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司法試験は、合格率2~3%で推移していたようなかつてほどの超難関ではなくなったものの、法曹志望者にとって、合格するには高い壁であることに変わりはありません。なかなか壁を超えられず、挫折を経験する受験者もいます。司法試験に挑戦していた経歴は、不合格となってしまっても就職にとって有利なのでしょうか。それとも、不利なのでしょうか。
今回は、司法試験にチャレンジしてしまったものの、不合格となってしまった方を対象に、就職してキャリアを歩むためのアドバイスについてお伝えさせていただきます。
弁護士・裁判官・検察官を志望する人は、司法試験に合格し、司法修習を終えなければなりません。司法試験の受験資格を得るためには、法科大学院を修了するか、予備試験に合格することが条件です。この司法試験は、毎年1回実施されますが、「5年間に5回まで」という受験回数制限があります。5回不合格になっても、もう一度、法科大学院を出るか、予備試験に合格すれば、再び司法試験を受験できるようにはなります。
しかし、それは本来の受験制限を設けた制度趣旨から逸れるものだと思われます。司法試験を5回受けて不合格となってしまった場合は、その時点では法律家としての適性や知識が不十分であったと考えられます。そのため、不合格となってしまった人は別の道を選択する場合も多くあります。
受験回数制限をあえて設けているのも、そのほうが受験生自身の経験を社会で有効に活かすことができ、社会全体にとっても、難関を乗り越えて法律家を目指そうという意欲と知性のある人材を採用し、活躍してほしいという思いがあります。
司法試験には、かつては受験回数制限がありませんでした。何度でも納得するまでチャレンジできたのですが、その結果、優秀だったはずの人々が社会人として就職することが困難になってしまったのです。他の道へ進むことができずに、司法試験の不合格が続いた結果人生を棒に振ってしまい、精神疾患に追い込まれてしまう人も珍しくなく、社会問題となっていました。
司法試験受験生には、働いて収入を確保しながら、終業後や始業前、休日に集中して受験勉強をする「兼業」の人もいます。この場合、司法試験から撤退しても、その職場で働き続けられるでしょう。
「兼業」の方は、司法試験に投入できる時間や労力が制約される代わりに、お金の心配をする必要が無く、撤退したときのリスクを最小限に抑えられるメリットがあります。一方で、司法試験の勉強のみに集中する、あるいはパートやアルバイトで最低限の収入を確保しながら受験準備に臨んできた「専業」の受験者は、司法試験不合格となってしまった後に就職活動をしなければならないでしょう。
5回の受験回数制限を使い切り、背水の陣で就職活動に臨むのも緊張感があって結構です。ただ、制限ギリギリよりも、3回~4回の受験で就職にも目を向けてみると、その心理的な余裕からいい結果が出やすくなるかもしれません。
また、回数制限を使い切った後、全て不合格となり追い込まれて仕方なく就職活動を始めるよりも、まだ受験の余地が残っている段階で、一度就職の道を考えてみるたり、実際に就職活動を始めることで、人事担当者に与えるイメージも良くなるかもしれません。
法律家の道に対する未練を、自ら前向きに断ち切り、新たなスタートを切るという前向きな気持ちの切り替えのアピールができるからです。
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