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不透明さを増すばかりの景気の先行きに加え、消費増税が重くのしかかるビジネスパーソンの懐事情。それを補ってくれるのがボーナスですが、令和初の冬のボーナスは、満足のいくものだったのでしょうか。
日本経済団体連合会が公表した「2019年年末賞与・一時金/大手企業別妥結状況」によると、大手企業の冬ボーナスの平均は96万4,543円で前年比1.49%増となっています。
これは、東証1部上場の従業員500人以上、主要21業種大手251社を調査対象とし、集計ができた82社の冬ボーナス・賞与の妥結状況(加重平均)です。
一方、三菱UIFJリサーチコンサルティングの経済レポートによると、民間企業の2019年冬のボーナス支給額は38万8,242 円で、4年ぶりに「前年より0.4%減少に転じる」と報じています。
こちらは、厚生労働省「毎月勤労統計調査」ベースに、事業所規模5人以上の民間企業支給額を集計したものですが、大手企業の96万4,543円と、中小の38万8,242 円という倍以上の格差には、改めて驚かされます。
では、公務員はどうでしょうか。地方公務員も含めた公務員全体の冬ボーナス支給額の平均は70万700円で、昨年冬のボーナス支給額と比較すると1.3%減少しています。
ところが、この数字には、ちょっとした“からくり”があります。これまでは、夏のボーナスよりも冬のボーナスの方が高く設定されていましたが、2018年の人事院勧告により給与法が改正され、ボーナス(期末手当・勤勉手当)の支給月数が夏冬均等になったからです。
そのため、冬のボーナス支給額は減っていますが、夏冬均等の支給の影響を取り除くと、実質は前年比1.9%の増となるようです。
企業規模によって、あるいは業種によっても、ボーナスの支給額には格差があるようですが、ボーナスの支給総額は16.9兆円と、前年比1.5%増となる見通しです。その背景にあるのは、パートタイムなどの非正規雇用労働者が増えていることです。
パートタイムなどの非正規雇用者は、これまでは、ほとんどがボーナス支給の対象となっていませんでしたが、人手不足を背景に、非正規雇用者にもボーナスを支給する企業が増えていることの証でしょう。
冬のボーナス支給労働者の割合は84.8%で、支給労働者数は4,344万人と、前年より2.0%増えています。
ただし、パートなどの非正規雇用者へのボーナス支給額は、正社員よりは少ないと考えられますから、支給総額が増えても1人あたりの支給額は低く抑えられることになります。
冬のボーナスの支給総額が増えることは、消費行動の刺激につながり、景気浮揚には欠かすことのできない要素です。ところが、それが旺盛な消費行動に結びつくかといえば、大きな疑問符がついてしまいます。
やはり、消費意欲を減退させているのは、10月の消費増税です。各種調査でも、消費増税による景気へのマイナス影響が指摘されています。
帝国データバンクの調査では、消費増税に伴い「駆け込み需要があった」という企業はわずか26.5%で、「なかった」が66.7%という結果でした。期待された駆け込み需要でも消費意欲を刺激することができず、さらに諸外国の賃金水準に比べると、日本の水準は大幅に低いなど、なかなか明るい材料が見当たらないというのが実状のようです。
ボーナスが支給されると、なぜか浮かれ気分となり、つい財布の紐が緩んでしまうものですが、令和時代の景気動向を考えると、なかなかそうはいかないようです。さて、2020年はどのような年になるのでしょうか?
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