詳細はこちら
サービスロゴ

もらえる!

Present!

【雛形・サンプル付】災害対応マニュアルの作り方完全ガイド|BCPとの違いから具体的な見直しポイントまで解説

公開日2025/09/05 更新日2025/09/04 ブックマーク数
0
【雛形・サンプル付】災害対応マニュアルの作り方完全ガイド|BCPとの違いから具体的な見直しポイントまで解説
近年、能登半島地震や各地での豪雨被害など、大規模災害は企業活動に深刻な影響を与えています。
被災地以外の企業であっても、交通の寸断や取引先の操業停止によって業務が停滞する事例は後を絶ちません。
もはや「自社は大丈夫」と言い切れる環境ではなくなっています。

そのとき、従業員の安全をどう守るのか。
事業をどう再開するのか。
これらを明確に示すのが 「災害対応マニュアル」 です。
特に総務や管理部門は、緊急時の判断と行動を支える中核的役割を担っています。

本記事では、ゼロからマニュアルを整備するための最初の一歩から、地震・風水害・感染症など災害シナリオ別の具体的対策、そして「実効性あるマニュアル」を作るための手順までを整理しました。
まずは自社の現状を振り返り、できるところから取り組んでみましょう。

[ 目次 ]

災害対応マニュアルとは?BCPとの違いと総務の役割

企業の防災対策と聞くと「BCP(事業継続計画)」を思い浮かべる方も多いでしょう。
ですが、災害時にはまず「従業員の命をどう守るか」という視点が欠かせません。
そこで必要になるのが「災害対応マニュアル」です。
BCPと混同されがちですが、その役割や位置づけは大きく異なります。
ここからは、その定義や目的、そして総務・管理部門が担う重要な役割について整理していきます。

災害対応マニュアルの定義と目的(人命安全の確保が最優先)

災害対応マニュアルとは、地震・台風・感染症といった緊急事態が発生した直後に、従業員がとるべき行動を具体的に定めた指針です。
その最大の目的は、従業員の人命を守ること。
避難経路や連絡体制、安否確認の手順などを事前に整理しておくことで、発災時の混乱を最小限に抑えられます。

企業のBCP(事業継続計画)や防災計画と混同されることもありますが、災害対応マニュアルはより「現場レベル」で役立つ“行動マニュアル”です。
発災直後に「誰が」「何を」「どの順で行うか」を明確にしておくことが、従業員の安全と事業継続の第一歩につながります。

【図解】BCPと災害対応マニュアルの関係性

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は、災害やシステム障害などが発生しても事業を継続・早期復旧させるための経営戦略です。
一方で、災害対応マニュアルは 「発災直後に人命を守る行動」 を具体的にまとめた実務的な手引きです。

両者は混同されがちですが、視点も目的も異なりますので、以下図解をご確認ください。

図解①:時間軸のフローで整理

図解①:時間軸のフローで整理

図解②:役割の包含関係

図解②:役割の包含関係

図解③:対比表(違いの整理)

項目 災害対応マニュアル(戦術レベル) BCP(戦略レベル)
目的 人命を守る(安全確保) 事業を守る(継続・復旧)
タイミング 発災直後〜数時間 発災後〜復旧完了まで
内容 避難・安否確認・応急対応 復旧方針・代替拠点・優先業務
担当 総務・管理部門 経営層・部門長

なぜ総務・管理部門が中核を担うのか?

災害対応マニュアルの策定・運用において、総務や管理部門が中核を担う理由は大きく3つあります。

  1. 従業員全体を横断的にカバーできる立場だから
    人事・総務は全社員に関わる情報(名簿、連絡先、勤務状況)を把握しており、安否確認や避難誘導の中心的役割を担えます。
  2. 防災・安全衛生の責任部門としての役割があるから
    労働安全衛生法や社内規程に基づき、従業員の安全確保をリードするのは総務・管理部門の責務です。
  3. 経営層と現場の橋渡しができるから
    BCPを策定する経営層と、実際に動く現場の社員をつなぎ、ルールを「実効性ある仕組み」として根付かせる調整力が求められます。

まだ何もない企業向け「ゼロから始める」最初の一歩

「災害対応マニュアル」と聞くと、大規模な計画書や専門的な知識が必要に思えるかもしれません。
しかし、実際にはゼロからでも始められます。
ポイントは、まずはシンプルな形で第一歩を踏み出すことです。
ここでは、何も準備がない企業でも実行できる最小限のステップを紹介します。

