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社内で過労死が発生した場合、企業のとるべき対応

公開日2018/06/09 更新日2018/06/25

近頃働き方改革が声高に叫ばれるようになりましたが、いまだ過労死の報道は消えることがありません。ブラック企業のイメージの中でも、過労死は最もインパクトが強いと言っても過言ではありません。万が一社内で過労死が発生してしまった場合、企業側はどのような対応をとる必要があるのでしょうか。

過労死等についての定義
過労死等防止対策推進法で定義されている「過労死等」は、以下のような内容になります。

  • 業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
  • 業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
  • 死亡には至らないが、これらの脳血管疾患、心臓疾患、精神障害

実際に労働者が死亡した場合、それが過重労働に起因する死亡であるかどうかが問われ、もちろん過労死とは認定されないケースもあります。

過労死の原因のひとつとして長時間労働が挙げられますが、これについても明確な時間の基準が定められています。
例えば、週40時間労働をしている労働者と仮定した場合、1か月に45時間以内の残業や休日労働であれば健康被害のリスクは低い状態ですが、時間外労働が増えるごとにリスクは徐々に高まり、1か月に100時間を超える時間外労働ではリスクが非常に高くなると言われています。(または2か月間~6か月間のいずれか、月平均80時間を超える場合)

また労働契約法第5条により、企業は「労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする」必要があると定められています。この「生命、身体等の安全」には、心身の健康も含まれると記載されています。

万が一過労死が発生してしまった場合
万が一過労死が発生してしまった場合、企業にはいくつかの法的責任が問われることになります。

  • 労働基準法に関する責任
  • 刑事責任
  • 民事責任

労働基準法に関しては、36協定の締結内容が確認され、規定の時間外労働限度を超えて労働させていた事実がないか調査が行われます。このため、企業側は労働条件通知書やタイムカード、各種労働時間に関する協定書などを提出できるよう準備しておく必要があります。

労働基準監督署が行う上述の調査に従わなかったり、是正勧告後の実情は改善していないにもかかわらず是正された旨の虚偽の報告をしたり、労働者に労働時間を過少申告させる、36協定が形骸化しており守られていないなどの場合は刑事責任を問われる可能性があります。
企業側は真摯に調査に応じる必要があり、ヒアリング対象者は誠実に答える義務があります。

さらに、過労死ラインと言われる労災認定基準においては、発症前1か月の時間外労働が100時間を超える場合業務と発症の関連性が強くなるとされています。この場合労務管理を適切に行う、安全配慮義務違反となり、民事上の責任が問われることになります。
安全配慮義務に関しては、労働者の不調に気づいていたか、労働者の異変に気づいていたかなども関係し、上司や同僚のヒアリングでこれらにあてはまることが分かれば予見の可能性が認められ、過失責任を負うことになります。

つまり、企業側は労働基準監督署の調査には適切に応じ、ヒアリングなどにも誠実に答える必要があるということです。

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長期的に企業がとるべき対応

企業がきちんと36協定を締結し遵守することは言うまでもありませんが、これを社内にも浸透させる必要があります。また、厚生労働省は過労死などの撲滅に向け、有給休暇取得率向上なども目標にしています。

  • 週労働時間60時間以上の労働者を5%以下とする
  • 年次有給休暇取得率を70%以上とする
  • メンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合を80%とする

これら以外にも相談窓口の設置など、相談しやすい環境の整備などが求められます。

まずは過労死を発生させないことが大切です。労働状況の把握、労働者のメンタルヘルスの把握・改善など、できることはたくさんあります。多くの人を悲しませてしまう過労死を、絶対に発生させないよう日頃から取り組んでみてください。

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