公開日 /-create_datetime-/
人事労務の業務効率化するホワイトペーパーを無料プレゼント
チェックしておきたい法令関連の情報やノウハウやヒントなど業務に役立つ情報をわかりやすくまとめた資料をご紹介します。全て無料でダウンロード可能ですので、是非ご活用ください。
次世代リーダー育成をコーチングで支援する、35 CoCreation(サンゴ コ・クリエーション)CEOの桜庭です。
組織の課題を浮き彫りにする「組織サーベイ」は、正しく実施し、結果を活用してこそ課題の改善に繋がるものです。しかし単に結果のデータを鵜呑みにし、対策や改善を当事者任せにしてしまっては、せっかくの「宝の山」をただの石ころに変えてしまいかねません。
本記事では、組織の健康を見極める専門家としての長年の経験から、サーベイ結果を無駄にしないために、人事担当者が注意すべき落とし穴と持つべき視点について解説します。
ある企業で、組織サーベイを実施する度に、特定のマネージャーが同じ項目で低いスコアを出していました。「メンバーとマネージャー間の信頼関係があるか」「マネージャーは信頼構築のために努力しているか」といった評価が、毎回著しく低かったのです。
しかし、人事や経営者は、そのスコアを見ただけで「ああ、またこの社員か…」と、その社員についての固定観念を持ち、スコアの原因について深く考えることをしませんでした。「人間関係に難がある人だから」という決めつけで、本人に解決策を講じるよう言いつけたままで放置していたのです。
ご本人と原因について話をすると、自身に何らかの責任があるということは理解されていました。しかし、どうして毎回そのような評価になるのかについて、決定的な原因を把握しているわけではなく、「本当に自分がすべて悪いのか」と一部ではモヤモヤした気持ちを抱えていました。
サーベイ後、重要なのは、数字の奥に隠された真実を探ることです。俯瞰的な視点を持って結果を眺め、固定観念にとらわれず対話をすること。そうしてこそ、これまで見過ごされてきた真実にたどり着けるはずです。
しかし、多くの場合、時間に追われる人事担当者や経営陣は、表面的な数字だけを見て判断してしまいがちです。今回のケースのように、原因について深く話し合えるリソースが社内にないことで、課題の特定がなされず、改善にも繋がらず、最終的にはマネージャーに悪評がついて回るというケースは決して珍しい話ではありません。
部下からの信頼のスコアが低いのは、確かにマネージャーとしての責任かもしれません。しかし、それだけではない可能性もあるのです。もしかしたら、組織全体のコミュニケーション不足や、組織や制度に対する不満など、複合的な要因が絡み合っているのかもしれません。
組織サーベイは、単なる評価ツールではありません。組織の課題を浮き彫りにし、改善への糸口を見つけるための、「対話のきっかけ」であるべきなのです。
今回のケースのように低い評価を受け続けるマネージャーは、周囲から「問題のある人」というレッテルを貼られ、孤立してしまうかもしれません。本人も、改善したいと思いつつも、具体的な解決策が見つからず、苦悩する状況に陥る可能性があります。
しかしさらに厄介なことは、その影響が本人だけでなく、組織全体に悪影響を及ぼすということです。
組織サーベイの結果で繰り返し危険信号が灯っているにも関わらず、会社や組織が有効な対策を講じない場合、社員は「サーベイを実施した意味がない」「会社は何も変えようとしていない」と感じ、不信感を抱きます。
企業によっては、サーベイ結果を社内で共有するケースもあり、そうなるとメンバーのモチベーションやエンゲージメントに悪影響を及ぼす可能性は否定できません。「あの人はやっぱり問題があるんだ」「自分もそう思っていた」といった意見が広まり、人間関係が悪化。せっかくの改善の機会が失われ、組織全体のモチベーション低下に繋がってしまうのです。
このように、組織サーベイの結果が、固定観念や偏見を増幅させ、人間関係を悪化させるケースもたくさん見てきました。組織サーベイは、正しく活用すれば、組織改善のための強力なツールとなります。しかし、使い方を誤ると負の連鎖に陥ってしまう可能性もあるのです。
では、どうすればこの負のスパイラルを断ち切ることができるのでしょうか?