ステップ①:まず「防災担当者」を決める

最初の一歩は、担当者を一人でも決めることです。
兼務でも構いません。
「誰が中心となって準備を進めるか」が明確になるだけで、社内の意識は大きく変わります。
担当者は、従業員名簿や拠点情報など必要な基礎データを整理する役割を担います。

ステップ②:経営層を巻き込み、「作る」という意思決定を得る

担当者だけでは限界があります。
マニュアル策定は経営層の理解と後押しが不可欠です。
トップが「防災を会社の優先課題とする」と宣言することで、社内全体が動きやすくなります。
経営層には「従業員の命を守ることが、事業継続の第一歩である」と訴えるのが効果的です。

ステップ③:完璧を目指さず、「緊急連絡網」と「安否確認ルール」から作る

最初から分厚いマニュアルを作ろうとすると、作業が止まってしまいがちです。
まずは 最低限の「連絡体制」と「安否確認ルール」 を形にしましょう。

  • 緊急時の連絡手段(電話・メール・チャットなど)を統一する
  • 誰が誰を確認するか、ツリー型の安否確認フローを決定する
  • ルールを紙1枚・PDF1ページで配布できる形にまとめる

これだけでも「災害対応マニュアルの第一歩」として十分です。

【災害シナリオ別】マニュアルに盛り込むべき対策ポイント

災害は一括りにできず、その種類ごとにリスクも初動対応も異なります。
マニュアルに「災害シナリオ別の対策」を盛り込むことで、実際に発生した際に迷わず行動できるようになります。
以下では代表的な3つのケースを取り上げます。

ケース①:地震(首都直下・南海トラフ等)への備え

日本企業にとって最大級のリスクが地震です。
発生直後の混乱を抑えるためには、事前の物理的対策(備蓄など)と訓練が欠かせません。

  • オフィス家具を固定する:転倒防止金具で固定し、通路を塞がないようレイアウトを工夫する
  • 避難経路を確保する:非常口の確認、避難誘導の役割分担を明確にする
  • 安否確認訓練を実施する:定期的に避難訓練と安否確認フローをリハーサルする
  • 帰宅困難者を想定し対策する:水・食料・毛布・携帯トイレなどを3日分ほど備蓄する

ケース②:風水害(台風・豪雨)への備え

近年は記録的な豪雨や台風による浸水・交通麻痺が増えています。
出社可否や拠点の安全を事前にルール化しておくことが重要です。

  • 気象情報の収集基準を知る:警報・特別警報・自治体の避難情報などをモニタリングする
  • 出社・退社の判断基準を設定する:計画運休に合わせて「出社禁止・在宅勤務」などを明文化する
  • 拠点の浸水対策をする:重要書類やサーバーを高所へ移動、止水板や土嚢を設置する
  • リモートワーク切替ができるよう準備する:オンライン会議・クラウドシステムを活用し、業務を中断しない仕組みを準備する

ケース③:感染症(パンデミック)への備え

新型コロナの経験から、多くの企業が感染症対策の重要性を痛感しました。
再流行時に備え、ルールを平時から定めておくことが必要です。

  • 体調不良者の報告ルールを定める:発熱・体調異変時は即時報告、出社停止基準を明確化する
  • 濃厚接触者の就業制限を決める:出勤停止期間の基準を策定し、休業補償の有無も決定する
  • 事業所内の消毒手順を決定する:共用スペース(会議室・食堂・ドアノブ等)の定期消毒手順を定める
  • リモートワーク体制を整備する:感染拡大時に速やかに全社リモートへ移行できるよう、業務フローを整える

【5ステップで進める】災害対応マニュアルの作り方・見直し方

災害対応マニュアルは、一度作って終わりではなく、定期的に更新し続けることで初めて実効性を持ちます。
ここでは、新しく作る場合も、既存のマニュアルを見直す場合も活用できる5つのステップを紹介します。

ステップ①:リスクを洗い出し、優先順位をつける

まずは、自社にとって想定されるリスクを洗い出します。
地震・風水害・感染症といった一般的な災害に加え、立地や業種によって特有のリスク(工場火災、停電、サイバー攻撃など)も検討しましょう。
そのうえで、発生確率や影響度を基準に優先順位をつけ、マニュアルに反映すべき項目を整理します。

