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評価性引当金は、資産の価値減少に備えるための会計処理であり、適切な設定は財務の信頼性に直結します。
本記事では、評価性引当金の基礎知識から、会計と税務の違い、主な種類や仕訳例までをわかりやすく解説します。
引当金とは、将来発生が見込まれる費用や損失について、その原因が当期以前にある場合に、あらかじめ損益に反映させる会計処理です。
主なメリットとして、
①将来損失を見越した計上による財務諸表の信頼性向上
②保守主義の原則に基づいた適正な期間損益計算の実現
③課税所得の圧縮による資金繰りの改善(※損金算入が認められる引当金のみ)
が挙げられます。
また、リスクを数値化することで、経営判断の精度向上にも寄与します。
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引当金は「評価性引当金」と「負債性引当金」に大別され、その違いは財務分析や税務判断において重要です。
評価性引当金は、資産の価値減少に備えて計上され、貸借対照表では資産から控除して表示されます(例:貸倒引当金)。
一方、負債性引当金は、将来の支払義務に備えるもので、負債として計上されます(例:退職給付引当金、賞与引当金)。
両者の大きな違いは、将来的な支払い義務の有無にあります。
引当金の取扱いは、会計と税務でルールが大きく異なります。
会計基準では、将来の損失や費用が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、金額を合理的に見積もれる場合に、保守主義の原則に基づいて引当金を計上します。
IFRSにおいても、過去の事象に基づく現在の義務があり、資源の流出が見込まれ、金額の見積もりが可能であれば、引当金を認識します。
一方、法人税法では、恣意的な課税所得の減少を防ぐ目的から、損金算入できる引当金は厳しく制限されており、貸倒引当金や返品調整引当金など限られた項目のみが対象です。(2025年8月現在)
この違いにより、会計上は引当金を計上していても、税務上は損金とならないケースでは、将来減算一時差異として繰延税金資産が生じます。
さらに、その資産の回収が見込めない場合には、税効果会計上の評価性引当金を設定する必要があります。
評価性引当金は、資産の価値減少に備えるための会計処理で、種類ごとに対応するリスクが異なります。
企業の事業内容や保有資産の性質に応じて、適切な引当金を設定することが重要です。
貸倒引当金は、評価性引当金の最も代表的な例で、売掛金や受取手形、貸付金などの債権について、回収不能となる可能性に備えて設定されます。
取引先の倒産や支払能力の悪化により、債権の全部または一部が回収できなくなるリスクを事前に見積もって計上します。
期末に売掛金100万円に対して10%の貸倒れが見込まれる場合、10万円を貸倒引当金として計上する具体例を示します。
【設定時(当期発生分)の仕訳】
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
貸倒引当金繰入額 | 100,000円 | 貸倒引当金 | 100,000円 |
【前期引当金の戻入時の仕訳】
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
貸倒引当金 | 20,000円 | 貸倒引当金戻入額 | 20,000円 |
※前期に積み立てた引当金が過大だった場合など、不要分を戻す処理
【実際に貸倒が発生した場合の仕訳】
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
貸倒引当金 | 50,000円 | 売掛金 | 50,000円 |
※過去に引当済みの金額を取り崩して売掛金を消す処理
貸倒引当金は、法人税法上も一定の要件を満たせば損金算入が認められており、特に中小企業等では法定繰入率に基づく一括評価方式の適用が可能です。
一方、大企業では個別評価による引当金のみが損金算入の対象となるため、会計上の引当金と税務上の処理に差異が生じ、税務調整が必要となる場合があります。
貸倒引当金以外にも、企業の事業内容に応じてさまざまな評価性引当金が設定されます。
代表的な評価性引当金は以下のとおりです。
これらの評価性引当金は、IFRS(国際財務報告基準)でも資産の減損に対応する考え方として共通しており、グローバル企業では統一的な会計処理が求められます。
なお、各引当金の仕訳方法は基本的に貸倒引当金と同様ですが、対象となる資産科目や費用科目が異なる点に注意が必要です。
評価性引当金は、資産の価値減少リスクに備える会計処理であり、財務の適正な表示に欠かせません。
貸倒引当金や投資損失引当金など、資産の特性に応じた計上が求められます。
会計と税務で取扱いが異なるため、税務調整や繰延税金資産の管理にも注意が必要です。
経理担当者としては、自社の資産内容やリスク状況を把握し、必要な引当金を正しく判断・計上することが重要です。
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