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新五千円札の図柄には、名門女子大・津田塾女子大学の前身「女子英学塾」の創設者で、“女性教育の母”と呼ばれた津田梅子が選ばれました。ところで、津田梅子とは、どのような人物だったのでしょう。名前は知っているけど詳しくは・・・という人も多いのではないでしょうか。
今回は、ビジネスパーソンとして、知っておくべき津田梅子の人物像をまとめてみました。
紙幣の図柄が発表されると、津田塾大学の学生をはじめ、関係者の間から、喜びの声が上がったことはいうまでもありません。
ところが、「あれ、肖像画は写真とは逆向きじゃないか」と、たちまちニュースで取り上げられるほか、ネット上では「津田梅子って、NHK朝ドラの“梅ちゃん先生”だよね」といった、勘違い情報も飛び交うなど、やはり、名前は知っていても詳しくは知らない人も多いようです。
紙幣の肖像は、「提供された写真を元に描き起こすもので、写真をそのまま使用するものではない」(財務省)ということで、写真とは逆向きのまま使われることになりそうです。ちなみに、写真は36歳のときのものだそうです。
また、NHK朝ドラ「あさが来た」の梅ちゃん先生は、日本女子大学の創設にかかわった広岡浅子がモデルで、こちらは明らかな勘違いですので、くれぐれも鵜呑みにしないようにしましょう。
さて津田梅子ですが、実は日本初の女子留学生という経歴の持ち主です。明治4年(1871)政府が欧米派遣した「岩倉使節団」に6歳で加わり、日本で最年少の女子留学生5人のうちの1人で、そのときの経験が後の人生に影響を与えたようです。
11年間、ワシントン近郊のジョージタウンに住むランマン夫妻の元で過ごし、明治15年(1882)に帰国しますが、懐かしいはずの日本は、津田梅子にとっては落胆の連続だったそうです。
というのも、国費留学生としての責務から、帰国後はすぐにでも国のために働こうと思っていたものの、男子留学生には役人や大学教授のポストなどが用意されていたのに、女性には政府から何の連絡もなく、活躍する場を提供されることがなかったからです。
11年間もアメリカで一体、何のために勉強してきたのだろうか。国はなぜ、自分たちを役立てようとしないのか。アメリカで生活し、知識や教養を身につけてきた津田梅子にとっては、日本女性の地位の低さはカルチャーショックだったことでしょう。
女性が自立するためには、教育が必要と考えた津田梅子は、伊藤博文の口利きで華族女学校の英語教師となります。しかし、上流階級の子女たちの、いわゆる花嫁修業が目的の校風でした。
どうしても馴染むことができなかった津田梅子は、華族女学校を休職し、再びアメリカに渡り、ブリンマー女子大学に入学します。さらに、オスウィーゴー師範学校で教育教授法を学び、教育者として進むべきという自覚が固まっていったようです。
帰国した津田梅子は、いったんは華族女学校に復職するものの、自分が理想とする教育を実践するために退職し、明治33年(1900)、35歳のときに女子英学塾(現・津田塾女子大学)を開きます。
それまでの女子教育といえば、花嫁修業が中心でした。しかし、津田梅子が開いた女子英学塾は、日本初の私立の女子高等教育機関で、先進的でレベルの高い授業を取り入れたものでした。
津田梅子が、この女子英学塾に込めた狙いは、女性たちに英語の力を身につけさせることで、女性の社会的自立と地位を向上させることでした。
女子英学塾の開校式で、津田梅子は「真の教育には、教師の熱心、学生の研究心が大切であること、また、学生の個性に応じた指導のためには少人数教育が望ましいこと、さらに人間として女性としてall-roundでなければならない」と語ったそうです。それが、現在の津田塾の伝統として、今に受け継がれています。
津田梅子は、まさに“女子教育の先駆者”というべき存在です。ビジネスの場面で、津田梅子の人物像が話題になることもあるかもしれませんので、覚えておくと役に立つことがあるかもしれません。
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