ステップ②:発災時の行動計画を立て、役割分担する

災害時は「誰が何をするか」が不明確だと混乱を招きます。

  • 避難誘導、安否確認、初期消火、通報担当などの役割を決める
  • 管理部門・現場リーダー・経営層それぞれの責任を明確にする
  • 拠点ごとに代替責任者を設定する

役割を事前に割り当てることで、発災直後の行動がスムーズになります。

ステップ③:マニュアルを文書化し配布する

整理した内容を 必ず文書化し、全社員に共有 することが重要です。
主な共有方法は以下の通りです。

  • 冊子やPDFで配布する:紙や電子ファイルで全員に行き渡る形にする
  • クラウド・社内ポータルに掲載する:いつでも最新版を確認できるようにする
  • スマホ対応の緊急連絡網を用意する:出先や在宅勤務中でもアクセスできるように整備する

「知っている人だけが持っている」状態では、災害時に機能しません。
全社員が同じ情報にアクセスできることを最優先にしましょう。

ステップ④:訓練・教育によって社内に浸透させる

マニュアルは作っただけでは意味がありません。
定期的な訓練や教育によって、社員が実際に行動できるようにする必要があります。

  • 年1回の避難訓練+安否確認テストを実施する
  • 新入社員研修や管理職研修に「災害対応」を組み込む
  • 訓練後には必ずアンケートを取り、改善点を抽出する

「実際にやってみる」ことで弱点が浮き彫りになるでしょう。

ステップ⑤:訓練結果や環境変化を踏まえた定期的な見直し(PDCA)

最後に、マニュアルを定期的に更新し続ける仕組みを作りましょう。

  • 訓練後のフィードバックを反映
  • 組織改編や拠点移転など環境の変化に合わせて更新
  • 法令・行政ガイドラインの改訂にも注意

PDCAサイクル(Plan→Do→Check→Act) を回し続けることで、常に実効性のあるマニュアルが維持されます。

マニュアルを“生きたツール”にするための工夫

全社員がいつでも見られる配布・保管方法(クラウド活用・スマホ対応)

災害時に紙の冊子やPCにしか保存されていないマニュアルは、すぐに参照できません。
「どこでも、誰でも」アクセスできる状態を作ることが肝心です。

  • クラウドに保管する:社内ポータルやGoogle Drive、Teamsなどに保存し、常に最新版を共有できる状態にする
  • スマホ対応も可能にする:緊急連絡網や避難手順をスマホから確認できるようにPDF化やアプリ連携も済ませておく
  • オフライン対応:停電や通信障害に備え、紙の簡易版もオフィスに備え置く

外国人従業員のための「多言語対応」の重要性

グローバル化に伴い、外国籍の従業員が増えている企業では、多言語対応は必須です。
「誰も置き去りにしない」体制を整えることで、企業としての安全配慮義務も果たすことができるでしょう。

  • 多言語版マニュアルを作成する:英語・中国語など主要言語での翻訳を用意する
  • ピクトグラム(絵文字)の活用する:言葉が伝わらなくても理解できる避難案内を併用する
  • 多文化対応訓練を実施する:外国人従業員を交えて実際に避難ルートやルールを確認する

マニュアル作成に役立つ公的資料・雛形リンク集

災害対応マニュアルは、自社だけでゼロから作る必要はありません。
国や自治体、業界団体が公開しているガイドラインや雛形を活用することで、効率的かつ網羅的に整備できます。
信頼できる情報源をうまく使い、自社の状況に合わせてカスタマイズするのがおすすめです。

内閣府「事業継続ガイドライン」

内閣府が公開する「事業継続ガイドライン」は、BCP策定の基本から最新の実践事例まで幅広く整理されています。
特に中小企業向けに分かりやすく解説されており、「災害対応マニュアルはBCPの一部である」 という理解を深めるのに役立ちます。

ガイドラインPDF・チェックリストあり
内閣府による公式紹介ページ

中小企業庁「事業継続力強化計画」認定制度

中小企業庁が推進する「事業継続力強化計画」は、防災・減災に取り組む中小企業を認定し、金融支援や補助金優遇を受けられる制度です。
申請用フォーマットが公開されており、雛形を活用すれば自社のマニュアル作成にも応用可能です。
防災対策と経営支援を両立できるのが大きな魅力です。

