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総務省統計局は、9月16日の「敬老の日」を前に、統計から見た我が国の65歳以上の高齢者の人口と就業の状況について、統計トピックスNo.121として公表しました。なんと、日本の高齢者人口の割合は、世界で最高となりました。
医学の進歩と栄養状態の改善によって、長生きする高齢者が増えることは、実に喜ばしいことです。ただ、生まれてくる子どもの数が減少していますので、労働力の減少、さらには社会保障制度の継続も危ぶまれることにもなりかねません。
少子高齢化に向けた、抜本的な対策を早急に講じるためにも、高齢者の実態を把握しておくことが必要です。
【65歳以上の高齢者の人口と就業の状況】
1. 高齢者人口3,588万人(過去最多)、総人口に占める割合28.4%(過去最高)
2. 高齢就業者数862万人(過去最多、15年連続で増加)、就業者総数に占める高齢就業者の割合12.9%(過去最高)
3. 高齢就業者が多いのは「卸売業,小売業」や「農業,林業」など
4. 高齢雇用者の4人に3人が非正規の職員・従業員(高齢者の非正規の職員・従業員は、10年間で200万人以上増加)
この統計数字を見る限り、日本は紛れもなく長寿大国であることがわかります。確かに、ひと昔前に比べると、街角でも電車内でも、高齢者を見かけることが多くなりました。また、かつては学生など若者のアルバイト先の代表格であったファストフード店にも、高齢者の進出が目立つようになっています。
日本の人口の推移を見てみると、総人口は前年より26万人減少しているのに、65歳以上の高齢者が、前年の3,556万人から198万人増えて過去最多の3,358万人となっています。
総人口に占める割合も、前年の28.1%から0.3ポイント上昇し、こちらも過去最多の28.4%です。男女別に見ると、男性1,560万人(男性人口の25.4%)、女性は2,028万人(女性人口の31.3%)で、女性が男性より468万人多くなっています。
これを、人口性比(女性100人に対する男性の数)で見ていくと、15歳未満では105.0、15~64歳では102.6と男性が多いのに対し、65歳以上では76.9と女性が多くなっています。
また、年齢階級別では、いわゆる「団塊の世代」(1947年~1949年生まれ)を含む70歳以上が2,715万人(総人口の21.5%)で、前年に比べ、98万人増(0.8ポイント上昇)となっています。
75歳以上の人口は1,848万人(同14.7%)で、前年により53万人増(0.5ポイント上昇)、80歳以上人口は1,125万人(同8.9%)で、21万人増(0.2ポイント上昇)です。
2018年の高齢者の就業者数は862万人で、2004年以降15年連続で増加し、こちらも過去最多となっています。
年齢別にみると、65~69歳が46.6%、70~74歳が30.2%、75歳以上が9.8%となり、年齢が高くなるとともに就業率は低くなっていますが、団塊の世代の高齢化を背景に、65~69歳の就業率が高くなっています。
また、高齢就業者数を主な産業別にみていくと、「卸売業、小売業」が127万人と最も多く、次いで「農業、林業」が107万人、「サービス業(他に分類されないもの)」が98万人、「製造業」が94万人などとなっています。
元気な高齢者が増え、働き続けることはいいことですが、総人口に占める高齢者人口の割合の推移を見ていくと、将来に不安が募ってきます。それはいうまでもなく社会保障制度、なかでも“年金がどうなるか問題”です。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2025年には総人口に占める高齢者の割合が30.0%となり、第2次ベビーブーム期(1971年~1974年)に生まれた世代が65歳以上となる2040年には、35.3%になると見込んでいます。
一方、総人口は、2016年時点で1億2,693万人でしたが、2030年には1億2,000万人を割り込み、2055年には1億人を切るだろうと予測されています。
1950年は、高齢者1人を12人で支えていました。それが、2015年には高齢者1人を2.3人で支えなければならなくなりました。さらに、2065年には高齢者1人を1.3人で支えることになると予測されています。
「65歳以上の高齢者人口と就業状況」について見ていくと、まさに、日本の少子高齢化問題は、待ったなしの状態にあることを、再確認させられます。これは、ビジネスパーソン一人一人にかかわってくる問題だけに、現実をしっかりと受け止めておく必要がありそうです。
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