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職場環境や業務内容が変わる人事異動は、社員が抵抗感から拒否をするケースもあります。この記事ではそもそも人事異動は拒否権があるのか?どうすれば、総務担当者は人事異動を計画通りスムーズに実施できるかを記載します。
目次【本記事の内容】
人事異動は配置転換・役職の変更・出向・転籍・派遣の種類がありますが、いずれも目的をもって行われています。主な目的としては人材育成・適材適所・マンネリ化の防止などのモチベーションコントロール・人材構成のアンバランスの解消の対応などが挙げられます。人事異動をより明確に理解するために、それぞれの目的について深く見ていきましょう。
どの社員にも適材適所があります。このため「業績が振るわず落ち込んでいた社員が新しい部署へ異動した途端、水を得た魚のように活躍するようになった」のケースは、どの企業でも見られます。
自分本来の実力を発揮できる部署、あるいは自分の潜在能力を開花できる部署へ配置されることで、その社員は自発的に業務スキルを磨いて業務守備範囲を広げ、社内のキーパーソン的な人材に育つケースは枚挙に暇がありません。企業にとって人事異動は、今まで埋もれていたキーパーソン的人材を発掘するチャンスにもなります。
同一職場の勤務期間が長くなると、慣れにより仕事の緊張感が薄れ、日々の業務を卒なくこなすだけで満足してしまうケースが少なくありません。そんな社員の多くは新しい部署へ異動することで刺激を与えられ、チャレンジ精神を取り戻して活躍し、職場の活性化に貢献するケースが多いといわれています。
新事業開発と起ち上げ、経営戦略の抜本的見直しによる事業ポートフォリオ最適化などを図る上においては、その任務に適した人材を、外部からではなく社内から選抜するのが通例です。自社の経営理念や企業文化を知悉している社員だからこそ、新経営戦略に対する理解度が深く、選抜された社員は使命感も強いので、成功確率が高いからです。
このような目的で実施される人事異動を、社員は基本的に拒否できません。企業には社員を自社の経営計画や事業目的に沿って部署を異動させる人事権があるからです。
企業には社員を自社の経営計画や事業目的に沿って部署を異動させる人事権があり、社員に対する配置転換命令権は強く肯定されており、人事異動は基本的には拒否ができません。前の章でも確認してきたように、そもそも人事異動は会社のためにやるのであって、社員の事情をひとつひとつ斟酌するようなものではないのです。したがって、社員の勝手な都合で人事異動を拒否することはできません。拒否をした場合は業務命令違反となり最悪懲戒となるケースもあります。
上記の場合、労働契約と異なる職種・勤務地域となる部署への人事異動は無効です。仮に就業規則に人事異動規定があっても、社員は人事異動を拒否出来ます。
例えば、自分が介護しなければならない家族がいるのに単身赴任しなければならない、転居すると治療を続けられない難病に罹っている家族がいるのに遠隔地へ転勤しなければならないなどの場合は、人事異動を拒否出来ます。
ただし、次のような不利益は、判例上「通常甘受するべき範囲」として人事異動を拒否出来ないとされています。
・残業時間が増加する
・通勤時間が長くなる
・病院、保育園などへ通っている家族の送迎が出来なくなる
・単身赴任になる
現行賃金の低下を招く人事異動は、基本的に無効とされています。賃金制度の変更を始め、合理的な理由もなく賃金が低下する人事異動は拒否出来ます。
思想・信条・その他差別的理由による人事異動、自己都合退職に追い込むための人事異動、報復人事などの人事異動は不当労働行為とみなされ、人事異動を拒否出来ます。
人事異動を納得して次のポジティブなチャンスに生かせるようにするためには業務の満足度を高められる様、普段から社員とのコミュニケーションが必要です。以下に3つのポイントを記載します。
人事異動に納得感のある人は会社への満足度も高い傾向にあります。会社への満足度の4つの柱は、①経営ビジョンへの共感②社内コミュニケーションの活性度③当事者意識(一人当たりの生産性が高い)④無駄な業務の少なさ、です。こうした環境が整備されていればされているほど、会社への満足度は高くなる傾向にあります。自社への満足度が高ければ、人事異動にも前向きになることができ、より良いスタートダッシュを切っていくことができます。
合わせて読みたい→従業員満足度(ES)を向上させるために出来る事は?
普段から社員の現状や将来についてどう思うかを把握しておく事はお互いの理解と安心感にも繋がり、人事異動の際の考慮にも繋がります。普段からこうした機会を定期的に持つことが重要です。
例えば1on1ミーティングは、シリコンバレーでよく行われており、日本の企業でも導入例が多数あります。上司と部下が1対1で対話をすることによって、社員の考えていることをより深く理解することができます。
人事異動における社員とのトラブルを防ぐためにも、異動の目的とそこでの業務内容をしっかりと伝えること。そして、内示された社員の希望に対して、人事異動によってどう繋げられるかを話し合い、納得してもらう姿勢を示す事が大事です。
例えば人事の部署から営業へ異動する場合、社員は「営業なんてやったことがない」と不安を抱くかもしれません。しかし営業と人事は、ともに高度なコミュニケーション能力が求められるなど、共通点も多いのです。「人事でのノウハウは営業にも活きてくる」「営業での経験を積んで、3年後にまた人事として戻ってきてほしい」など、話をより具体的にすることによって、社員に安心感を与えることができます。
人事異動の最終的な目的は企業価値の向上です。そのための人材育成と適材適所の人材配置の有効な手段として、多くの企業が人事異動を定期的に実施しています。
「人事異動を理由に退職された」。これでは一体何のための人事異動か分かりません。この様な本末転倒の事態を招かぬよう、人事担当者は対象者に人事異動の内示をする際は、事務的に内示をするのではなく、異動の理由と異動先の業務内容を分かりやすく説明する配慮が重要です。
人事異動は社員の生活や人生計画への影響が大きく、急に人事異動を内示された社員は、異動先のことよりも職場環境が変わることへの不安や心配が先に立つ事もあり、退職の原因になり得るのです。
そのため人事担当者は対象者の希望するキャリアプランや勤務実績等から慎重に選定する必要があります。その上で、対象者には内示の段階で人事異動の理由を説明し、対象者が納得し、気持ちを新たに新部署で活躍できるようにする配慮が欠かせません。
一方で、社員の希望や状況を把握した上での異動の理由と異動先の業務内容が分かれば、異動に対する不安や心配は消え、対象者は異動先での勤務をポジティブに捉えるようになるでしょう。
まずは対象者が人事異動を拒否する理由を、親身になって聞き出し、その上で、どうすればその理由を解決して人事異動ができるかを対象者と一緒になって考えましょう。
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