制度概要ページ
電子申請システム入り口

東京消防庁「事業所防災計画作成の手引き」

首都圏の企業に特に有用なのが、東京消防庁の「事業所防災計画作成の手引き」です。
災害発生時の行動フローやチェックリスト、避難訓練の方法など、現場でそのまま使える実務情報が豊富に盛り込まれています。
首都圏以外の企業にとっても参考になります。

作成例・雛形集
届出手続きに関する制度解説

自治体・業界団体が公開する雛形の探し方と活用法

多くの自治体や業界団体が、自地域や業界特有の災害リスクを踏まえたマニュアル雛形を公開しています。

  • 自治体の防災ページで「事業継続」「防災マニュアル」と検索する
  • 業界団体(建設、IT、医療など)が公開している独自ガイドラインを確認する
  • 雛形をそのまま使うのではなく、自社の規模・拠点・業務特性に合わせて修正する

公的な雛形は「最低限押さえるべき要素」を網羅しているため、まずはこれをたたき台にして整備するのが効率的です。

災害対応マニュアルに関するよくある質問(FAQ)

災害対応マニュアルを整備する際には、多くの担当者が共通して抱える疑問があります。
ここでは代表的な質問に回答し、実務にすぐ役立つ視点をまとめました。

Q. マニュアルの作成は法律上の義務ですか?

法律で一律に義務付けられているわけではありません。
ただし、労働安全衛生法や消防法では「従業員の安全確保」や「防火管理計画」などの策定・訓練が求められており、その実効性を高めるためにマニュアルが必要となります。
特に大規模事業所では消防計画や防災計画の提出義務があるため、実質的にはマニュアル整備が欠かせません。

Q. 安否確認システムの導入は必要ですか?おすすめは?

必須ではありませんが、従業員数が多い企業ほどシステム導入は有効です。
メール・電話連絡網だけでは災害時に回線混雑で機能しないケースがあるため、アプリやクラウド型サービスを活用する企業が増えています。
おすすめの基準は以下の通りです。

  • スマホからワンクリックで回答できる
  • 管理者が一括で集計・未回答者を把握できる
  • 多言語対応や安否コメント入力が可能

中小規模であれば無料~低価格の安否確認アプリ、大企業なら専用システムが現実的です。

Q. 防災備蓄品は何をどのくらい用意すればいいですか?

目安は 「1人あたり3日分」。
首都直下地震などでは、ライフライン復旧まで72時間かかることが想定されるためです。
代表的な備蓄品は:

  • 飲料水(1人1日3リットル)
  • 保存食(アルファ米、缶詰、ビスケット等)
  • 携帯トイレ・簡易トイレ
  • 毛布・防寒具・衛生用品(マスク、消毒液)
  • モバイルバッテリー、懐中電灯、ラジオ

備蓄は「一括保管」ではなく、拠点やフロアごとに分散して配置すると実効性が高まります。

Q. テレワーク中の社員の安否確認はどうすればいいですか?

在宅勤務や外出中の社員にも対応できる体制が必要です。

  • クラウド型安否確認システムを利用する
  • チャットツールやグループウェアでの「ワンクリック安否報告」ルールを整備する
  • 安否確認に加えて「業務再開可否」も報告項目に入れる
災害時は社員の安否だけでなく「仕事を続けられるかどうか」も重要な情報となります。

まとめ

災害対応マニュアルは、一度作れば終わりの書類ではありません。
訓練や定期的な見直しを重ねることで、はじめて実際に機能する「生きたツール」となります。

大切なのは、完璧を目指して立ち止まらないこと
分厚いマニュアルを最初から作り上げる必要はなく、まずは「緊急連絡網」や「安否確認ルール」といった最低限の仕組みから始めれば十分です。

今日踏み出す小さな一歩が、明日の従業員の命と会社の未来を守る大きな備えにつながります。
ぜひ、この記事をきっかけに “最初の一歩”を今から始めてみましょう。

この記事を読んだ方にオススメ!


ニュースを読んでポイントGET!(公開日の翌日13時前限定で取得可能)

おすすめコンテンツ

人気記事ランキング

キャリア記事ランキング

新着動画

関連情報

マネジーポイントを貯めると各種ポイントと交換できたりカタログギフトとも交換可能です。また今なら初回特典として1,600ポイントをプレゼント!

マネジーの会員登録はこちら