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2019年10月1日の消費増税に伴い始まったキャッシュレス・ポイント還元事業が、6月30日に終了しました。ポイント還元事業補助金事務局(一般社団法人キャッシュレス推進協議会)では、事業開始前(2019年9月)と事業期間中(2019年11月、2020年5月)に実施した消費者及び店舗向けアンケートの調査し、その結果を公表しました。
キャッシュレス・ポイント還元事業は、消費増税による消費の落ち込みを抑えることを目的に、キャッシュレスでの買い物にポイントを還元するというもので、消費増税後9か月間に限っての期間限定事業でした。
そもそも、増税による消費の落ち込みを、ポイントでカバーするという発想には多くの疑問の声もあがりましたが、その背景には、なかなか進まないキャッシュレス化を推進したいという経済産業省の思惑がありました。
さて、大々的に始まったキャッシュレス・ポイント還元事業は、果たしてどのような効果があったのかを、アンケート調査の結果から検証してみましょう。
まず、ポイント還元事業の認知状況ですが、事業開始前の2019年9月は約73%でしたが、事業が始まった2019年11月には約86%に上昇しています。地域区分別では約8割以上、年代別でも、どの年代においても約7割以上が認識していたようです。
また、ポイント還元事業をきっかけに、20代~60代では約5割以上、10代と70代以上では約4割が、支払いをキャッシュレスで始めたという結果が出ています。
また、5割前後の消費者が、ポイント還元される店舗で購入するようになり、これまでよりも利用頻度を増やしたという結果も出ていますから、キャッシュレス化の拡大という経産省の目論見は、それなりの効果をあげたといえるでしょう。
ところで、ポイント還元事業が6月30日で終了した後は、どうなるのでしょうか?真価が問われるのは、むしろ事業が終了した後の、これからです。
調査結果によると、現在キャッシュレスを利用している消費者のうち、どの年代でも8割前後が、還元事業終了後もキャッシュレスを利用したいと回答しているようです。
キャッシュレスの導入率も、ポイント還元事業をきっかけに、全体では約27%から約36%増え、とくに町村部では、約23%から約40%と著しく伸びています。
また、ポイント還元事業終了後も、還元事業に参加した店舗の9割前後が、キャッシュレスの支払い手段の提供を続けるとしています。
一方、ポイント還元事業が終了するのに伴い、キャッシュレスの支払い手段の提供を縮小する店舗もあります。
その理由として多くあげられたのは、「当初の想定よりも決済手数料などの費用が割高だったから」というものです。また、現金決済と違って入金サイクル遅れることから、「資金繰りに困ることがある」は、全体平均で約2割の店舗が、キャッシュレス決済のマイナス点にあげています。
この点は、事業開始前から指摘されていましたが、これといった改善策を提示することもなく、見切り発車だったようです。
いずれにしても、鳴り物入りで始まったキャッシュレス・ポイント還元事業ですが、キャッシュレス化の促進という点では、それなりの効果があったようです。ところが、消費増税の落ち込みをカバーするという、本来の目的の方には、果たして効果があったのでしょうか。さらなる検証が必要なようです。
キャッシュレス・ポイント還元事業の、真の効果の検証を妨げているのが新型コロナウイルス感染防止のための緊急事態宣言発令です。そもそも、キャッシュレス化は、インバウンド需要に対応するために普及が叫ばれていました。
しかし、コロナ禍でインバウンド需要は、吹っ飛んでしまいました。回復の見込みは、未だ見えてきません。2019年10月1日の消費増税は、結果的に最悪のタイミングだったといえるのではないでしょうか。
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