記2級)は、経理・財務の分野で最も認知度の高い資格です。
この記事では、簿記2級について、経験者・未経験者別のアピール方法や簿記2級を活かせる転職先など、会計分野への転職を成功させるためのポイントをご紹介します。
簿記2級は、企業の会計帳簿を正確に作成し、財務諸表を分析できるなど、経理の基本的なスキルを有することを証明できる資格です。
主催者である日本商工会議所では、日商簿記2級は以下のように定義しています。
「経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。
高度な商業簿記・工業簿記(原価計算含む)を習得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。」
出題範囲には、商業簿記だけでなく、工業簿記も含まれているため、製造業の経理において必要な原価計算についても理解している証にもなります。
また、単に数字を扱う能力や経理の基礎知識だけでなく、適切な経営判断をサポートするための知識なども求められるため、幅広いビジネスシーンで活用できる知識が身につくでしょう。
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簿記2級を保有することで、商業簿記や工業簿記を含む高度な会計知識を保有しており、財務諸表の作成や解析ができるレベルの能力があると見なされます。
会計分野の実務経験がない場合でも、企業の財務状況を理解し、経営判断をサポートする力があると評価されるでしょう。
そのため簿記2級は、未経験から会計分野への転職を目指すための足掛かりとなる資格だと言えます。
実際に、応募資格を「実務経験〇年以上、または簿記2級」としている求人も多く見受けられます。
簿記2級を取得することで、応募できる求人の選択肢を増やすことができるでしょう。
ここでは、実務経験者と未経験者に分けて簿記2級のアピール方法をご紹介します。
会計分野の実務経験がある場合、主なアピールポイントは、実務経験の内容やそこから得た知識・スキルです。
しかし、以下のようなケースは、簿記2級もアピールポイントとして活用できます。
・実務経験の期間が短い
・経理事務などの補助的な経験のみ
・日次業務のみなど経験業務の範囲が狭い
実務経験が短い・浅い場合、業務をこなすことはできても、簿記2級の試験範囲を網羅する知識はないと評価されるでしょう。そのため、簿記2級を取得することで、包括的な知識をアピールできます。
また、異業界の経理から製造業の経理への転職を目指す場合も、高く評価されるでしょう。
簿記2級には、製造業の経理業務特有の原価計算が含まれます。取り扱う商品によって原価計算の種類に違いはありますが、簿記2級で得た前提知識を用いて、スムーズにキャッチアップできる姿勢をアピールすることができるでしょう。
近年、労働者人口の減少により、求職者優位の売り手市場が続いています。
企業は経験豊富な人材の確保に難航しているため、一定の知識・スキルを保有する未経験者を採用するケースが増えているのです。
その中で、簿記2級は、会計分野に必要な知識やスキルを証明することができます。
実際に、管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」では、未経験者が応募できる会計分野の求人うち、約半数が簿記2級を必須または歓迎資格としています。(2025年1月時点)
また、簿記2級を取得するまでに要した努力や学習への姿勢も、転職に対する熱意として高く評価されます。
取得しようと考えたきっかけや学習の方法、合格までに要した学習時間まで掘り下げて伝えることで、学習意欲や持続的な努力、自己向上の意志をアピールできるでしょう。
ここでは、20代・30代・40代以降のそれぞれの年代別について、簿記2級を保有している場合の転職難易度を解説します。
20代の簿記2級取得者は、転職において高く評価されます。
社会人経験の浅い20代で簿記2級を取得していることは、会計分野の知識はもちろんですが、様々なビジネスシーンに役立つ知識や学習能力を示す証にもなるため、採用担当者に好印象を与えることができるでしょう。
年代的にキャリアの初期段階であり、ポテンシャル採用も多いことから、経験の有無は問わず、比較的容易に転職可能だと考えられます。
30代前半も、20代と同様に簿記2級を持っていることで、一定の評価を受けることができます。
