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スリープテックは現在、日本を含め世界的に市場成長が見込まれており、2020年には世界市場規模がおよそ800億ドル(約9兆1,000億円)、日本では1兆2,000億円達すると予測されています。しかしまだ成長中の市場ということもあって、スリープテックのことをまだご存じない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、スリープテックとは何か、なぜスリープテック市場が拡大し、どのような企業が市場をリードしているのか、詳しく解説します。
スリープテックとは、「入眠を促す」、「安眠環境を作る」、「睡眠状況を理解する」、「起床後の覚醒を促進する」ための最新技術のことです。以前から、睡眠の深さをモニターする機器などは開発されていましたが、現在世界的に注目され、開発が進められているスリープテックは、それよりもさらに進んだ技術を指します。例えば、ベッドに付いている体動センサーがベッド上の人の動きや睡眠状態を把握し、付属のスピーカーから環境音を出す、香りを出現させて心地よい入眠を促す、などの技術がその一例です。あるいは、ベッド上の寝返りの状態からエアコンの風向きを細かく制御する、朝起きたときに昨夜の睡眠状態をスコア表示し、快眠のためのアドバイスを提供するサービスなども該当します。
現在、こうしたスリープテックの市場が、世界的に拡大しつつあります。なぜこれほど注目を集めているのでしょうか。
その要因の1つとして、2010年代以降、睡眠に関する研究結果が世界の大学・研究機関で続々と発表されるようになり、世界中の人の中で「睡眠の大切さ」に対する意識が高まってきたことを挙げられます。
例えば、米国カリフォルニア大学と東京医科歯科大学が共同で行った研究において、人間は夢を見ることの多いレム睡眠の最中に記憶の整理と感情のコントロールを行っていることが明らかにされました。レム睡眠で夢を見ることが、メンタルヘルスにつながることが分かったのです。
さらにアメリカのワシントン大学の研究では、睡眠の質が高い人ほど、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβの蓄積が抑えられることが検証されています。睡眠の質を改善させることが、認知症予防につながることが証明されたわけです。睡眠と認知症予防の関係性に関する研究は、先進国における高齢化の進展を背景としながら、2013年頃から世界各国の研究機関で行われるようになりました。
以上のような睡眠と健康に関する研究結果は、メディアやネットなどで広く人々に伝えられ、睡眠の重要性を認識させる効果をもたらします。そこに近年急成長を示しているIoT(もののインターネット可)や人工知能の技術が、睡眠の質向上のためのシステム・商品の開発を後押ししたのです。
日本でも近年、睡眠の質に対する関心の高まりと、IoTや人工知能技術の進展が重なり、スリープテックへの注目度が高まりつつあります。そうした中、現在のところ国内でスリープテック市場をリードしているのが「パナソニック」です。同社は2013年頃から、入眠時間に合わせて自動的に明るさを弱くするLEDシーリングライトなど、スリープテック関連の商品を積極的に開発、販売してきました。今年4月には住宅向けのホームアシスタントシステムである「HomeX」をベースとし、睡眠中の人の動きをセンシングする体動センサーで眠りの深さを測り、快適な睡眠と起床を導くシステムを発表しています。
大企業に比べると、経営資源に不足のあるスタートアップ企業(起業まもない、市場開拓段階にあるベンチャー企業のこと)ですが、特定の技術に特化した製品を開発、販売しています。例えば、「cheero(チーロ)」は、音によって聴覚、香りによって嗅覚、光によって視覚を心地よく刺激し、快眠をもたらす「スリーピオン」という製品を開発し、注目を集めました。また「レイコップ」は、布団の温度を一定に保つことで安眠環境を提供する「ふとんコンディショナーFUTOCON」などの製品をしています。新規参入する挑戦的な企業が多数登場しているのも、スリープテック市場の大きな特徴です。
アメリカを代表するシンクタンクのランド研究所は、睡眠不足によってサラリーマンの生産性が落ちることで、日本では最大で年間15兆円の経済損失が発生しているとの研究結果を発表しています。睡眠障害は個人の健康のみならず、国家規模の経済をも左右しているわけです。働き方改革や健康増進が重要視される現在、国内のスリープテック市場は今後さらに拡大すると考えられます。
ただ、スタートアップ企業が乱立し、多様な製品が開発される中、製品における睡眠の質向上に資する医学的根拠やデータが本当に妥当なのか、という問題も指摘されるようになりました。製品を購入し、利用する消費者側としては、効果や有効性の点をしっかり見極めることも大事です。
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