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取引先との契約が長期化するなかで、「契約内容を一部変更したい」という場面は珍しくありません。
業務内容の追加や納期の変更、報酬の改定など、契約条件を見直すケースも多く見られます。
こうした際、口頭やメールでの合意だけでは「言った・言わない」のトラブルに発展するおそれがあります。
そのため、変更内容を正式に書面で取り交わす「変更契約書」を作成することが重要です。
この記事では、その基本から作成手順、記載上の注意点までを解説します。
変更契約書とは、既に締結済みの契約内容を一部または全面的に変更するための正式な書面です。
契約当事者が合意のうえで変更内容を明確化し、法的に有効な形で残すことを目的とします。
一方、「覚書
」は軽微な変更や追加事項を確認するための補足的な書面であり、契約の根幹を大きく変えない場合に使われます。
また、変更内容が広範囲に及ぶ場合は、「一部変更契約書」または「全面変更契約書」として、新たに契約構成を作り直すこともあります。
このように変更契約書は、契約関係の継続性を保ちつつ、変更点を正式に反映させる重要な法的文書です。
契約変更は、民法上の原則として「当事者全員の合意」がなければ成立しません。
片方の意思だけでは変更はできず、署名・押印などで双方の意思表示を形式的に確認する必要があります。
また、定型約款のように不特定多数を対象とする契約では、一定条件を満たせば一方的変更が可能な場合もありますが、原則は合意が必要です。
なお、契約変更の効力は「将来に向かって」発生し、過去にさかのぼって効力をもつことはありません。
たとえば金額改定を合意しても、その効力は合意日以降の取引から適用される点に注意しましょう。
変更契約は、実務上「①原契約の確認と変更内容の合意 → ②変更契約書の作成 → ③押印」という流れで進めます。
まず、変更対象となる契約書の内容を精査し、どの条項をどのように変更するのかを明確にしましょう。
条番号単位で把握しておくことで、変更契約書に具体的な条の改定文を正確に反映できます。
報酬額や納期、役務範囲など、実務上トラブルになりやすい要素を中心に確認することが重要です。
変更契約書には、「○年○月○日付〇〇契約書を次のとおり変更する」と原契約を特定したうえで、変更後の内容を「変更条項」として記載します。
軽微な修正に留まる場合は覚書で対応できますが、支払条件や契約期間など契約の主要部分に及ぶ改定は、一部変更契約書または全面変更契約書として正式に書面化するのが安全です。
契約当事者全員の合意が確認できたら、押印または電子署名を行います。
電子契約
サービスを利用すれば、場所や時間を問わず変更手続きを完了でき、契約管理効率も向上します。
押印は法律上必須ではなくなりましたが、紙契約では依然として証拠力を高める手段として有効です。
変更契約書の基本構成は以下の通りです。
変更の影響が複数条項に及ぶ場合は、元の条文と変更後条文を対比した「新旧対照表」を付けると分かりやすくなります。
新旧対照表は、契約変更部分を一目で把握できるようにするための補助資料です。
Word表形式やExcelでも作成可能で、社内の承認フローや法務チェックがスムーズになります。
特に複雑な契約では、誤解や再修正を防ぐうえで非常に有効です。
以下は一般的な前文と条項の書き方例です。
(例)
「令和◯年◯月◯日付で締結した業務委託契約書について、次のとおり変更することに当事者間で合意した。」
その後、変更箇所ごとに「第◯条(◯◯)を以下のとおり変更する」として新旧両方の条文を示します。
一部変更契約書では改定箇所を限定的に示しますが、全面変更契約書の場合は「本契約書により旧契約書は失効する」と明記し、全体を新たに置き換える構成にします。
契約当事者情報を正確に記載し、両者の署名・押印をもって効力を発生させます。
契約変更では次のようなトラブルが頻発します。
原契約の特定ミス:どの契約を変更したのか不明確だと無効リスクが生じる
効力発生日の認識違い:双方で適用日を異認し、支払時期や納期に齟齬が発生
口頭合意・メール合意のみ:証拠不十分で法的効力が争われやすい
これらを防ぐには、原契約に「本契約の変更は書面による合意による」旨の変更条項を事前に設けておくと効果的です。
加えて、契約管理システムや電子契約ツールで変更履歴を一元管理しておくと、後日のトラブル防止につながります。
A:締結済みの契約内容を修正・追加・削除する際に、当事者間の合意を明文化する書面です。
口頭での合意よりも法的効力が明確になります。
A:覚書は軽微な条件変更や補足を確認する目的で作成しますが、変更契約書は契約の主要部分を修正する正式書面です。
A:契約金額などの重要項目を変更する場合は課税文書となり、印紙の貼付が必要です。
変更内容が軽微な場合や既に履行が完了している契約は不要となることもあります。
A:変更契約を繰り返す場合、最初の契約を「原契約」、1回目の変更契約を踏まえたものを「2回目の原契約」と呼びます。
常に直近の契約内容を基準に変更を行うのが原則です。
契約条件を変更する際は、口頭ではなく書面で正式に合意を残すことがトラブル防止の第一歩です。
特に、金額・期間・義務内容の修正は、変更契約書を通じて法的に有効な形で残すことが欠かせません。
原契約との整合性や印紙税の有無、保管方法をしっかり確認し、テンプレートを基に自社標準を整備しておくと運用効率も向上します。
契約変更を明確に記録する実務体制を構築することで、法的リスクを最小限に抑えた健全な取引関係を維持できるでしょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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