それはデータを鵜呑みにせず、数字の奥にある「なぜ?」を粘り強く追求し、課題を特定して適切な改善策を導くことです。そのためには、対策を現場任せにせず、人事担当者が当事者本人との対話を重ねながら、改善への道筋を伴走することが大切です。「わかったつもり」になっていたことを改めて検証し、深いコミュニケーションをとることでこそ、真の原因と適切な改善策が見えてきます。
前回の記事で言及した「問いを立てる力」も、今回お話しした「対話力」も、「コーチング」で大切な能力の一つです。
コーチングとは、問題解決の答えは本人に備わっているという考えに基づき、傾聴と対話を重ねながら、本人の目標達成をサポートすることです。コーチは答えを与えるのではなく、本人が課題を解決する方法を生み出せるように導く役割を担います。
組織サーベイにおいても、スコアに問題があった場合には、その部署や従業員本人の中に課題が隠れている可能性が高いです。人事担当者は、サーベイ後に「なぜこのような結果が出たのか?」「従業員が本当に考えていることは何か?」「改善のためには何が必要なのか?」といった問いを立て、現場担当者との質の高い対話を通して真の課題を深掘りしていくことが求められます。本人との対話を重ね、数値の奥にある従業員の感情や考えを理解し、適切な改善策を講じていくことが重要です。
実は、問いを立てたり、本質を問う力は、日本古来の文化にも深く根付いています。禅問答のような、深い洞察を促す問いかけは、まさにその好例と言えるでしょう。しかし現代において、こうしたスキルを他人から体系的に教わる機会は、ほとんどありません。
こうした感覚を取り戻すためには、体系的なトレーニングと実践的な経験を積む必要があります。会社としてコーチング研修に投資するのも一手でしょう。傾聴力や質問力、対話する上での心構えなどをインプットすることで、社員一人ひとりの潜在的なコーチング能力を引き出し、組織全体のコミュニケーション能力を高めることが期待できます。
組織サーベイは、使い方次第で組織を大きく成長させるための羅針盤となります。しかし、その結果を最大限に活かすためには、人事担当者そして組織全体が組織サーベイを「成長の機会」として捉え、全社で取り組むことが何よりも大切です。
新型コロナウィルス問題と見直しておきたい契約条項
フランチャイズ契約を締結する前にチェックすべきポイントとは(加盟店の立場から)
OFFICE DE YASAI 導入事例
業務委託契約書の書き方のポイントは?知っておくべき基礎知識
電子署名の適法性 ~日本の裁判手続きにおける電子署名の有効性~
新卒社員初任給の大幅アップが相次ぐ、既存社員との給与逆転の可能性もあるのか?
行政書士は企業法務に転職できない?資格の活かし方や求人例など
外資系企業の人事に転職したい!仕事内容や必要なスキル、転職の方法など
「マイニングマシン節税」は過去のもの?税制改正が与えた実務への影響とは
新リース会計基準に対する準備状況、上場企業の7割が情報収集中という結果に
2,000人の経営幹部に聞く!電子署名導入のメリットと懸念点を徹底解剖
中堅大企業のための人事給与アウトソーシング導入チェックポイント
アフターコロナの採用戦略とコスト最適化
債権管理・入金消込効率化『Victory-ONE/G4』導入事例 ~入金消込の効率が飛躍的にアップ! ティーペック株式会社~
BillOneの導入で請求書業務はこう変わる
アウトソーシングとは?メリット・デメリットや契約先の選び方【わかりやすく解説】
ストレスチェック実施者の役割とは?実施者と実施事務従事者の違いや選定基準も解説
AI-OCRとは?経理・財務で注目される理由や今後の展望を解説
クラウドストレージの基本!特徴や導入するメリット・アクセスの利便性について
バックオフィス業務を自動化するには?効率化の課題や成功のポイントをわかりやすく解説!
公開日 /-create_datetime-/