しかし、成長可能性やポテンシャルといった点では20代を優先する企業も多いため、求人選びが重要です。
従来、「転職は35歳まで」と言われていたことからも分かるように、30代前半は、今後のキャリアやライフスタイルについて見直した結果、未経験分野にキャリアチェンジするケースも多く見受けられます。
一方、30代後半では、即戦力としての能力が求められるため、転職の難易度が上がります。
資格の有無よりも、実務経験の有無が重要な評価軸となると言えるでしょう。
しかし、30代後半の未経験者が経理へ転職することは、不可能ではありません。簿記2級は最低条件として、さらに応募先業界に関する資格を取得しましょう。
40代以降は、簿記2級だけで採用に値する評価を得ることは難しいと言えるでしょう。
一般的な企業では40代になると課長や部長といった管理職クラスに当たります。
そのため、40代以降を想定する求人では、実務経験は必須条件とされ、マネジメント経験や専門知識などのプラスの評価要素が求められることが一般的です。
経理経験は浅いが、他職種で管理職やプロジェクトリーターの経験がある場合は、マネジメント経験を重点に置いてアピールするとよいでしょう。
ただし、20代~30代よりも転職活動が長期化する傾向があるため、短期で決めようとせず、長期的な視点を持って計画的に進めることが重要です。
簿記2級を活かした転職先の選択肢は、以下の4つが挙げられます。
簿記2級を活かした転職先として最も一般的な選択肢が、企業の経理です。
経理の転職市場は経験者が有利な傾向ですが、応募条件として「経理経験〇年以上、または日商簿記」としている求人も多く見受けられます。
企業が求める年数に満たない経験者や未経験者は、応募資格を獲得できる資格だと言えるでしょう。
経理実務においても、仕訳入力や伝票処理、決算業務、税務申告、予算管理などにおいて、簿記2級の取得で得た知識を存分に活用できます。
また、経理は企業規模や業界を問わず、どのような企業にも欠かせない機能であるため、求人数も安定していると言えるでしょう。
会計事務所の税務スタッフも、簿記2級の知識を活かせる転職先のひとつです。
所属する企業の経理業務だけを担う企業経理と異なり、会計事務所では、クライアント企業の経理業務を代行します。
様々な業界・規模のクライアント企業の仕訳の起票から税務申告書の作成まで、広範囲な業務を扱います。
専門性が高い一方、人手不足も慢性的となっているため、未経験からでも比較的転職しやすい業界と言えるでしょう。
また、企業規模によって、企業の経理部門は他管理部門を兼務するケースもありますが、会計事務所では自身の業務のみに専念することができます。
現職が経理業務ではない業務に圧迫され、経理の専門知識を身に付けることができないと悩む方にとっても、最適な選択肢だと言えるでしょう。
金融関連業務においても、簿記2級の資格が役に立つでしょう。
金融機関では、企業の財務分析、財務諸表の作成、融資先や投資先のリスク分析などの知識が求められます。
高度な知識が求められるため、全くの未経験からは難易度が高すぎる可能性もありますが、経理の実務経験と簿記2級を保有していれば、会計情報を取り扱うための基礎知識を備えていると評価されるでしょう。
監査法人の監査アシスタントは、公認会計士をサポートする職種であり、公認会計士が会計監査に十分な時間を割けるように、単純作業を担うポジションです。
資料の管理やファイリング、資料作成などの事務処理だけでなく、仕訳や総勘定元帳の確認と整合性のチェック、連結決算業務の補助なども携わります。
そのため、簿記2級や経理経験を実務で活かすことができるでしょう。
簿記2級は、会計分野の知識を包括的に保有していることをアピールできる資格です。
経理未経験者だけでなく、実務1~2年の経験が浅い経理担当者にとっても役立つ資格だと言えるでしょう。
企業の経理部門はもちろん、会計事務所や金融機関、監査法人など、多岐にわたる転職先の選択肢が広がります。
特に、企業の経理部門は、求人数が多く、簿記2級の知識がそのまま実務に活かせる職種です。
しかし、転職を成功させるには、簿記2級の取得だけでなく、これまでの経験や自身の強みを洗い出し、応募先企業でどのように活躍できるかを具体的にアピールすることが重要です。
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